第11話 大陸最強のライダー
◇
妙な世界……妙なオークション……そして私はどうなるのか……クラスのみんなはバラバラになった……咲良や奈美は大丈夫かな……そして勇太くん……あんなにみんなに馬鹿にされて……わけのわからない数値なんて関係ない、彼の魅力は私が一番知っている……
「結衣様、到着しました……お足元にご注意を……」
そう声をかけてくれたのはエリシア帝国の軍務大臣のイーオと呼ばれるおじさんだ……この人が私をあの妙なオークションで競り落とした人である。
オークション後に私が連れてこられたのはすごいお城だった……東京ドーム何個分だろうか……私の私感だけど、ゆうに二百個は入りそうだ……巨大な城の中……さらに奥にある豪華な建物に私は案内される……
「トリプルハイランダー結衣様に敬礼!」
多くの兵士が私に敬意を払う……私はそんなに偉くない……私にそんな価値はない……そう心では思っていた……
豪華な建物の中のさらに豪華な部屋……そこに一人の人物が待っていた……
「ほほう……若い娘だな……トリプルハイランダーには見えぬところが良いな……」
「皇帝陛下の御前です、結衣様、頭を……」
私は言われるままに頭を下げようとした……
「良い良い、頭など下げぬとも、お主は特別だ……わが国でも5人目の貴重なトリプルハイランダー……頭を下げるのではなく、その力を持って我に忠義を誓うが良い……」
そう言うと、下がるように指示が出たのか、私はその部屋から出された……
「結衣様、どうぞこちらへ……お部屋を案内する前にあなたの魔導機をお見せします」
「魔導機……」
そう言って案内されたのは巨大な倉庫のような場所であった……そこには大きなロボットが所狭しと並べられている……
「ここにあるのは一般の機体です……上級ライダーの機体はこの奥の格納庫にあります」
そう言ってさらに奥へと案内された……その途中で……
「これはユウト様……」
「その子が新しいライダーの子かい」
「はい、トリプルライダーの結衣様です」
ユウトと呼ばれた人は、それを聞くと私に近づき手を伸ばしてきた……
「ユウトだ、よろしく結衣」
「は……はい……よろしくお願いします……」
「同じ日本人、わからない事があったら僕に聞くといいよ、大体のことは説明できると思うから」
「日本人……」
「そうだよ、僕も君と一緒で売られた口でね、もう五年くらいになるけどね」
「そうなんですか……」
「ユウト様! アジュラの整備が終わりました!」
後方からそう声がかかる。
「それじゃ、呼ばれたみたいだから、そろそろ行くね」
そう言ってユウトさんはそこから立ち去った……イーオさんがユウトさんが去った後に彼の説明をしてくれた……
「彼はクインティプルハイランダーのユウト様です……ルーディア値57000……大陸最強と言われてるライダーです」
「大陸最強……そんな人が……」
「そうです、彼の存在があるので、我がエリシア帝国は大陸最強と言われているのです……ですので、時には王より大きな権限を持っておりますので、仲良くなって損はありませんぞ」
少し嫌な笑みでそう言う……どう言う意味かは想像はできるけど、あえて答えなかった。
私の機体だと見せられたのは漆黒の魔導機であった……細身のボディーに竜のような骨格……素直に美しいと思った……
「これが私の……」
「魔導機エルヴァラです、起動ルーディア値は30000、最大出力は300万、装甲SSランク、機動力SSランクとまさに怪物級の魔導機です……」
そう説明されるが今の私には理解できない……興味もないし……
「操縦の仕方などは後日、教育係の者が教えてくれるしょう、早く乗りこなしてこの国のお力になれるように……」
「はい……あの……一つお願いがあるのですが……」
「なんでしょう、私でできることであれば……」
「あのオークションでその……果実で売られた男の子がいたと思うのですが……」
「ああ、あのルーディア値2の不良品ですね」
「不良品……彼はそんなんじゃないです……」
「あっ、これは失礼しました……その彼がどうかしましたか」
「どうなったか心配です……それを調べることはできませんか」
「……まあ、そうですね……わかると思いますが……」
「お願いします……大事な人なんです……」
「ふむ……トリプルハイランダーに頼まれては断れませんな……よろしい、エリシアでその者を買い戻すように指示いたしましょう」
「本当ですか!」
「はい、結衣様へのささやかなプレゼントです」
「ありがとうございます」
彼の素直で優しい性格に一年の時から好感を持っていたけど、好きだって感情に気がついたのは最近である……修学旅行で勇気を出して告白するつもりだったのにこんなことになって……
私に用意された部屋は豪華だった……五十畳くらいの広さで、お風呂もトイレも付いていた……そして人間も……
「はじめまして結衣さま……私は結衣さま専属のメイドで、ルシャと申します」
「私専属……」
「はい、この国ではハイランダー以上のライダーさまには皆、専属のメイドが付くことになっております、なんなりとお申し付けください」
そう言われても……そうだ……お腹は空いてきたかな……私はそれをルシャに伝えてた。
「はい、すぐに食事の用意をさせて頂きます」
小一時間ほどで食事が用意された……それはとても食べきれない量の豪華な料理で、ちょっと困惑する……
「こんなに食べれないよ……」
「食べたいだけ食べていただければ良いのですよ、他に何か食べたいものがあればすぐに用意しますので……」
私は出された料理を少しづつ手をつけた……どれも美味しい……勇太くんは何を食べてるんだろ……そんなん時でも思うのは、やはり意中の彼であった……
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