第391話 爆発物処理/ジャン

巨獣は勇太に任せて、俺たちは爆発物の処理に向かう。中央にあるドーム型の建物は大きく、入り口も複数あった。一番近くの入り口から入りたがったが、巨獣との距離とも近いこともあり、少し大回りになるが、そのさらに奥にあった門へと向かった。


「ジャン。ちょっと気になったのですが、あなた、爆発物の処理なんてできますの?」

リンネカルロが心配になったのかそう聞いてきた。


「簡単なものならできる」

「ちょ、ちょっと! 爆発物が複雑で難しかったらどうするつもりですの!?」

「その時はその時、また考えればいいだろ」


確かに難しい爆発物だったらかなり困るが、今はそんなことを考えている余裕はない。簡単な構造であることを願うばかりだ。


「もう、確かに今はそんな心配している暇はありませんけど、生き埋めで死ぬのなんてごめんですからね。どんな手を使っても処理してくれないと困りますわ」


俺もそんな死に方はごめんこうむりたい。絶対に処理して見せる。


「ジャン! 門に敵影よ!」

先行している渚が告げる。


「ちっ、やっぱりすんなりとはいかないか。しかし、時間がねえ! ミライはこのまま突っ込むぞ! 悪いがフォローを頼む!」


そう言うと、渚のディアテナと清音の菊一文字がミライの前に出て、敵の攻撃に備える。リンネカルロは防衛の為にミライに張り付いてきた。


敵は二十数機の魔導機だ。あれが全て、勇太と清音の二人が苦戦した魔導機と同型だったら、かなりやばい。なんとか下位の敵であることを願う。


敵に近づいてもミライは速度を落とさない。そんなミライに向かって、ワラワラと敵の魔導機が向かってくる。


近づいてくる敵に対して、ディアテナと菊一文字が立ちはだかってくれた。最初の接触、敵の魔導機から繰り出された剣を、清音の菊一文字が弾き返す。それを見て少し安心する。どうやらそれほどの強敵ではないようだ。


右から近づいてくる敵は渚が対応する。巨大な斧を持っている敵に対して、ゆったりと構えていたディアテナが、急激に加速する。一気に間合いをつめると斧を叩き落し、顔面に掌底をいれる。ディアテナの接近戦能力は相手を遥かに上回っていたようだ。掌底を受けた敵の魔導機は頭部を吹き飛ばされた。


「清音! 渚! ここは任せたぞ!」


戦闘中の二人の間を通り抜ける時、そう声をかける。二人は軽く手をあげてそれに応えた。


「リンネカルロ! ここからはお前が頼りだ。何か出たら頼んだぞ!」

「任せるですわ。どんな敵もこの私とヴィクトゥルフが排除いたしますわ」


よほどの相手でなければリンネカルロの自信ある言葉は有言実行されるだろう。その点は心配していなかった。


ドーム型の建物中にはさらにいくつかの建造物があった。その中心にある建物を突き刺すように大きな柱が伸びている。おそらくあれがこの施設の大事な支柱であろう。あの地下に爆発物が仕掛けられていると思われる。


「リンネカルロ! フェリⅡに確認してくれ! 爆発物の場所はあの中心の建物の下であってるか!?」

そう聞くと、通信からボソボソとフェリⅡに確認する声が聞こえる。

「かなりの高確率であっているそうですわ! さっさと爆発物を止めますわよ!」


中央の建物までくると、ミライを停止させる。そしていくつかの工具を持ってミライを出ようとした。


「ジャン殿! 私たちもお供いたします!」


そう言ってきたのはエミッツとミルティーだった。二人は剣で武装して準備を完了している。

「すまねえ、俺は戦闘は苦手だから助かる」


その提案を有り難く受け入れる。この先、白兵戦になる可能性もある。軍人である二人の力は頼りになると思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る