第31話 シャンプー革命
新作「VR内での俺の彼女が家の学校に転校してきたのだが」を投稿したのでよかったら見てください。
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朝早くから私が訪れているのは、王城だ。また呼び出しがあった。たぶん昨日のことだろう。
「すまないな。いきなり呼び出したりして。」
「いえ、大丈夫です。」
「そうか。うすうすわかっているとは思うが呼び出した要件は孤児院に関することだ。いきなり影が現れてきたときはびっくりしたが見せられた書類で納得したよ。どうやって気づいたんだ?」
「陛下の人柄的に孤児院への補助金を打ち切るとは思えなかったからですよ。」
「ふむなるほど。それはそれとしておかげで助かったよ。犯人は、財務大臣だったんだがあれ以外にもかなりの不正があってね。おかげで処罰することができたよ。お礼をしたいんだが何かあるか?」
「それじゃあ、これを王妃様に渡してください。」
そう言って私は、鞄の中からシャンプーと一枚の手紙を取り出した。
「これを?」
「ええ。その手紙の中に使い方も入っているのでお願いします。」
「君のことだから毒物ではないんだろう。分かった。任せてくれ。」
「陛下、そろそろ。」
後ろに仕えていたメイドさんが小声で陛下につぶやいた。やっぱ王様って忙しいんですね。
「すまない。これで失礼する。」
「はい。お仕事頑張って下さい。」
国王が出たのを見計らって私も部屋から退出した。
続いて訪れたのは、孤児院だ。子供たちが昨日上げた服を着てくれている。あげた側としてはとてもうれしい。
「あっ、お姉ちゃん。先生、お姉ちゃんたちが来たよー。」
「あらあら、いらっしゃい。頼まれたものならできてるよ。」
並べられたのは、10個の木の瓶の中に詰められたシャンプー。香りもばっちりなので問題はないと思う。
「リア、これいくらで売れてたの?」
「一個金貨1枚。」
「おっけー。はい、どうぞ。院長先生。」
私は、金貨10枚を院長先生に押し付けた。
「こんなに!?いいんですか?」
「えぇ、これだけの価値があるもんなんですよ。とりあえずこのお金で子供達に食べさせてやってください。」
「でもさすがに申し訳なさが・・・。そうだよかったらいっしょにごはんをたべていきませんか?」
「うん、そうさせてもらいますね。」
「リアもいい?」
「うん。園長先生私たちも手伝いますから。」
「別にそこまでしなくても…。」
そう言いつつもうれしそうな表情を浮かべる院長先生。やはり人手が足りないのもあって大変なんだろう。
「いつも一人で料理を?」
「手伝ってくれる子もいるんですけど、やっぱりみんなまだ小さいので。」
ここにいる子たちは、最大でも10歳には届かないぐらいの子たちだ。そんな子たちに複雑な料理は無理だろう。ちなみにこの日の昼食は昨日のあまりの肉に私たちが分けたパンと簡単なスープだ。
「では皆さん。神に感謝を。そしてエルさんとリアさんに感謝を。」
「「「「「感謝を~」」」」」
正直食事は、調味料が少ないということがあったが、みんなで食べる食事はとてもおいしく感じた。こういったワイワイできる食事というのもたまにはいいと思う。
「リアさん、またお願い事があるんですが。」
「尻尾モフモフ。」
「仕方ありません。帰ってからで。」
そう昨日は散々モフモフされた。まさか他人にモフモフされるのがあんな感じだなんて。今日もされるのは、憂鬱だが仕方あるまい。こうなったら私も腹をくくろうではないか。
「やったー。それで何をしたらいいの?新しい孤児院を立てるのを手伝ってほしいんだ。ほらあそこスラム街だし、日当たりもよくないでしょ?」
「フフフ、この天才美少女リアに任せなさい。ということで
「え?ちょっとリアさーん。」
「ここは金貨121枚で、ここが113、ここが134ですね。」
「うーん。じゃあ、ここではいどうぞ。」
景色を見る暇もなく、王都にある商業ギルドのでかさを味わうこともなく、淡々と事務作業を進めるリアを眺める私。あれ?私いる?それにしても王都は物価が高いな~。
「確かにちょうどですね。こちらが土地の権利書となっています。確認ください。」
「・・・おっけーです。ありがとうございます。」
「いいえ、どうぞまたごひいきに。」
「ほら、お姉ちゃん行くよ。」
「はーい。」
お姉ちゃん妹がしっかりしすぎて大変です。ちなみに土地は、かなり広くて周りには余り物はなかった。
之なら子供たちが騒いでも文句は出ないし、何より今の孤児院からも近い。ちなみにこの日はとりあえず構想だけ練っておいた。あー、帰ったらモフモフされる~。
◇◇◇
「すまない。また呼んでしまって。」
「いえいえ、お気になさらず。」
今回もまた王城に呼ばれた。ここまで計画通り過ぎるので内心ガッツポーズを決めながら今日の面々を見つめる。今日は、なんと王様の隣に相当な美人がいるではないか。
「紹介する。妻のレミア・フォン・エリダムだ。」
「初めまして。エルフィーナちゃんにリアちゃん。いつもアベルがお世話になっております。」
「いえ、むしろこっちが粗相を起こさないか毎度ひやひやしています。」
それにしてもレミアさんかめちゃくちゃ若くない?20代前半のように見えるんだけど。
「彼女は、エルフの血を引いているんだよ。」
「なるほど。だからそんなにきれいなんですね。」
国王陛下じゃなかったアベルさんが教えてくれた。それにしてもエルフって耳が長いイメージだったんだけどレミアさんは長くないのね。
「あらあらキレイってそんな。そう!そうじゃないのよ!」
「「ヒッ」」
王妃様の剣幕にビビって私たちは、思わずお互いに手を組み合うような姿勢をとってしまった。
「あれはどこで手に入れたの?まだ在庫はあるのかしら?今後持続的におろすことはできるかしら?あんなに髪がつやつやですべすべになったのは初めてよ。」
「王妃様落ち着いてください。」
「私たちは、逃げないんでどうかお願いします。」
「ごめんなさい。ちょっとあまりにも素晴らしいものだったのでつい。後、私の呼び方はメリアでいいわよ。」
私たちの魂の叫びが通じたのか落ち着きを取り戻してくれたようだ。
「それは、さすがに無理なのでメリアさんと呼ばせていただきます。」
「それなら仕方ないわね。」
何とか納得してくれたようだ。王妃を呼び捨てなんかしたら周りの貴族になんといちゃもんつけられるか分かったもんじゃない。
「それと在庫ですね。とりあえず10個あります。」
「1本金貨2枚でどうかしら?」
リアより聞いてた値段の2倍だけどいいだろう王妃様々ということで、
「それで構いません。」
「分かったわ。あなた、今すぐ持って来てちょうだい。」
「かしこまりました。」
メリアさんは傍に控えていたメイドさんに指示を出した。
「それでこれはどこで手に入れたのかしら?」
「孤児院です。」
「孤児院?」
こんなものが孤児院で作られたことに驚きを隠せないのかまだ疑い半分といった表情だ。
「メリアさん、私が孤児院の子供たちに作り方を教えてそれで作ってきたものですよ。」
「なるほど。よくわかったわ。でもなぜ自分で作り方を知っているのなら自分で作らないの?」
メリアさんの疑問はもっともなのであらかじめ考えていた答えを言う。
「つい先日、私は子供たちが屋台で物乞いしているところを見ました。私は、大人が子供を支えていかないといけないものだと思っています。結果的に彼らが物乞いすることになった原因は、財務大臣の仕業だったのですがそれでも子供達が苦しい思いをしていたと思います。」
メリアさんがアベルさんをにらんでいるが私は、知らない。部下の監視を怠っていた国王陛下が悪いのだ。
「私は、子供たちにそんな思いをしてほしくないと思いました。そこで子供たちが自立できるようにと考えたのが今回の結果です。すいません、私もまだ12のガキなのに生意気言って」
「・・・。」
メリアさんとアベルさんの表情はとても真面目だ。リアは、私に任せてしゃべる気ゼロなので無言だ。そうしてしばらくの沈黙が続いた。最初に破ったのは、メリアさんだ。
「すごいわね。そこまで考えて行動に移すなんてなかなかできることじゃないわ。」
「あぁ、私もずっと孤児院に対して思い悩んでいたがこうもあっさり問題を解決して見せるとは。」
メリアさんとアベルさんがほめてくれた。リアもどことなくうれしそうな表情である。
「ちなみにこれは一日で作り上げたの?」
「そうですね。あぁ、でも今回材料はリアに出してもらったので材料が必要です。」
「材料はこちらで持つわ。それで毎日孤児院を訪れたらいいのかしら?」
「そうなんですけど。近々、孤児院の引っ越しをするつもりなんで引っ越ししてからは新しい孤児院の方に来ていただきたいですね。」
「む?そうなのか?」
「えぇ、見たらわかると思うんですけど。孤児院ってスラムにあるんで日当たりも悪いし、ボロボロで今にも壊れそうなんです。だから新しく建て直そうかと。」
「もう土地は決まっておるのか?」
「ええ。後は建てるだけです。」
「分かった。費用は私が出そう。迷惑かけたツケだ。」
断りたい・・・断りたいのに目で受け取れと訴えかけてきている。リアに目配せしてもあきらめろと訴えかけてきたので仕方なく受け取ることにする。
「・・・・ありがたく頂戴します。」
「素直でよろしい。」
その後も具体的な話し合いをしてこの日の呼び出しは終わった。この後この国では、シャンプーのことが神の洗髪材として広まったとかなんとか。
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ある日の夜。
リア「それでは始めさせていただきたいと思います。」
エル「お手柔らかにおねがいします。」
リア「じゃあ、まずはここから。」
エル「んっ。」
リア「お?ここがええんか?」
エル「ダメだよっ。」
リア「体は正直なようですが?」
エル「ダメっ。頭がおひゃしくなるよぅ。あぁっ。」
※尻尾をモフモフしているだけです。
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