第54話 新しい仲間

ロルゴの領地に入ると、所々荒らされているのが見える……すでに野盗たちが略奪を開始しているようだ。


「いたぞ、ロルゴのガネーシャだ! もうあんなにボロボロに……」


ロルゴの魔導機ガネーシャは、かなりの数の魔導機に一方的に攻撃されていた…

…領民を守る為に魔導機に乗って戦おうとしたけど、どうしていいかわからないんだ……


「勇太、アルレオ、出るぞ!」

「アリュナ、ベルシーアも出るよ」

「ナナミ、ヴァジュラも出るね」

「ファルマ、ガルーダも出ます!」


ライドキャリアから飛び出した俺たちは、ロルゴを取り囲んで攻撃している野盗の魔導機に攻撃を開始した。


「なんだテメーらは! 俺たちの獲物を横取りに来たのか!」


野盗の魔導機の一体から外部出力音でそう怒鳴り声が聞こえてきた。


「お前らと一緒にするな! 俺たちは友達を助けにきたんだよ!」


俺はダブルスピアで二体の魔導機を粉砕しながら外部出力音でそう言い返した。


野盗の魔導機は、前に戦ったチラキア軍の魔導機よりもさらに弱かった、軽く殴るだけで煙を拭いて止まるほど脆く、動きもぎこちなく遅い。こんな相手にハイランダーの機体がボロボロになるほどやられているのかと思うと、ロルゴがどれだけ長時間一方的に攻撃されていたのかがわかる。


「ロルゴ! 大丈夫か!」


「ゆ……勇太……おで……みんな守ろうとした……だけど……どうやったらいいか……おで……うっ……」


魔導機越しにもロルゴが泣いているのがわかる。

「もう大丈夫だから、泣かなくていいって」


そうロルゴを慰めてる間にも、野盗の魔導機は襲いかかってくる。二体の野盗の魔導機が俺を左右から同時に攻撃してくる、ダブルスピアで右からきた魔導機を貫くと、左の魔導機はアルレオの左肘で顔面を粉砕した。


さらに奥から一体が剣を振り回しながら走ってきたが、ファルマのアローに貫かれる。


アリュナとナナミは素早く動きながら野盗の魔導機を次々破壊していく、二人が通り過ぎるだけでプシュプシュと野盗は行動不能になっていった。


「ぐっ……何者だテメーら! これだけの数の魔導機を相手に……」


数十機いた魔導機も、そう言ったボスぽい奴と残り三人になっていた。


「俺たちは傭兵の無双鉄騎団だ!」


「無双鉄騎団だと……チッ、そんな無名の傭兵団に……」


やっぱり無名だよな……だけど、こうやって名乗りを挙げていれば、少しづつ知名度は上がっていくと思う。


名乗りを挙げながら敵のボスの魔導機の頭部を吹き飛ばし、腕と足を切り刻んで行動不能にする間に、他の敵機もアリュナたちに片付けられる。


全ての野盗を片付けると、ロルゴのガネーシャに近づいた、するとロルゴがハッチを開いて出てきた。


「おで……おで……勇太……おで……」


何かを言いたいのだけど何を言っていいかわからないようだ、代わりに俺はロルゴにこう叫んだ。


「俺たちと一緒にこい! 俺の仲間になれロルゴ!」


「おで……バカでトロくて……勇太たちに迷惑かける……おで……」


「そんなの関係ない! ロルゴはロルゴだろ、もう俺の友達だし仲間だよ」


そう俺が言うと、何か吹っ切れたのか、顔をあげたロルゴは興奮しながらこう叫び返した。


「おで……勇太の仲間になる! おで……領主やめる!」


ロルゴは領主を辞めて俺たちの仲間になる選択をした。こうして、ロルゴを無双鉄騎団の仲間に迎えた。



すぐにロルゴの領地の放棄の手続きを進めた、王に正式な書面で領地の放棄を伝える。書面とかはジャンが全部整えてくれたのだけど、ジャンって何でもできるよな……


「いいのか、この手紙を出したらお前はここの領主じゃなくなるぞ」


ジャンが最後の確認をする。ロルゴは迷いのない顔で自分の意思を伝えた。


「おで……領主できない……領民にも迷惑……おでは勇太たちの仲間がいい」


その意思を聞くとジャンは頷いた。依頼して来て貰っていた配達人に手紙を渡して、先払いである配達の報酬を支払うと配達人はすぐに王の元へ向かった。


領地の破棄なんてする者は珍しいらしいらしいので王もびっくりするだろうな……


「ロルゴ、ずっと一緒にいられるね」

「ほら、ロルゴの部屋決めないと」


ナナミとファルマに連れられて、ロルゴはライドキャリアへと引っ張られていく……ロルゴの嬉しそうな表情を見ると、無双鉄騎団に誘って良かったと心から思った。

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