第2話 戦闘力2

とりあえず飯は出してくれた……よくわからない食い物で、あまり美味しくはなかったが、腹は満たされたのでとりあえず寝ることにした……女も男も同じ牢獄なのだが、自然と女子は女子でかたまり、男子も近くへと集まっていた……


「勇太……俺のルーディア値ってどうなんだろうな」

「なんだよ、原西、状況を受け入れるのが早いな……」

「だってよ、高ければ高いほど好待遇なんだろ、やっぱり高い方がいいよな……」


クラスで比較的仲の良い原西裕司とそんな会話をしていたら、金持ちでちょっと気取った御影守が珍しく俺たちの会話に入ってきた。


「まあ、僕の数値が高いのは間違いないだろうけどね……」

「お前、自信があるのか、御影……」

「そうだね、ルーディア値がどんなものかは知らないけど、その人間の本質的な価値はやはり誤魔化せないんじゃないかな、そうなるとこのクラスでは僕か、女子の白雪結衣が高いと思うよ」


御影のその自信の根拠が何かはわからないけど、白雪結衣が高いのはなぜか俺もそう思う。



そして次の日、俺たちは一列にならばされて、変な丸い板の機械の上に一人づつ立たされた……


一番は運動神経が抜群のサッカー部の岩波蓮だ……岩波が丸い板の上に立つと、機械の前で何かを確認していた男がこう叫んだ。


「12000だ、1万超えのハイランダーだ!」

そう言うと、周りの人々がザワザワと騒ぎ始めた……


「一人目でハイランダーだと……今回の商品はとんでもない高品質なんじゃないのか……」

「もしかしたら久しぶりにダブルハイランダーが出るかもな……」


周りの大人たちは思い思いにそう会話をしていた……どうやら1万超えが一つの基準のようだ。


岩波はそのまま次に部屋へと移動させられた……そして次の奴が丸い板に乗せられる。次は根暗で大人しく、クラスでも目立っていない榊春馬だ……

「榊だぜ、あんな根暗どうせ低いだろよ……」

「だな、俺、榊より低かったら生きていけねえわ」


しかし、榊の数値は、そんな陰口を言っていた連中の口を塞いだ……

「に……29000だと……ダブルハイランダーだ!」

「すごい……しかももう少しでトリプルじゃないか……」


本人は全然喜んでいないが、周りの連中は大騒ぎになっている……それだけ凄いことなんだろうけど、俺たちにまだピンときていなかった。


「ハイランダー以上が二つも続くとは……やはり今回は当たりを引いたようだぞ……」

「そうだな、これは期待ができるぞ……」


そんな大きな期待を受けたが、その後は一万を越える数値はしばらく出なかった……2000とか3000台で、ちょっとガッカリしている……ちなみにさっき榊より低かったら生きていけないと言った香山は2200であった……


そして次の盛り上がりはやはり、彼女であった……

「出たぞ! トリプルハイランダーだ! 36000はここ数年で最高数値だぞ!」


白雪結衣……やっぱり普通とは違う才能があったんだな……


トリプルハイランダーとはそんなに凄いものだろうか……周りの盛り上がりは異常であった……まるでお祭り騒ぎだ……


さて、次は幼馴染の光里渚だ……まあ、あいつは大したことないだろ……そう思ったが意外に頑張ったようだ。


「6500だ、ハーフレーダーだな」


白雪の36000が凄いので目立ってないが、ここまで、5000を超えてるのは25人中、五人だけだ、だからかなり上位なんだけど……まあ、あいつはあんなもんだろう。


「よし、次は俺の番だな!」

そう息巻いて原西が丸い板の上に乗った……


「3300だ、」

「え? すみません、何か間違ってませんか?」

「なんだ……間違ってない、お前は3300だ」

「いや……そんなはずは……もう一度測ってくれませんか?」

「たく……ほら、もう一度乗ってみろ」


もう一度測ってもらったが、数値はやはり3300であった……


「ええ! そんなバカな……いや……なにかの……」

「いいから行け!」


そう言われて仕方なく次の部屋へと移動させられた……


「11000……ハイランダーだ!」

そう言われたのは御影だった……原西と違ってこちらはちゃんと高数値が出たようだ……


その次は南先生だ……あちらからしたら先生も生徒も関係ないので、俺たちと一緒に並ばされていた……南先生は4300とそこそこの数値だったようだ……


そして俺の前の舟塩は自信満々に丸い板に乗ったが、その数値は8000となかなかいいのだけど、自分の満足いく数値ではなかったようだ、少し不貞腐れている顔をしていた……


さて……いよいよ俺の番だ……どんな数値が出るか……俺が丸い板の上に乗ると、計測担当が驚きの声を上げる……


「…………嘘だろ……2って……針が2を指してるんだが……」


計測担当が別の担当を呼んで確認している……


「ちょっと待て……そんな数値ありえるのか? 壊れてないか……」

「そうだな、お前、ちょっと一度降りろ」


そう言われて俺は丸い板から降りた……


「うん……ちゃんと動いてるな……」

「もう一度、乗ってみろ」

俺は言われるままにもう一度そこに乗った……


「あっ……ちょっと待て、今、針が一周しなかったか?」

「おいおい……この計測機は最新のもので10万まで測れるんだぞ、一周なんてするわけないだろ」

「10万か……だったらありえないな……だとするとコイツのルーディア値は2だな……」

「100以下は久しぶりだな……まあ、地球人でもたまにはこんなゴミもいるだろうよ」


……え? ゴミ……酷い言われようだな……




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