第361話 防衛システム
しばしの休憩を終えると、俺たちは最下層へ向けて出発した。繭のあった階層から下へと続く通路を通ってさらに奥へと進む。金属か石かもよくわからない材質でできた通路は螺旋に伸びていて、ゆるやかに下っていた。
しばらく進むと、螺旋の通路は終わり広いフロアーに出た。ミライを操縦しながら前方を見ていたジャンがまた何かを見つける。ジャンは勘弁してくれよと言った感じで愚痴を言う。
「また変なのがあるぞ」
ジャンが見つけたのは無数の大きな円柱で、広いフロアーに規則正しく並べられていた。あきらかに不自然なモノだけど、巨獣兵器と言った感じではなく、芸術品のオブジェにも見える。しかし、円柱の正体はフェリのデータベースにあったようで、すぐに答えが出た。
「研究施設の防衛設備ですね。ガーディアンの一種で、高い攻撃性能を持っています」
「高い攻撃性能を持ってるガーディアンか……これまた厄介だな」
「どうしましょうか、全員で出撃して破壊しますか?」
凄く単純明快な清音の提案だけど、ジャンはベストの選択とは思わなかったようだ。
「いや、待て。まだ攻撃してくる素振りがない。もしかしたら壊れて動かないんじゃないか? 下手に攻撃したら動き始めるかもしれん」
「施設の自動修復機能が健在ですから壊れてる可能性は低いでしょう。まだ動かないのは単純に防御ラインにまだ侵入していないか、こちらを識別中で様子を見ているだけかもしれません」
「だとすると、このままここにいるのも危険だってことだな。少し下がって対応を考えるか」
ジャンはそう言ってミライを後退させようとしたのだけど、さっきまで開きっぱなしだったゲートが、いつの間にか閉じてしまていた。
「なんだと! いつの間に閉まったんだ!!」
ジャンは慌てて後退させていたミライを停止させた。
「ちょっと見て! 柱の様子が変よ!」
渚の言葉で全員がガーディアンを見る。円柱のガーディアンの模様部分が赤く光っていた。
「ガーディアンが起動したようですね」
「ちっ……罠かよ! 閉じ込めて袋叩きにしようとは陰険なガーディアンだな!」
「いえ、ガーディアンの思考はあくまでも防衛を最優先に実行されます。このように相手を逃さす確実に倒そうなんて選択はしないはずです」
「なんだと、それはどういうことだ?」
「もしかしたらこの研究施設は誰かの管理下に置かれているかもしれません」
「古代文明の生き残りがいるってことか!?」
「それはわかりません。しかし、こちらに好意的ではないことは間違いないでしょう」
「スムーズにはいかねえってことだな。まあ、今は見えない敵の事を考えても仕方ない。まずは目の前のあれをどうにかしないとな。よし、全員、出撃! ガーディアンを殲滅するぞ!」
結局こうなるよな。俺たちは魔導機に乗り込み、すぐに出撃した。
ガーディアンの数は100近くある。柱のような姿でどういう攻撃をしてくるか想像ができない。突っ込んで大丈夫だろうか……。
「柱のガーディアンのメイン武器は雷撃の魔導撃です。射程は30メートルほどで、威力はエクスランダークラスの魔導機に致命傷を与えるほど強力です」
俺の考えを完全に見透かしているフェリから、必要な情報が与えられた。そうなると不用意に接近するのは危険だな。特にクアドラプルハイランダー機の清音の菊一文字では一撃も耐えれないだろう。
「清音、聞いた通り、柱のガーディアンの攻撃はやばいらしいから、ここは俺たちに任せて下がっててくれ」
「いえ、問題ありません。いくら強力な攻撃でもあたらなければよいだけです」
涼しい口調でそう言い切る。確かに清音なら全部避けそうだけど、見ているこっちがハラハラしそうだな……。
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