第394話 再生

超高速飛行で落下する巨獣においつく。そして飛行の速度を利用してオーラソードで胴体を斬りつける。肉が裂け、血しぶきがあがる。だけど、やはり弱点ではない胴体部分の耐久力は高く、巨獣はまだまだ元気であった。


「SSSクラスの巨獣には再生能力もあります。時間をかけるとこちらが不利になるので、一気に倒すことを考えて下さい」


「なっ、再生するのか!?」

「はい。しかも体内でエネルギーを生成する仕組みを持っていますので、あの巨獣は無尽蔵に動くことができます」

「そりゃ厄介だな……」

「ですが、ここまでの戦闘データを分析してみましたが戦闘力はアルレオ弐の方が上です。いかに短時間で致命傷を与えるかがポイントになりますが、十分、勝機はあります」

「それは頭部への攻撃をすすめてるのか?」

「……合理的に考えれば、それが一番の選択肢でしょう。しかし、勇太がそうしないことは理解しています」

「うん。やっぱり、あのイプシロンコアを攻撃するのは俺には無理だと思う」

「それでは、尾の付け根辺りを狙いましょう。頭部ほどではありませんが、他の部位よりは効果的にダメージを与えられるでしょう」


フェリが俺を理解してくれて助かる。頭の固いサポートだったら、絶対に頭部を狙わせると思う。


そして再生能力というものを目の当たりにする。見ると何度か斬りつけた胴体部分の傷口が、ウニョウニョと蠢いて塞がれようとしていた。確かにせっかくダメージを与えてもあんな感じで治ってしまうなら、消耗する分こちらがどんどん不利になる。


フェリの言う尾の付け根部分を狙うには、背中側に回り込む必要がある。しかし、巨獣は常にこちらを向いていて、簡単ではなさそうだ。


いつの間にか破壊した爪も回復している。地面に着地した巨獣は両腕の爪を振り回して攻撃してきた。かなり素早く、威力もある攻撃だが、さっきもこちらの方が競り勝ってることもあり、余裕を持ってオーラソードで受ける。


しかし、爪の攻撃はフェイントだったようだ。巨獣は爪の連続攻撃の直後に、めいいっぱい力をため込んだブレスを放ってくる。不意のブレスは直撃するが、シールドと防御フィールドがそのブレスも四散させる。


「勇太! シールドも防御フィールドも無限ではありません! エーテルが消費しますので何度も防ぐことはできませんよ!」


フェリがそう注意してくる。確かにぐっとエーテル残量が減っていた。まさかだと思うけど、巨獣はそれを知っていて、ブレス攻撃でこちらの消費を狙っているのか?


もしかしたら巨獣は見た目以上に頭がいいのかもしれない。このままでは消耗戦に持ち込まれてやられてしまう。


だらだら戦っていてはダメだ。攻撃を集中しよう──俺はさらに深く強く集中する。力を貯めて、貯めて、大きな瞬発力の為に準備する。


巨獣は消耗を考える必要がない為か大盤振る舞いでブレスを連発してくる。集中力と力を貯めながらそれを回避する。おそらく、エーテルの残量を考えれば全力の攻撃は一度だけだろう……その一撃で巨獣を倒す!


超高速飛行で巨獣の後ろに回り込むことにする。超高速飛行もかなりのエーテルを消費するが仕方がない。巨獣のブレス攻撃のタイミングを見て、一気に加速して後ろに回り込む。そして、貯めた力を一気に解放した──

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