第248話 合流/渚
勇太捜索の為に出発してから十日、道中色々あったけど、ようやく無双鉄騎団と合流することができた。
「渚。久しぶりだね、格納庫の右側が空いてるからそこにライドホバーごと入りな」
迎えにきてくれた無双鉄騎団の赤い魔導機。ライダーは確かアリュナって人だったかな。彼女の誘導に従い。無双鉄騎団のライドキャリア、フガクの格納庫へと入った。
「お久しぶりです。皆さん」
格納庫に入ると、すぐに外にでて出迎えてくれた無双鉄騎団の人たちに挨拶する。出迎えてくれたのは十人ほどで、何やら凄く歓迎されていた。
「よくきたね。みんなあんたのことを待ってたんだよ」
アリュナが笑顔でそう言ってくれる。
「渚〜! 渚なら勇太を見つけられるって聞いたよ! 早く探しに行こうよ!」
そう、勢いよく言ってきた小学生くらいの女の子。確かナナミちゃんだったかな。ナナミちゃんは私の腕を引っ張ってすぐにでも勇太を探しに向かおうとしている。
「ナナミ。過度な期待は禁物ですわよ。幼馴染みだからって、そんなことできるわけありませんわ」
リンネカルロさん。天下十二傑の一人。前に会った時からどうも私に対するあたりが強い気がする。今もちょっと睨まれているし……。
「おいおい、お前たち。勇太の捜索は明日にして、今日は休ませてやれ。長旅で疲れてるだろうからよ」
私たちに気を遣ってそう言ってくれたのは、ジャンって人だ。前の戦いでは、エモウ軍を率いて大活躍した指揮官だと聞いているけど、やはりちゃんとしている。
「ありがとうございます。ジャンさん」
「さん、なんていらねえよ。俺も渚って呼ぶから、あんたもジャンって呼んでくれ」
「はい。それでジャン。話は変わりますが、勇太の捜索はどこまで進んでいるのですか?」
今日は休むとしても、やはり現状どうなっているのか気になるので尋ねた。
「安心しろ。結果から言えば勇太は確実に生きている。俺たちは勇太が飲み込まれたであろう海流の分岐を虱潰しに調べてな。それで三日前にようやく、アルレオのコックピットを見つけることができたんだよ。そこには勇太の死体は無かったから、間違いなく生きているだろう」
それを聞いて安心する。ほっとして体の力が抜けるのを感じた。
「おそらく、どこかを元気にウロウロしてるだろうが、金も知り合いもいないからな、移動するのも苦労してるかもしれん。通信するにもこの辺にはアムリアやメルタリアと国交のある国も無いし、八方塞がりになってるだけだろう」
ジャンの言葉に私は深く頷く。
「生きてるなら元気にしていると思います。勇太はどんな環境でも適応しますから」
「だな、俺もそう思う」
よかった……勇太は絶対に無事だ。私は心底安心した。あとはあのバカを探してあげるだけだ。
「あなたも魔導機のライダーなの?」
ナナミを見て、ヒマリがそう質問した。おそらく同年代の女の子が魔導機に乗っているのに興味があるようだ。
「そうだよ。ナナミの愛機はそこにある金色の魔導機なんだ」
「すっご〜い! 私と変わらない歳なのに〜。ね〜ね〜魔導機の中を見せてよ」
「いいよ。見せてあげる。ファルマも一緒に行こう」
「うん」
ナナミちゃんは獣人化している女の子も誘って三人で金色の魔導機の方へとかけていった。
「こら! ヒマリ! 迷惑でしょう!」
ユキハが妹の勝手な行動を注意する。しかし、アリュナがそれを静止した。
「別にかまいやしないよ。子供同士が仲良くなるのは普通だろ」
「すみません……何か壊さなければいいのですけど」
「壊してもうちには優秀なメカニックがいるからすぐに直しちまうよ。それより、大人には大人の付き合いがあるだろう。どうだい、上にいい酒を用意してるから今から一杯」
アリュナの誘いに、ユキハは嬉しそうに同意した。ユキハってお酒の癖があまりよくないって前にラネルが言っていたような…… 子供同士で戯れるヒマリより、お酒を飲むユキハの方が心配になった。
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