第270話 真・無双鉄騎団

アーサーのセントールの突進攻撃でリュベル王国軍の多数の魔導機が蹴散らされる。気のせいかセントールの突進力があがっているようにみえる。


ロルゴのガネーシャの装備が変わっている。左手に大きな盾を持ち、右手には巨大なアックスを装備していた。ガネーシャはアックスを振り回して、敵機を粉砕しながら突き進む。ガネーシャは防御のイメージだったけど、もともとパワーはあるようで、凄まじい攻撃力もみせていた。


ファルマのガルーダは上空から無数の光るアローを放っていた。ラフシャルに作ってもらった新武器なのか、驚異的な威力をみせている。一回の攻撃で、分裂して

無数の矢にわかれ、敵軍に降り注ぐ。一発の威力も高く、盾を掲げて防御する機体を盾ごと串刺しにしていく。


いつの間にか近づいていたエミナのアルテミスが、ステルスモードを解除して姿を現す。アルテミスも装備が変わっている。前は左手に装備されていたボウガンが、小型化されて両腕の前腕に装備されていた。アルテミスは敵に両腕を向けて、ボウガンの矢を放つ。シュシュシュと物凄い速さで矢が射出され、二桁の敵機に突き刺さる。さらに矢の突き刺さった機体は、矢の部分から凍結して動かなくなる。


アリュナのベルシーアは舞を踊るように剣を振るって敵軍に突っ込む。神速の速さで繰り出される双剣の攻撃も驚異的なのだけど、剣を振るうたびに周囲に飛び散る灼熱の炎が広範囲の敵機を焼き尽くす。オヤジに剣技を教わった今だから気が付くのだけど、アリュナの剣術は荒々しさの中に洗練された美しさもあり、ヴェフト流とはまた違う卓越した強さを持っていた。超越した剣術から生み出される芸術的なその動きに目を奪われる。


ナナミのヴァジュラは装備的には変わってないように見えたが、その性能は大幅なパワーアップをしていた。盾を構えて敵機を蹴散らしながら敵軍の中心まで突撃していき、そこで強大な力を解放する。ヴァジュラを中心に円形に黒い靄が広がり、その範囲内の敵機が踏みつぶされたように破壊されていく。ヴァジュラの重力の魔導撃だと思うが、前より威力も攻撃範囲も強化されているようにみえる。


少し見ない間にみんな大幅に強化されているようだけど、桁違いに進化していたのがリンネカルロのオーディンであった。驚くことにオーディンはファルマのガルーダのように空を飛べるようになっていた。飛行しながら強力な範囲魔導撃を放つ。恐ろしく攻撃範囲が広いうえに、自在に攻撃ターゲットを限定して攻撃できるようになっているようで、味方を避けるようにして雷撃が落ちてくる。威力も絶大で、大型魔導機も一撃で粉砕する。


「勇太、ぼーとしてないで、新手がきてるわよ!」


渚はそう言いながら二機の敵機を刀で斬りつける。やはり武道をやっているだけあって、渚は刀をあつかってもセンスがある。さらにしばらくみないうちになにをどうやったのかわからないけど、スピードもパワーも上昇しているようにみえる。


圧倒的に戦況はこちらに傾いているようにみえた。しかし、例の獣戦車隊が動きをみせた。獣戦車はさらに山の上へと移動して、射程距離を伸ばしていた。強力な砲門をこちらに向けて、砲撃を開始した。


「厄介だな……無理やり突撃して叩くか……」

俺がそう考えていると、アリュナが冷静にこう言ってきた。

「今、ジャンから通信がきた。大丈夫だよ、あの山の上のうるさいのはフガクが叩いてくれる」

以外な言葉に聞き直す。

「フガクが叩くってどうやって?」

フガクのバリスタの射程ではあんな遠くの山の上にまでは届かない。ちょっと理解できなかったけど、その俺の小さな疑問は、フガクから放たれた一筋の光が説明してくれた。


フガクから放たれた光は、山の中腹まで伸びていき激しい破壊をそこに届けた。獣戦車部隊は光から生まれる爆発に巻き込まれて、次々と連鎖的に誘爆していく。


「あれはなんだ⁉」

「ラフシャルが設計した、フガクの新主砲だよ。四元素砲ってものらしいわよ」


四元素砲ってどこかで聞いたことあるなと思ったけど思い出せない。まあ、ラフシャルの兵器ならあの威力も納得だ。


なんにしろ、これで脅威もなくなった。アリス大修道院の本院に向かうことにした。

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