第254話 私のクラス/渚
「渚。こちらうちのメカニックのラフシャル。ラフシャル。こちら渚。勇太の幼馴染みだよ」
アリュナに紹介されたラフシャルは、見た目的に若い女性だと思ったけど、男性だと聞いて驚く。
「勇太も最初はそんな反応していたな。まあ、性別なんてメカニックとしては関係ないから気にしないでくれ」
この見た目で男だと言われたら、そりゃ勇太も驚いただろう。
「それで、みんな朝から格納庫で何してるの?」
朝の日課だと言って連れてこられたのは格納庫の一角にある機械だらけの場所。こんな時間から無双鉄騎団のライダーが全員集まっていた。
「おでたち、鍛えている……」
大きな体の男性、確かロルゴって言ったかな。彼がそう教えてくれる。
「鍛えてる?」
筋トレでもするのかなと思っていたけど、そうではないようだ。
「ルーディア値を鍛えてるのさ。私たちはこの先、とんでもない相手と戦わなくちゃいけないからね。勇太にばかりに負担はかけられないだろう」
「ルーディア値って鍛えられるんですか! 固定の能力だとばかり思ってました」
「私らだって少し前まではそう思ってたよ。え〜と、なんだっけ、ラフシャル」
「ディメンションクラスだよ。いい加減覚えなよアリュナ」
「そうそう。ディメンションクラスって潜在能力の範囲内なら、鍛えてルーディア値を伸ばせるのさ」
ルーディア値を鍛えれる……それができるなら、私だって勇太やラネルの力になれるかも……。
「私もルーディア値を鍛えたい! 鍛え方を教えてもらえますか!」
「そう言うと思ってたよ。鍛えるって言っても、このラフシャルの作った機械の中に入って、ルーディアを集中するだけだから教えることは何もないよ」
「そうなんですね」
「ただ、この機械を使う前にディメンションクラスを調べないといけない。使用するならディメンションクラスを測らせて貰うけどいいかい?」
補足するようにラフシャルが言ってきた。
「はい。大丈夫です」
私は軽くそう言ったのだけど、アリュナが不敵な笑みを浮かべて衝撃の事実を教えてくれた。
「渚。ディメンションクラス測るのには裸にならないといけないんだよ」
「ええ! そうなの?!」
みんなの前で裸になるのはさすがに嫌だな。
「確かに裸になる必要があるけど、別にここで脱ぐ必要はないよ。ライザ。ちょっと渚のディメンションクラスを測ってくれるか。ライザなら同性だから構わないだろう」
現れたライザという女の人に、奥の別の機械へと連れて行かれた。その機械は、周りから見えないように小部屋になっていたので、ここならと私は衣服を脱いだ。
「いい体してるわね。胸はあまり大きくないけど」
「余計なお世話です!」
「ほら、そこに入って」
そこと言われたのは機械に接続されたカプセルで、言われるままにその中に入った。私がカプセルに入ると、蓋が閉じられ、ドボドボと水が出てきた。
「ちょっと! 水が溢れてきたわよ!」
「大丈夫。それは水じゃない。エルクシールという液体でちゃんと呼吸もできるから安心して」
呼吸ができるって……ちょっと心配になったが、カプセル内が完全にその液体に浸されると彼女の言っていることが嘘ではないとわかった。
しばらく液体に浸されてフラフラと浮いていたが、どうやら計測が終わったようで、液体がカプセル内から排出され始めた。
ライザは機械から出てきた計測結果をラフシャルに見せる。ラフシャルはフンフンとそれを見て表情を変えた。
「すごいな……勇太の幼馴染みってことで期待はしていたけど、まさかクラス3とは……」
「クラス3ですって! ちょっと! 私より上ってどういうことですの!」
リンネカルロが私の結果に驚いて声を上げる。
「いや、君のクラス4でも十分に凄いことなんだよ。ちなみにヴィクトゥルフはクラス4用機体だし、頑張ってルーディア値を上げればあれに乗ることだって可能なんだよ」
「頑張って上げろと言いますけど、二ヶ月もルーディア値の鍛錬をしてますけど、まだ5000しか上昇してませんわよ! パッと上げる方法はございませんの!」
「だから、前にも話をしたろう。確かに短期間でルーディア値を上昇させる方法はある。だけど、ルーディア値は人の心の重要な要素なんだ。それが急激に変化したら、心身に負担をかけすぎてしまって大きなダメージを受けてしまう。下手すると廃人になるし、そんな方法を君たちにさせるわけにはいかないよ」
リンネカルロはラフシャルの言い分の正しさに何も言い返せず、モヤモヤとしていた。簡単に強化できるからといって心が壊れては元も子もない。ゆっくりでも安全な成長。私もラフシャルの言葉に同意する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます