第20話 次の戦い

やはり、初戦での戦いが圧倒的だったこともあり、次の対戦は中々決まらなかった……そこでジャンが秘策を使うと言い出した……


「ハンデマッチで戦うぞ」

「ハンデマッチ?」

「そうだ、こちらに不利な条件で試合を申し込むんだよ」

「ええ! 不利な条件って……」

「例えば複数人での戦いだな……勇太一人で相手は三人とかな」


「ちょっと、そんなの勇太が可哀想だよ」

「そうだわ、勇太、そんな戦いする必要ないよ」


ナナミとファルマはそう言うが……でも……警戒して試合してくれなかったらどうしようもないからな……それに最初の試合で苦戦しろってジャンの助言を聞けなかった俺も悪いし……


「わかった、ハンデマッチで申し込んでくれ」


ナナミとファルマが悲しい表情したけど、屋敷でも三人を相手に戦ったりしてるしな……なんとかなると思う……



そして次の試合が決まった……三対一のハンデマッチ、掛け金は4000万と大きな試合だ。


「相手は中堅剣闘士三人だ、初戦の相手より三人とも格上で、厳しい戦いになると思うけど、思いっきりいけ」

「手は抜かなくていいのか」

「はははっ、そんな余裕は流石にねえだろ、余計なこと考えないで勝つことだけ考えてろ」


ふむ……正直、まだ本気で戦ったことないんだよな……実際自分の力がどれくらいかもわからないんだよな……


「そうだ、勇太、流石に三対一で素手はキツイだろ、武器を買いに行くぞ」

「そうか、武器を持ってもいいんだよな」

「なんだよ、素手のスタイルは好みってわけじゃなかったのか」

「武器って発想がなかっただけだ」

「たく……頭はよくねえよなお前……」

「うるさいな……確かに否定はできないけど……」


とにかく、アルレオの武器を購入することになった……魔導機用の武器屋には、あらゆる武器が揃ってた……

「やっぱり剣がいいかな……」

「どうしてだ?」

「かっこいいからだ!」

「……やっぱ俺が選ぼう、その方が百倍マシだ」

「ええ!!」


「やっぱりトンファーがいいな、攻防に優れた武器でバランスがいい」

「やだな……かっこ悪い……」

「だから! 見た目で選んでんじゃねえよ!」


結局、強引にトンファーを購入させられた……しかも、120万ゴルドと結構な値段である……



そして試合が始まる……


「勇太、いいか、そのトンファーはマガナイトでできてる特注品だ、かなり攻撃力があるから、それで思いっきりぶっ叩いてこい!」


俺はジャンの言葉に頷いた。


「勇太、頑張って!」

「勇太、怪我しないでね」

ナナミとファルマも応援してくれる……手には何かの紙を持ってるので、また俺に賭けたのかな……


「さて、本日のスペシャルマッチ、先日、デビュー戦で圧倒的な力を見せつけた新鋭が、中堅剣闘士三人を相手に戦うハンデマッチ……流石に無謀だ、あまりに無知だとの下馬評を覆すことができるのか! この試合で二戦目、新人剣闘士の勇太! 機体はアルレオ! 対するは三人の剣闘士、ジムニー、ファル、エポリニの三人、機体はルドラ、ベンシー、ハイドラの三体!」


電光掲示板にオッズが表示される……48/1.7 もちろん俺が48である……どうやら初戦はまぐれだと思われたようだ……


「さぁ! 試合開始です!」


試合が始まると、三人は俺を囲むようにゆっくりと近づいてくる……


「ヘヘヘッ……バカな奴だな……三対一の勝負がどれだけ不利か分かってねえみたいだな……」


「ふふっ……こうやって三方向から一斉に攻撃されたら……普通は避けることもできねえんだ……」


「俺たちの攻撃は一撃でお前の機体を破壊できる……それがどう言う意味かわかるよな……」


三人はいかに自分たちが有利な状況か説明してくれる……そんなの言われなくても分かってるって……


三人はタイミングを合わせて一斉に攻撃してきた……前の敵は長い槍で、左の敵は大きな斧で、右の敵は両手剣である……俺は長槍の攻撃を体を捻って避けると、右と左の敵の攻撃をトンファーで受けた……


「なんだと!」


驚いている三人にの隙を突く……トンフォーで長槍を上から叩いてへし折ると、前へ踏み込み、長槍の敵の頭をトンファーを回してぶち当てた。


ガツっと鈍い音がして、首が曲がる……そいつはそのままプシューという音を鳴らして膝をついた。


右の敵が両手剣を振りかぶる……俺は左足でその機体を蹴り飛ばす、両手剣を振り被りバランスが悪くなっていたそいつは後ろにぶっ倒れた……


左の機体はそれを見て動揺しているようだ……俺は体を回転させて勢いよくトンファーで体を激しく殴打した……メシっという音がして、そいつのボディーは大きくへこむ……プシュプシュ煙を出して、真後ろにゆっくり倒れていった……


右の機体が起き上がるが、見ると動けるのが自分一人になっていることに気がついた……ビビって動揺しているところを、俺はトンファーの突起部分でガツっと突いた……首元に大きな穴が開いて動きが止まる……そして持っていた両手剣を落としてそのまま崩れるように倒れていった……


「勝者、アルレオ! 勇太!」


そう宣言されると、大きな歓声があがった……

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