第362話 柱との戦い

柱のガーディアンは、10メートル間隔くらいに設置されている。かなり動きは遅く機動力ではこちらが圧倒的有利だけど、射程が30メートルくらいあるということで、どうしても同時に複数のガーディアンの射程に入らないと近接攻撃はできない。


俺のアルレオ弐やリンネカルロのヴィクトゥルフには遠距離攻撃があるけど、近接戦闘タイプの渚のディアテナや、清音の菊一文字にはその手段がないので、どうしても接近する必要がある。二人は同時に複数のガーディアンの射程に入ることを理解しているはずだけど、躊躇することなく柱のガーディアンに向かっていった。


フェリの言うようにおおよそ30メートルくらいの距離に近づくと、柱のガーディアンが反応する。ピカピカと点滅すると、柱全体を光らせ、まばゆい稲光を放った。


渚のディアテナは、ビリビリと痛そうな雷撃を光る拳で跳ね返した。そしてさらに柱のガーディアンに接近する。周りのガーディアンの射程にも入ったようで、集中砲火のように雷撃の魔導撃が襲い掛かる。そんなのはおかまいなしとばかりに、ディアテナは虫でも払うかのように雷撃を拳で打ち払う。


手が届くくらいに柱のガーディアンに近づいたディアテナは、綺麗なフォームで拳を柱に叩きつけた。強烈な威力の正拳突きは、まるで陶器の壺でも叩いたかのように容易く柱のガーディアンを粉砕した。


清音も渚に続いて柱のガーディアンに接近する。清音の菊一文字では、渚のディアテナの真似はさすがにできない。どうするかと心配していたのだけど、そんな心配は不要であった。清音は柱のガーディアンの攻撃を察知すると、攻撃の軌道を読んでさっと回避する。


まるで全ての先の動きを把握しているかのように、清音の回避行動は完璧だった。後ろに目が付いてるかのように、死角からの攻撃にも反応する動きはもはや神業ともいえる。アルレオ弐の魔光弾の連射でも、命中させる自信はない。


清音の神業は攻撃にもみえた。強度の高い柱のガーディアンを一閃。まるで藁の塊でも斬りつけたように斜めに両断する。


後でフェリ聞いたのだが、柱のガーディアンの強度は、菊一文字の剣の強度を遥かに上回っているそうで、普通は斬るどころか傷もつけるのも難しいそうだ。それをあんな簡単にきでるのは技の力なのだろう。


リンネカルロは避けるとか、防ぐとかそんなことは考えて無いようだ。雷撃には雷撃を、柱のガーディアンの雷撃の魔導撃に対して、より強力な雷撃で対抗する。


複数の柱のガーディアンから打ち出された雷撃を、ヴィクトゥルフの周りに生み出した無数の雷球で追撃する。リンネカルロの雷球は柱のガーディアンの

放った雷撃を蹴散らしながら、稲光の軌跡を追うように飛んで行き、柱の中心に命中する。バチバチと激しい放電が起こり、柱のガーディアンは黒焦げになった。


やはりリンネカルロの雷撃は半端ない。さらに多くの雷球を生み出し、一斉に柱のガーディアンたちに向けて放った。雷撃で撃ち落とそうとするが、リンネカルロの雷球の方が遥かに質量が上のようで、一つも防ぐことができず、全ての雷球はガーディアンに命中する。バリバリと派手な音と光を放出しながら多くの柱のガーディアンは機能を停止させる。


仲間の勇姿に見とれている場合ではない。遠距離攻撃でチマチマやるつもりだったけど、渚や清音の動きを見ていたら気が変わった。俺も手柄を立てる為に、ガーディアンに突っ込んでいく。菊一文字のように避けようとするのだけど、やはり同じ真似はできなく、二発に一発くらいは攻撃をうけてしまう。だけど、さすがはアルレオ弐のレヒュルダイト装甲だ。ダメージを受けているようには感じない。


強力な装甲を頼りに少し強引に接近すると、柱のガーディアンを斬りつける。清音のように綺麗にはいかないが、剣で叩き壊すように柱のガーディアンを粉砕する。


全ての柱を数分でかたずけた。これにはフェリも驚いている。

「負けることはないとは思っていましたが、これほど早く殲滅するとは驚きです」


どうやらフェリの戦力分析を、俺たちは上回ったようだ。魔導機の能力以上に動けたということはライダーとして成長している証拠かな。

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