第143話 別働隊
敵を殲滅数すると、ラネルたちが後方から出てきて近づいてくる。
「あの規模の軍を一人で倒すなんて、実際に見た今でも信じられないです」
「しかもこれほど短時間で……一体、あなたは何者なのですか、傭兵とは聞きましたが、無双鉄騎団、剣聖以外にこれほどの傭兵がいるとは驚きです」
ラネルとテミラの隊長がそう言ってくれる。無双鉄騎団の名を広めるのには成功しているようである。
ラネルたちに誉め殺しにされているとき、言霊箱に通信が入ってきた。出ると相手はエミナであった。
「勇太、北西の山にもうすぐ到着するけど、状況はどう?」
「あっ、迎えの応援部隊はエミナなのか」
「私だけじゃないわよ、ナナミと20機のエモウ軍も一緒よ」
エミナがそう言うと、待ってたとばかりにナナミが会話に入ってくる。
「勇太〜迎えにきたよ!」
「なんだ、そんなに戦力をこっちによこして向こうは大丈夫なのかよ」
「リンネカルロが無双してるから平気みたい、あと、ラフシャルの新兵器が強力みたいで、ファルマが大活躍してるのよ」
「なんだ、ラフシャルは他のみんなにも新しい武器を渡してるのか」
「そうよ、私のボウガンも強力になってるのよ」
「ナナミのも! この盾、すっごいんだって!」
なるほどな、ラフシャルは俺だけではなく、みんなに武器を用意していたみたいだ。
それからすぐにエミナたちと合流した。俺は敵の増援が近づいていることを説明して、ボロボロのテミラ兵やラネルを預ける話をした。
「ちょっと、その増援部隊を一人で叩くつもり?」
「勇太、またそんな無茶言い出して……」
「増援部隊がジャンたちと戦っている部隊と合流したら厄介だろ、そんなに数も多くないから一人でも平気だと思って」
「それで増援部隊の規模はどれくらいなのよ」
「ざっと見ただけだから正確にはわからないけど、200機くらいじゃないかな」
「200機を多くないって感じてる感覚は異常だから! あのね、勇太、200機の中にハイランダーやダブルハイランダーが多数いたらどうするのよ、いくらあなたでも、もしもって事あるからね」
「いや、強敵がいるかどうかって、なんとなくわかるんだよな、あの増援部隊にはそんな気配がなかったから大丈夫だよ」
「何よその変な感覚……そんな得体の知れない能力を信じて、あなたを一人で200機の部隊を倒しに行かせるわけには行かないから」
「大丈夫だって、とにかくラネルたちを頼んだ、ジャンにもそう伝えておいてくれ」
「もう……言っても聞かないようね、わかったわ、私も一緒に行きます。ナナミ、悪いけどラネル王女たちを連れて本隊と合流して」
「え〜! やだ、やだ! ナナミも勇太と一緒がいい!」
「もう、困ったわね……」
その話のやり取りを聞いていたラネルが提案してくる。
「あの、確かに私たちは破損してボロボロですがまだ戦えます。よろしければその戦い、私たちも参戦させていただけないでしょうか」
ラネルの意見にテミラ兵も同調して、懇願してくる。いや、できれば遠慮願いたいと思うが、どうもそんな雰囲気ではなくなってきた。
「ちょっと、待って、ジャンに相談してみるから」
ジャンならキッパリと反対してくれると思ってそう言ったのだけど……
「なるほどな、まあ、本人たちが戦いたいって言うならいいんじゃねえか、こっちは楽勝ムードだから好きにしろよ」
「え! いや、ジャン、敵は200機だぞ! 流石に危険じゃないか! 連れているのは王女様だぞ!」
「馬鹿野郎! お前は自分が強えのをいい事に、単独行動に慣れすぎなんだよ! ちょっとは周りを守りながら戦う術を学んだ方がいい! いいじゃねえか、王女様を守りながら多数と戦う騎士ってのも悪かねえ。しかしよ、絶対に守り抜けよ、一人も犠牲者を出すんじゃねえぞ!」
俺の強さを信頼しているのかジャンが無茶を言い出した。敵の増援部隊との戦いの難易度が何段階にも上がった感じで頭が痛い──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます