第255話 捜索して/渚
リンネカルロがクラス4だとして、他のみんなはどうなのかと気になり聞いてみた。
「リンネカルロの他に、ナナミがクラス4。アリュナとエミナがクラス5。そしてファルマ、ロルゴ、アーサーがクラス6だよ。無双鉄騎団が強いのが頷ける結果だね。みんなかなり優秀だよ」
「私は納得していませんわよ! どうして私とナナミが同格ですの! 私は天下十二傑のリンネカルロですわよ!」
「いや、クラス4ってのは古代文明でも最上位クラスだから……それが二人も同じ組織にいること自体奇跡みたいな確率だからね」
「クラス4が最上位クラスってことだと、私のクラス3ってどうなんですか?」
「伝説クラス……クラス3を古代文明ではそう呼んでいた。その当時のクラス3のライダーを知っているけど、みんな伝説で語られる英雄みたいに強かったね」
「私もそうなれると?」
「資質はあるだろうね。頑張ってルーディア値の鍛錬を怠らなければその領域に達すると思うよ」
そうなればみんなの力になれる。鍛錬することには合気道で慣れている。私は自らを高めることを心に誓った。
「渚。あなたがクラス3だろうが関係ありませんわ。私は常にあなたの上を行きます! ディメンションクラスなんてものが関係ないことを証明してみせますわよ」
リンネカルロはそう宣言した。私にこれほどの対抗心を燃やすのがどうしてかわからないけど、競い合うライバルがいるのはいいことだ。私は彼女の言葉を微笑みで返した。
朝の鍛錬が終わると、みんなで朝食を取り、その後は勇太の捜索を開始した。アルレオのコックピットが見つかった洞窟に行き付近を調べる。
「この洞窟には生活した形跡がある。もしかしたらしばらくはここに滞在していたかもしれないな」
ジャンの言葉に頷きながらエミナも気がついたことを発言した。
「付近にも大規模なキャンプの後があるから、もしかしたら、どこかの団体に拾われている可能性があるかしれないわね」
「なるほど。そういう話なら、無一文の勇太がこの場所から移動しているのも納得できるな」
「もしかしたらここに滞在していた人たちが何者か、知っている人が近くにいるかもしれないね。食料の買い出しなどで接触している可能性もあるし、ちょっと付近の村とかに聞き込みをしましょう」
アリュナの予想は当たっていた。周りの村の人に聞くと、すぐにあの洞窟の近くで滞在していた団体の名前がわかった。
「剣豪団! まさか、あの剣聖率いる最強の傭兵団の……」
「そうですよ。剣聖様はあの洞窟が大層お気に入りで、たまに剣の修行で訪れているんですよ」
剣豪団が何か私は知らないけど、ジャンとアリュナ、それにエミナやリンネカルロもよく知っているようなので、有名な人たちだというのはわかった。
「それで剣豪団がどこに行ったかってわかりますか?」
「そこまでは知らないね。傭兵だし、どこかの国に戦争しにでも行ったんじゃないのかい」
村人から聞ける情報はそこまでのようだった。しかし、重要な情報を得られた。勇太を闇雲に探すより、有名な傭兵団の居場所を探す方が何倍も見つけやすいだろう。
「それで剣豪団を探すわけ?」
「今のところそれしかないと思っている」
「だけど、外れだったらどうするの? そこに勇太がいるとは決まったわけじゃないでしょう?」
「まあ、そうだが……渚。お前はどう思う?」
ジャンにそう聞かれて考えた。勇太がその剣豪団って人たちに拾われた時、どうするか……仲良くなって、一緒に行動しているイメージが頭に浮かぶ……うん。間違いない。勇太はその人たちと一緒にいるような気がする。
「勇太は剣豪団の人たちと一緒にいるような気がします」
「そうか、なら剣豪団を追うぞ」
ジャンはそう決断した。みんなも私の言葉を信じたのかその決断に同意する。責任重大な予想だけど、何度想像しても勇太が剣豪団にいるイメージしか浮かばなくなった。間違いない。勇太はそこにいると思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます