第63話 雷撃
アーサーとナナミの戦いが終わり、引き続きナナミとリンネカルロが戦うことになった。
「すぐに終わらせますわ、さっさと始めましょう」
「すぐに終わらせるって……ナナミ、そこそこ強いよ!」
「わかってますわ、貴方は十分に強いですし、敬意を払ってもいいくらいです、ですけど、世の中には多少の強さではどうしようもできない存在があるってことを教えて差し上げますわ」
さっきの戦いと同じようにナナミとリンネカルロが少し間合いをあけて睨み合う……そしてジャンが戦闘開始の掛け声を上げた。
「試合開始!」
さっきと違って、ナナミは開始の合図と同時に動き出した……盾を前面に構えてリンネカルロの攻撃に備えつつ、前に進んでいく。
「ナナミ! 気をつけて! リンネカルロのオーディンには正体不明の遠距離攻撃があるって噂よ!」
アリュナがそうアドバイスを送る。正体不明ってなんだろ……そう思っていたのだけど、それはすぐに目の当たりにすることななった──オーディンは持っている杖をナナミのヴァジュラに向けたと思った瞬間、強烈な閃光が走り、ナナミの構えていたシールドが吹き飛んだ。
シールドを持っていた腕もボロボロになり、あのヴァジュラが一撃で大ダメージを受けていた。
「くっ……何も見えなかった……」
ナナミは戸惑いながらも、勝負を諦めていなかった、体勢を低くして、懐に潜り込むようにリンネカルロのオーディンに接近する……何かの閃光がナナミを襲うが、それを紙一重で避けていく。
そしてヴァジュラとオーディンは接近して、ヴァジュラの攻撃範囲内となり、ナナミは剣でオーディンの頭部を貫こうとした……
ガシッ……剣を持つヴァジュラの右腕を、オーディンは掴んでいた……
「ここまで接近されたのは久しぶりねすわ、やはり貴方は十分に強いです、自慢して宜しくてよ」
リンネカルロがそう言った瞬間、眩しい閃光が煌めき、見るとヴァジュラの頭部が吹き飛んでいた……そのままヴァジュラはゆっくりと膝をつくように崩れ落ちる。
「しょ……勝負ありだ……勝者はリンネカルロ……」
「あああ〜!! なんて壊し方してくれてるのよ……修理大変だって……」
ライザがそうぼやいているけど、それより試合結果に驚いている、あのトリプルハイランダーのナナミがここまで一方的に負けるなんて……
「さて、次は勇太、あなたの番ですわね、私に名を覚えさせたくらいですから少しは楽しませてくださいよ」
よし、やってやろうじゃないか、どこまでやれるかわからないけど、全力でいってやる!
「勇太、オーディンのあの攻撃をどうやって防ぐつもり?」
アリュナがそう聞いてくるけど、どうしたらいいか俺にもわからなかった……しかし、ふと見るとナナミのヴァジュラが装備していたシールドが目に入る。
シールドは吹き飛ばされたけど、見ると別にシールド自体は破損してないな……だったらシールドをしっかり握ればあの攻撃を防げるんじゃないか……
「ナナミ、ヴァジュラのシールドと剣を借りていいか?」
丁度、ヴァジュラから出てきたナナミそう願いでた。
「うん、いいよ、ナナミの敵討ちよろしくね」
「任せとけ」
ナナミに軽く返事をすると、俺はヴァジュラのシールドと剣を装備した。
「さあ、どれくらいの時間、持つかしらね」
「いや、俺は勝つつもりだよ」
「凄いですわね……私に勝ったりしたら、あなたは天下十二傑になりえる強さってことになるわよ」
「どう凄いかピンとこないんだよな……天下十二傑って言葉も昨日聞いたばっかりだし」
「その無知は自慢にはなりませんわよ、なら、今から嫌と言うほど天下十二傑の力を味わうといいですわ」
そう言いながらリンネカルロは自然と距離をあける……やはり接近戦はそれほど得意ではないのかな……
「よし、それでは最終戦だ、これで勝った方が勝利だからな、文句言うなよ」
ジャンがそう念を押す。
「試合開始!」
開始の合図とともに、オーディンの遠距離攻撃に備えて俺はすぐにシールドを構えた。
一瞬、見えるはずのないリンネカルロの顔が見えた……その表情は不適な笑みを浮かべていた……
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