第124話 トップシークレット
ラフシャルとオビワンは後日、俺たちと合流することが決まり、それまでに準備をしておくそうだ。今請け負っている仕事を片付けたり、持っていく荷物を選別したりするそうで数日は準備にかかるとの話である。
優秀なメカニックの加入が決まり、ライザはご機嫌でライドキャリアに戻ると鼻歌まじりに魔導機の整備を始めた。苦労かけていたライザがそれだけ喜んでいるのをみると、ラフシャルとオビワンの加入は正解だったと言えるだろう。
それから、ライドキャリアに戻ってきた仲間たちに、俺の判明したルーディア値をジャンが報告すると、ちょっとした騒ぎになった。
「さすがは私の惚れた男だね」
アリュナは冷静にそう受け止め。
「ルーディア値100万から200万くらいって軽く言ってるけど、これが世間に知られたら大騒ぎになるわよ」
エミナは世間の反応を気にした。ジャンはエミナの言葉を聞いて、言うまでもないけどと前置きしてこう注意した。
「これは無双鉄騎団のトップシークレットだ、みんな他言無用だぞ。リンネカルロ、ユーディンとか国の奴らにも、ちくんじゃねえぞ」
「わかってますわよ。まあ、言っても誰も信じてくれないかもしれないですけどね」
そして他の仲間の反応は……
ナナミとファルマ、そしてロルゴの三人は、ルーディア値100万とかどうでもいいようで、本日の買い物で購入した品を見て喜んでいる。アーサーは俺を指差し、口をパクパクさせて今にも気絶しそうな感じで震えていた。
さらに大賢者ラフシャルがメカニックとして仲間になると報告すると、あの大人しいファルマが珍しく興奮して喜んでいた。
「大賢者ラフシャル……私の憧れの人です。魔導機を作った最初の人……生きてたなんて素敵! 勇太、本当に無双鉄騎団の仲間になるの!」
「ああ、ちゃんと約束してきたよ、代わりに俺は何かに協力させられるけどな」
「どんな人だった? 素敵なおじさんかな」
「いや、おじさんなのは多分、中身だけだな、見た目は綺麗なお姉さんだ」
「そっか、お姉さんなんだ」
やはり興奮度がマックスなのか、見た目がお姉さんで中身がおじさんの矛盾を気にしない。
「ゆっ、勇太!」
さっきまで呆けていたアーサーが、変なテンションで俺を呼ぶと、がっしりと手を握ってきた。
「なっ……なんだよアーサー……」
「き……君は事の重大さがわかってるのか! 100万だぞ100万! これは歴史を変える重大事件だ!」
「変な反応するなよ、さっきジャンも言ったろ、100万だろうが200万だろうが世間に公表する気はないし、だから事件にもならないよ」
「なんとももったいない! ルーディア値100万のライダーがいる傭兵団と言うだけで引く手あまた、それだけで一生安泰だぞ! 世界は無双鉄騎団に注目して、人気者になり、この私だって……」
言いたい事はわかるけどな、なぜ手をがっしり握って力説する。
「リンネカルロ、どうにかしてくれ」
そう彼女に助けを求めると、近くにあったジャンの雑誌を手に持ち、思いっきりアーサーの頭を叩いてこう言い放った。
「馬鹿言わないのアーサー! ルーディア値100万の存在が世界に知られたらどうなると思ってますの、勇太を奪い合う世界大戦の始まりですわよ! 戦乱の世でどれくらいの犠牲が出るか想像しなさい!」
やはりアーサーにはリンネカルロだ。彼女の言葉に反論できないのか、それとも叩かれた頭が痛いのか、彼は頭を抑えて蹲る。
「リンネカルロの言う通りだ、下手すると世界相手に戦争しなきゃいけなくなる。それと同じ理由で大賢者ラフシャルの事も内緒だからな、言っちゃダメだぞ」
ジャンが念を押してそうみんなに注意した。
「まあ、言ったとしても勇太のルーディア値も、大賢者ラフシャルの話も誰も信じやしないだろうけどね」
アリュナが言うように話が大きすぎて、もはや冗談レベルなので、たとえ話がもれても騒ぎになる可能性は低いように思えた。
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