第7話 ライダーの待遇/渚
◆
「あなた名前なんって言うの?」
「私は渚です……
二千万で購入された私は購入者に引き渡されていた……購入したのはどこかの王族らしいのだが、身なりはそんなに豪華には見えなかった……
「私はアムリアの第二王女、ラネルよ、よろしくね」
「はい……」
「そりゃ不安だよね……知らない世界に連れてこられて……売却されちゃったんだから……でも安心してね、悪いようにはしないから、王族と同待遇を約束するから」
「そうなんですか……」
「そうよ、高ルーディア値のライダーはどの国でもかなりの好待遇を受けてると思うわよ、特に私の国は小さいから……王族と同等で扱うくらいで丁度いいのよ」
「でも……ルーディア値が低いと酷い扱い受けるのじゃ……」
「あら、あなたの仲間はみんな高ルーディア値でしょ……あっ……一人すごく低い人がいたか……」
「彼はどうなるんでしょうか……私……それが心配で……」
「しまった……そうか……なら私が購入すれば良かったね……彼を購入したのは奴隷商人みたいだったからおそらく……」
「そ……そんな……勇太……うっ……」
「あなたもしかしてその人を……」
「うん……ずっと好きなんです……でも……彼は他に好きな人が出来て……」
「そうか……わかった、ちょっと調べてみるよ、もしかした買い戻せるかもしれないし……」
「本当ですか!」
「任せて、小さな国だけど、奴隷の一人買うくらい私の小遣いでもできるから」
勇太……無事でいて……
私がお世話になるアムリア王国は、ラネルが言うように小さかった……人口は50万ほどで、国の大きさは半日あれば馬車で端から端までいける距離ということなので山手線の内側くらいの大きさだろうか……
ラネルが暮らすお城も大きな屋敷と言った感じで、王族というよりどこかの貴族のような感じに見える。
「おぉーその者がハーフレーダーのライダーだな、初めまして、マムリア国王のマジュニだ」
「はい……よろしくお願いします……私は渚です……」
「うむ、渚、よろしく頼むぞ」
「お父さん、渚が緊張するでしょ、もっと笑顔で」
ラネルが父王にそう注意する。
「お……そうだな、それはすまなかった、こんな感じで良いか」
王は引きつりながらも笑顔を作ってくれる……このやり取りだけで二人の人の良さが見えた……どうやら私はいい国に買い取られたみたいだ……
「お姉ちゃん! 私も紹介して!」
そう部屋に入ってきたのは中学生くらいの女の子だった……
「第三王女のヒマリよ、じゃじゃ馬で手がつけられないのよ……」
「酷いわ、最近は大人しいのよ」
「だといいのだけど……それよりヒマリ、ユキハはどこにいるの」
「ユキハお姉ちゃんはいつものとこだよ」
「そう……それじゃ、ちょっと行きましょうか……渚に見せたいものもあるし……」
そう言って私を連れて行ったのは大きな倉庫のような場所であった……そこにあったのは……私はあまり詳しくはないからわからないけど……男の子の好きそうなロボットみたいな……乗り物だった……
「ユキハ〜!」
ラネルがそう呼ぶと、一機のロボットがガシガシ歩いてこちらに近づいてきた……そして胸の扉が開いて、中から青い長い髪の女性が出てきた……
「ラネル、その子がハーフレーダーのライダーね!」
「そう、紹介するから降りてきて」
「わかった、ちょっと待って」
そう言って、何かの梯子みたいな乗り物を降りて、こっちにやってきた……
「私は第一王女のユキハよ、よろしくね」
「はい、私は渚です、よろしくお願いします」
「じゃあ、早速、渚の機体を見てもらおうか」
ユキハは当たり前のようにそう言った。
「私の機体……」
「そうよ、あなたを買ったのはその機体に乗って貰う為なのよ……」
「私が乗る……」
まだ状況がわからなかったけど、連れてこられた場所にあったのは、赤いロボットだった……
「魔導機ラスベラ……起動ルーディア値5000、最大出力12万、装甲Bランク、機動力Aランク……わが国が保有している最強の魔導機よ……」
「魔導機……これが……」
「そう、この機体を動かすには最低でもルーディア値が5000必要だったの……でも、この国で一番ルーディア値が高いユキハでも4000と動かすことが出来なかった……そこで今回の地球人のオークションに参加したの」
「私たちは戦争に使われるの……」
ショックだった……どうやらこれに乗って戦えってことだとわかったからだ……
「あっ、ごめん、確かに多くの国は戦争で魔導機を使用するけど、アムリアは防衛の為の戦力だから……実際、ここ20年も大きな戦いはないから安心して」
「そう……だったらこの機体を動かさなくてもいいんじゃないの……」
「抑止力ってやつよ……アムリアに動けるハーフレーダーがいるってなったら周りの国も簡単に手が出せなくなるから」
抑止力……確かにそんな話は聞いたことあるけど……ここでの生活がちょっと心配になってきた……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます