第235話 再侵攻
エリシア帝国軍がまた動き出したと、バルミハルの諜報部隊から報告が入ってきた。また侵攻してくる可能性が高く、剣豪団も防衛の為に戦いに備えた。
「報告では敵は援軍を受けたようで、戦力が増強されているそうだ。ユウトのアジュラの修理も終わっているだろうから、先日の戦いより厳しくなるかもしれん。各自仲間と連携して無理せず戦うように」
オヤジの言葉に、魔導機で待機する皆が了解した。
今回は最初からスカルフィ一門と清音一門が合流している。敵も増強されているようだけど、負ける要素は少ないように思う。
敵の動きを探りながらいつでも戦えるように魔導機で待機していたのだけど、不意にオヤジから個別通信が入った。
「勇太、清音、聞こえるか?」
どうやら清音にも繋がっているようだ。清音はすぐに返事をする。
「どうしましたか父上。私と勇太だけに通信とは……」
「スカルフィから二人で話したいと申し入れがあった。悪いけど少し戦場を離れる」
「このタイミングでですか!?」
「このタイミングだからそうだ。大きな戦いになりそうだから、その前に蟠りを取りたいそうだ」
「確かに戦闘中に大きな分裂があったら危険ではありますけど、いくらなんでも敵が迫っているのですよ」
「まだ、敵軍の姿も見えないから、もうしばらくは大丈夫だろう。俺とスカルフィのいない間の指揮は頼むぞ、清音」
「わかりました。しかし、手短にお願いします」
「わかってる。勇太、お前も頼んだぞ。清音を守ってやってくれ」
「何言ってるんだよ、オヤジ。ナマクラに乗っている俺より、清音の方が遥かに強いぞ。守ってもらうのは俺の方だ」
「ハハハッ── 強さなんて関係ない。古来より男は女を守るものだと相場が決まっている」
よく考えたら無茶苦茶な理論だが、なんとなくそれに納得した。
「まあ、最善は尽くすけどな」
「男同士で変に話を進めないでください。私は自分の身は自分で守ります。そもそも父上は少し離れるだけでしょう。さっさとスカルフィとの話を終わらせて戻ってくればいいだけじゃないですか」
「ハハハッ── そりゃそうだな。わかった。すぐに戻ってくる」
そう言うとオヤジのエクスカリバーはゆっくりと東に見える、森の方へと向かった。多分、そこでスカルフィと待ち合わせをしたのだろう。
清音はオヤジの指示通り、剣豪団の指揮を引き継いだ。敵の侵攻ルートを予想して、陣形を組み、戦いに備える。スカルフィ一門も、師であるスカルフィが不在なので素直に清音の指示に従った。
「師匠。大先生はどうしたのですか?」
ブリュンヒルデがオヤジの不在に気がついてそう聞いてきた。
「少し離れています。大丈夫、すぐに戻ってきます」
「そう言えばスカルフィさんのアロンダイトもみないな」
トリスも異変に気がついてそう指摘する。
「二人ともすぐに戻ってきます。まだ敵は見えないので大丈夫です」
しかし、清音のその言葉はすぐに否定された。
「報告! 南よりエリシア帝国の部隊が侵攻してきました! その数、魔導機200機前後、ライドキャリア5隻!」
バルミハル軍からの情報に、剣豪団の団員たちの動揺は隠せない。
「スカルフィ師匠! 敵軍です! どこにいらっしゃるのですか!」
スカルフィの一番弟子であるディアーブロが、エクスカリバーもアロンダイトも不在のこの状況での敵襲に不安になったのか師に問いかける。しかし、スカルフィからの返事はなかった。
「父上! 敵襲です! すぐに戻ってきてください!」
清音もオヤジに問いかけるが、オヤジからの返事もなかった。どうしたのだろうか、二人とも通信にすら出ないとは……
「仕方ありません! 父上もスカルフィもいませんが敵は待ってくれません! 剣豪団、全団員は戦闘態勢に入ってください!」
見ると南の平原の先にエリシア軍の姿が見えてきた。剣豪団の大きな柱が二つも不在の中、戦闘は始まろうとしていた。
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