第269話 懐かしき面々
5000機の魔導機を展開するリュベル王国軍とまともに戦うのは難しい。一点に攻撃を集中して、突破を試みるしかない。
ダイラム隊にアローでの威嚇攻撃を指示して、俺と清音は突破する為に、山の入り口で守りを固める敵部隊に突入した。
しかし、十数機の敵機を倒したくらいで、敵軍が少し後退した。不意の後退に嫌な予感はしたけど、案の定、山の中腹辺りから大量の砲弾が飛来する。
あっという間に周りは火の海となった。
「勇太! あの新魔導機の砲撃は危険です! 少しさがりましょう!」
「くっ……」
清音の提案が正しいのはわかるけど、ダイラム伯爵やマザー・メイサのことを考えると、どうもやりきれない気持ちになる。
さらに周りに大きな爆発がおきて吹き飛ばされる。エクスカリバーの高い防御力のおかげで破損は免れているけど、このままでは長くは持たない……不本意ではあるが後退するしかなかった。
山に近づくのが難しくなるだけでなく、リュベル王国軍の新魔導機の砲撃は俺たちを追い詰めていった。さらに大軍が押し潰すように包囲してくる。斬っても斬っても迫ってくるリュベル王国軍に、じりじりと圧迫されていく。
三方から連続攻撃してきた敵機を回転しながら斬り伏せると、前方にいる大型魔導機を剣で串刺しにする。さらに近づく敵を斬り伏せながら前に出る。
ふと見ると、敵の部隊がムサシに接近してきた。ダイラム隊が必死でアローで攻撃するが、数が多すぎで防ぎきれない。助けに行かないと……そう思うがこちらも周りが敵だらけで身動きができない。
ブリュンヒルデの鬼丸国綱がムサシに接近してきた部隊の前に出る。ブリュンヒルデの剣術は
だけど、敵部隊は次々と現れる。清音とブリュンヒルデはまだ余力がありそうだが、トリスはすでに限界がきているようだ。虎徹のボディーには大きな破損が見られ、無残にも左腕は今にも引きちぎれそうなっていた。
「トリス! あなたはさがりなさい!」
清音がトリスの限界を察してそう指示する。
「まだやれます師匠!」
本人はそう言うが、おそらく長くは持たないだろう。
くそっ! このままでは……。
しかし、その時、起死回生の女神の姿を見る。それは森を抜けて姿を現せたフガクの勇姿であった。
「フガクだ!」
俺の言葉に清音が反応する。
「フガクとはなんですか?」
「無双鉄騎団がきたってことだ!」
エクスカリバーではフガクと通信できない。なんとか救援を知らせる方法がないかと思っていると、向こうから近づいて来てくれた。俺は外部出力音でフガクに呼びかける。
「こちら勇太! ジャン、聞こえるか⁉ 敵多数にて苦戦中だ、救援を求む!」
その叫びにジャンが応えた。
「なんだ、勇太、どうしてお前が剣聖のエクスカリバーに乗ってるんだ?」
「その話は後でいいから!」
「わかってるよ。すでに出撃指示はだした」
ジャンの言葉の通り、フガクのハッチが開かれ、そこから懐かしい面々の魔導機が飛び出してきた。
「勇太、ナナミだよ!」
「来いと言われてきてみたら戦争中とは、また、忙しい男だね」
「おで……勇太……助ける……」
「うわ……エクスカリバーだ! 剣聖のエクスカリバーを生で見れるなんて!」
「どうでもいいけど、敵ってリュベル王国なの! また、なんてところと戦ってるのよ」
「敵が誰かなんてどうでもいいですわ! さっさと片付けて感動の再会しますわよ」
「いえ、関係ありますよリンネカルロ様……あのリュベル王国ですよ!」
さらに見知った魔導機も姿を現す。
「勇太って、本当にトラブルには事欠かないわね」
「な、渚か⁉」
「そうよ。ほら、ぼけっとしてるとやられちゃうよ」
「どうして、お前がフガクにいるんだよ!」
「その話はあと、さっさと片付けるわよ」
たしかに悠長に話している場合ではない。ダイラム伯爵やマザー・メイサを助けなければいけない。俺は気持ちを切り替えて剣を構え直した。
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