第22話 クラスメイトとは……
新鋭の剣闘士三人と、謎の新人の俺の対戦は、掛け金一億と高額なこともあり、試合前から注目されていた……
「調べたら、三人ともデビューから十連勝以上している注目剣闘士だそうだ……大丈夫か、勇太……」
ジャンが原西たちの情報を調べて来てくれたみたいでそう教えてくれる……負け知らずの十連勝か……その結果がアイツらの性格を歪めたんだな……
「大丈夫だよ……どうしてか負ける気がしない」
どこから来るのか俺は勝つことに一切の疑いを持っていなかった……それは勝つ自信からくるものではなく、絶対に勝つという信念からくるものだと思う。
コロシアムは今まで感じたことないくらいに盛り上がっていた……試合時間も夜からとメイン扱いとなった……
「勇太、怪我しちゃダメだよ」
「そうだよ、負けてもいいけど危ないことしないで」
ナナミとファルマにそう言われ、元気が出てくる……俺はアルレオに乗り込むと、入場口へと歩みを進めた。
「さぁ! 本日一番の注目試合! デビューから負け知らずの二桁勝利、チームドウルフの新鋭剣闘士、山倉伸介、原西裕司、芝居洋介の三人! 機体はランザ、エダル、ミシェーとなります。対するはここ二試合を圧倒的勝利を収めている新人剣闘士、勇太! 機体はアルレオ!」
電光掲示板にオッズが表示される……42/1.6 やはりマグレだと思われてるんだな……それとも原西たちの評価が高いのか……
「おい、勇太……死んでも文句言うなよ……」
「おい、山倉、元クラスメイトを殺すなんて物騒なこと言うなよ、こんな無謀な戦い、自殺みたいなもんだろ」
「ヒャハハっ、確かにそうだな、これは勇太の自殺だ、殺しても仕方ねえ」
うむ……人ってここまで変化できるんだ……他人の振り見て我が振り直せだな……気をつけよ……
試合開始のブザーが鳴る……
「さぁ! 試合開始です!」
山倉の武器は棍棒のような武器で、芝居は長い槍、そして原西は両手剣だ……三人は完全に俺を舐め切っているようで、無防備に近づいて来た……
「ほら、勇太、避けてみろよ!」
そう言って山倉が棍棒で殴りかかってきた……確かにこれまでの二戦の相手よりは早いが……まだまだスローに感じる……俺は軽く避けた……
「ほう、あれを避けたぜコイツ……生意気だな〜」
「山倉、次は俺に攻撃させろよ、このロンギヌスの槍で串刺しにしてやるよ!」
そう芝居は言いながら、長い槍で攻撃してきた……リーチが長いのが利点のように思えるけど、距離をとるわけでもなく、接近戦で槍を使用している……俺はトンファーで槍の持ち手を思いっきり叩きへし折った……
「なああっ! 何すんだコイツ! この槍高いんだぞ!」
「遊びはそれくらいにして本気でかかってこいよ……俺はファルマの件で怒ってるんだからな……」
俺は凄んでそう言った……
「チッ……ルーディア値2が何言ってんだ……」
「山倉、芝居、本気で殺すぞ……バカはは死なないとわからねえようだからな……」
三人は俺を取り囲むように動く……不意に槍を折られた芝居が俺に飛びついてきた……アルレオの胴体にしがみ付き俺の動きを封じる……
「死ねよ、勇太!」
山倉の棍棒と、原西の両手剣が左右から攻撃してくる……俺はその二つの攻撃を手で受け止めた……
「なんだと!」
「嘘だろ!」
そのまま力を入れて山倉の棍棒と、原西の両手剣を握り潰す……
「なっ! テクタイト製の武器を片手に握り潰すだと……」
「ありえねえ!!」
俺は動体にしがみ付いている芝居を、持ち上げた……そして上空高く放り投げる……かなりの高さまで飛んで落下してきた……
ドガッ! と大きな音を響かせて落ちると、ブシュブシュといたるところから煙を出して動きを停止させた……
「芝居……くそ!」
そう言って山倉が体当たりしてきた……俺はトンファーで山倉の胴体をぶん殴った。胴体が原型がわからないくらいに変形する……そしてそのまま後ろに吹き飛ばされるように倒れた……
最後に残った原西は完全にビビったのか俺と距離をとって後退りする……
「嘘だ……ルーディア値2がこんなことできるわけねえ……なんだよ……お前なんだんだよ! 俺たちを騙したんだな! どうするんだよ……この試合に負けたら俺たちは……終わりだ……全部終わっちまう!」
「……知るかよ……自業自得だろ……」
「くそっ! うわあああ〜〜!!!」
そう言って突っ込んできた……俺はトンファーで原西の顔面を思いっきりぶっ叩いてやった。
頭部がスパーンっと綺麗な音がして吹き飛んでいく……原西の機体はユラユラと力なく歩いて……その場に崩れ落ちた……
「勝負あり! 勝者、アルレオ、勇太!」
大きな歓声を俺は黙って聞いていた……他のクラスの連中もこんな風になってるのかな……そんな心配をしていた……
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