第13話 魔神起動
「どうする、勇太……このままだと魔導機ごとやられちゃうよ……」
「くっ……」
「おい、ちょっと槍を貸してくれ」
外の敵が仲間から槍を受け取ったようだ……槍でこいつを破壊する気か……ダメだ……このままでは……
「くそ……こいつ……本当に動かないのか!」
そう言って俺はガムシャラに両脇に設置されていた球体のレバーを握った……
ブ〜ン……ウウィ〜ン……ピピピッ……カシャカシャ……
周りで何か妙な音が響く……そして周りの機器の光が灯っていった……そして外の様子が投影される……
「嘘……動いた……」
外からも声がする……
「こいつ、動くぞ!」
「いいから早く槍で刺し壊せ!」
「勇太! そのまま立ち上がって!」
ファルマがそう叫ぶ……
「ど……どうやって立ち上がるんだ!」
「魔導機は意識で操作できるの、その操作球に念じて!」
「ぶっ壊れろ骨董品!」
敵の魔導機が槍で攻撃してきた……俺は立ち上がってそれを避けるイメージをした……
ググッと体が浮き上がる感覚がして、魔導機は立ち上がる……そして槍をサッと避けた……
「なんだと! こいつ……意外に素早いぞ……」
「油断するな、二人がかりで倒すぞ……」
倉庫に入ってきた魔導機は二体……一体は大きな槍を持っていて、もう一体は剣を装備している……そしてこちらは丸腰……戦って勝てるのか……
槍を持っている魔導機が、その槍で攻撃してきた……その動きはお世辞にも早いとは言えず、まるでスローモーションのように見える……その攻撃を軽く避けると、武器がないので拳でその機体のボディを殴り付けた……
ボッフ! 凄い音が響いて、なんとそいつの体が大きくへこんだ……そしてプシュ……という音を鳴らして膝をつくようにその場に崩れ落ちる……
「なんだと! 拳で装甲Dランクのゾフスのボディを……」
Dランクがどれほどなのかわからないけど、敵は驚いている……もう一体のゾフスが剣を両手で振りかぶって襲いかかってきた……それを右手で止める……敵はググッと力を入れて剣を振り下ろそうとするが、ギギギ……と音がするだけでびくともしない……敵の両手より俺の機体の右手の力の方が遥かに強いようで、どんどん押し返していく……そして後ろの壁にぶつけるように押し倒した──
倒れた敵から剣を奪うと、そのまま敵の頭に振り下ろす……ブシュッ……頭がとつぶれる音がして、そのまま動かなくなった……
「この機体強いよ……ルダワン軍の主力魔導機ゾフスが相手にならないなんて……」
「よし、これに乗ってこのまま逃げよう」
俺がそういうと、二人は頷いて同意する……
しかし、そう簡単ではなかった、倉庫から出ると、三体の魔導機ゾフスが待ち構えていた……
「なんだこの魔導機は……」
「油断するな、追っているトリプルハイランダーが操縦してるかもしれん、囲んで慎重に取り押さえろ!」
「了解〜」
三体はゆっくり俺たちを取り囲むように動いてきた……さっきので多少は慣れたので、落ち着いていた……右のが斧のような武器を装備していて正面が剣を……左のが槍か……そして三体が同時に動いた……左の機体の槍の攻撃を左手で掴む…右の斧の攻撃は右手で掴んで、前の剣は、右手をグイと引っ張って、強引に斧を持っている機体を盾にして受けた……
「ぐあっ!」
斧の機体は背中を剣で斬り付けられてプシューと煙を吐く……
「なんてパワーだ……」
右手の機体を前に放り投げると、そのまま槍をへし折る……そして槍を持っていたゾフスを前蹴りで蹴り飛ばした……装甲の隙間からプシュプシュと白いのを吐きながら蹴られた機体は後ろに吹き飛ぶ……そして倒れると動かなくなった……
剣を持っていた機体が、剣で突き刺すように体当たりしてきた……それをサッと避けると、右手で肩の中を殴りつける……肩の装甲が吹き飛ぶように外れて、そのままうつ伏せに倒れた……プシュプシュと音を立てて立ち上がろうとするがどこかが故障したのかうまく立てなくなったようだ……
三体とも行動不能にした俺たちは、そのまま屋敷の敷地から出てドスドスと歩いて立ち去る……歩兵がザワザワ騒いでいるが、歩いて追いかけてくる人間を振り切るのは簡単だった……そのまま逃げ去ることに成功した……
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