第35話 ルバ要塞攻略

俺たちはルバ要塞の西側に回り込み攻撃の準備をした……


「あーあー、みんな聞こえるか」

「アリュナ、ベルシーア、聞こえるよ」

「ナナミ、ヴァジュラ、聞こえます」

「ファルマ、ガルーダ……聞こえる」

「ジャン、ライドキャリア、聞こえてるぞ」

「勇太、アルレオ、了解」


どう言った原理かはわからないが、言霊箱と言う魔法技術により、魔導機どうしと、ライドキャリアで会話ができるようになっていた……あと、カークス軍から味方を識別するビーコン水晶と呼ばれる物を渡されていたので、それも各魔導機に設置している……このビーコン水晶、大まかな味方の位置が水晶に点として表示されていて、大雑把ではあるが味方の動きがわかる。


「ちょっと待て、アルレオの右腕に変なの付いてるんだけど……」

見るとアルレオの右腕に、大きな腕時計みたいなのが取り付けられていた。


「勇太、飛び道具が欲しいって言ってたろ、ライザに言って取り付けさせたんだ、それが前に話した魔光弾だよ」


「これが……どうやって使うんだ」

「ルーディアコアに接続されてるから、操縦と一緒だよ、イメージして放つんだ」

「なるほどな……」

「だけど威力は期待しない方がいいかな、あくまでも牽制として使えばいい」

「了解〜」


ルバ要塞の西に5キロ地点……ここからはライドキャリアは目立つので、降りて魔導機で向かうことにした……


「ライドキャリアは私たちを降したら後方に下がって待機してて」

「わかった、四人とも無理すんじゃねえぞ」



ビーコン水晶を見ると、自分の点を中心に三つの点が一緒に動いている。ビーコン水晶に触れると、拡大、縮小ができるみたいで、数多くの点が現れた……数や位置から考えると、東と南から攻めている友軍の点だとわかる。


またビーコン水晶にはバトルレコーダーなる機能も付いていて、敵を倒すとここに記憶されるようになっているようだ、これにより撃破数が確認できて証明となるそうだ。


要塞の攻略戦が始まったようだ……激しい戦いの音が聞こえ始めてくる……


俺たちの前にも敵の魔導機部隊が見えてくる……その数はパッと見て50機くらい……想定では2〜30くらいだと予想していたので思ったより数は多かった。


「ファルマ、上昇してアローの用意。俺は中央に突撃するから、ナナミとアリュナは左右から敵を倒していってくれ!」


丈夫なことには自信があったので、俺が中央に突撃して敵を引き付けることにした。そうすれば仲間への危険のリスクは減るような気がする……


突撃した俺の向かって、すぐに四機の敵が接近してくる……敵の武器は四機とも長い槍なのを見ると俺は加速して懐に入った……そして近距離で両手のトンファーを振り回して攻撃する。


敵の魔導機は思ったより脆い……ボディーに一撃受けただけで煙を噴いて停止する……


「まずは一機!」


そのまま体を回転させて左右の機体にもトンファーを叩き込む……一機目と同じく、左右の二機もシュシューと音を立てて膝をついて動かなくなる。


残る一機の頭を叩くと、ブシュッと首が吹き飛ぶ……そのまま力なく後ろに倒れてそれも動かなくなった。


四機倒したところで周りを見渡すと、ナナミとアリュナも数機の敵機を倒し終えていた。


さらに敵の第二陣が近づいてきた……その数は20機ほど……


「ファルマ、アローで攻撃!」


ファルマが近づいてくる敵機に対して、アローを撃ち始めた……ファルマのガルーダのアローの攻撃精度は高く、撃つ矢が全て命中する……さらに威力も相当に強いようで、命中した敵機は体を貫かれてそのまま行動不能になっていた。


敵が怯んだのを見てアリュナが声をあげる。

「敵はビビってる! このまま殲滅しよう!」


アリュナのベルシーアはそう言うと加速して敵機の中に突撃する……俺とナナミもそれに続いた。


やはりアリュナの戦闘力は凄まじい……一瞬で三機の魔導機がベルシーアの双剣に分解される……


さらにナナミの成長は目を見張るものがある……ナナミのヴァジュラは右手に片手剣、左手にシールドと攻守のバランスの良い装備で、シールドで攻撃を防ぎ、剣で敵を蹴散らしている……全く隙が無い動きで、本気で戦ったら俺も負けそうだとすら思ってしまった……


俺も負けてはいられない……体を回転させながら敵をトンファーで蹴散らしていく……トンファーの扱いにも慣れてきて、この武器の強さがようやくわかってきた……威力、スピード……攻守でその力を発揮できる汎用性……近接戦闘では負ける気がしない。


戦うのに集中していて気づいてなかったが……すでにこの時、俺たち四人の合計撃破スコアは50を超えていた……100の敵の三分の一だと33ほどだと思うのだが、どうも様子がおかしい……

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