第3話 落札価格は果実二個

どうやら俺たちはオークションにかけられるようだ……何百人の人がいる会場の前のステージに一人つづ立たされる……そして司会らしき男が説明を始める。


「さて、一番目のライダーはルーディア値12000のハイランダーです、ハイランダーですので、高値、一千万ゴルドから開始します……それでは入札どうぞ」


「三千万!」

「五千万!」


価格がどんどん上がって行く……


「一億六千万……ほか、ないですか……それではヴァルキア帝国様の一億六千万で落札になります」


司会は周りを見渡し、他の入札がないことを確認すると、手に持ったハンマーを叩いた。


「落札されましたので、ヴァルキア帝国様はこれから五巡目までは入札できません」


どうやら連続では落札はできない決まりのようだ……


「それでは、次のライダーですが、こちら、ルーディア値29000のダブルハイランダーとなります! それでは高値の二千万からの開始とします……それでは入札どうぞ」


29000の数値を聞いて、会場がザワザワと騒ぎ出す……先ほど岩波を落札したヴァルキア帝国の担当の顔が青ざめている……欲しくてもヴァルキア帝国は入札できないので指をくわえて見ているしかない……


「三億!」

「四億!」

「七億!」


とんでもない価格が飛び出している……29000はそれほど凄い数値らしい……


「十二億……他にございませんか……それではリュベル王国様、十二億で落札となります」


ハイランダーがいかに高値なのかは、そのあと続く平凡なクラスメイトたちの値段で明白になる……30万、45万、高くても100万と、それほどの差があるのかと驚いていた……


そしていよいよ彼女の番……クラス最高値の白雪だ……


「それでは、本日最高のライダーの紹介です……ルーディア値36000……トリプルハイランダーの登場です」


司会のその言葉で会場が今日一番の騒がしさになった……そしてオークション開始の言葉で、高額の声が溢れ出る。


「十億!」

「二十億だ!」

「二十五億!」


今までと争う額の桁が違う……そして、ある男の言葉が会場を黙らせた……


「百二十億……」


「百二十億……他にありませんか……それではエリシア帝国様の百二十億で落札となります」


落札が決まると、会場はザワザワと騒ぎ始める……


「またエリシアだ……最近は最高ライダーはいつもエリシアに持っていかれるな……」

「仕方ない、エリシアはまた新しいオリハルコン鉱山見つかったらしく、かなり羽振りがいいからな」


そんな声が聞こえてくる……


さて、渚の番だな……あいつはどれくらいの金額になるのか……


「二千万……他にありませんか……それではアムリア王国様の二千万で落札です」


二千万とは頑張ったな……まあ、実際は何も頑張ってはいないが、幼馴染が評価されて、俺も少しは嬉しかった……


最高値のオークションが終わったからなのか、それから当たり障りのない感じでオークションは進む……ハイランダーの御影で少し盛り上がったが、そこだけだった……そして俺……俺のオークションは別の意味で盛り上がりを見せる……


「さて……残念なライダーの登場です……本当に申し訳ございませんが売り物になるようなものではございませんが、決まりですので一度はオークションにかけさせていただきます……ルーディア値……2……何かの冗談のようなこの数値……役には立たないでしょうが記念に落札してはいかがでしょうか……それでは開始します」


しかし、誰の手も上がらない……会場はザワザワと騒いでいるだけだ……いや……騒いでるんじゃない……笑ってるんだ……俺は会場の人間に笑い者にされていた……


なんだよルーディア値って……2だと悪いのかよ……くそ……


しかも笑うのが会場だけならまだ許せる……なぜか仲間であるはずのクラスメイトたちも下に見るように笑いやがってやがる……酷えな……しかし、白雪と幼馴染の渚だけは笑ってない……心配そうにこっちを見てくれていた……それだけでちょっと気分が晴れる……


「誰もいませんか! 1ゴルドでも構いませんよ」


「よし、俺が買ってやる! しかし、1ゴルドも出せねえな、出せるのはこのラーゴの果実二個だけだ……ひゃあああはははっ」


その男が笑いながらそう言うと、会場が爆笑の渦に包まれた……何が面白いのか俺にはわからない……俺は果実二個の価値しかないのか……

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