第2章 辺境の街リデア

第12話 初めての街

私たちがいる国は、エリダム王国と呼ばれる国だ。お母さんが転生先にこの国を選んだのには、理由がある。私たちのいる大陸には大国と呼ばれる国が3つある。一つは、ボルガン帝国。この国のモットーは、実力至上主義であるものの基本的に亜人(エルフとか獣人など)は奴隷としてとらえられる。


もう一つがセレスティア皇国。この国は、国名からもわかる通り人命が使われており、聖女と呼ばれるセレスティア嬢が神から神託を受けたということで女神協という宗教を生み出し、それが大きくなって一つの国となったようだ。宗教の指針としては<すべての貧しき人たちに救済を>という物だったもののそれがいつからか人族こそが最も偉大であるという考えになってしまった。つまり私たちが入るだけで問答無用で殺されます。ちなみに首都の名前はミリアだそうで。あっ(察し)


で最後が私たちのいるエリダム王国。この国は、人族と亜人族の融和を望んでいるものの亜人たちの警戒が強いためにあまりうまくいってないようだ。その理由として亜人は基本的に人間よりも両名であるために一部の貴族から狙われてるとか。それでも少数の亜人たちが物珍しさにこの国で過ごしているようだ。


で、私たちは今辺境のリデアという街の前にある。ここは、どうやらカシム辺境伯が納めている領地らしい。辺境伯の名の通りこの領地は、帝国の隣に接しておりエリダム王国の防衛のかなめだ。辺境の街といえばもっと過疎っているイメージだったのだがこの街はかなり発展しており、魔物の襲撃などにも備えられていてしっかりとした防衛設備があるいい街だと思う。ただ一つ気になる点といえば


(めちゃくちゃ目立っている。)


私たちは、街に入るために列に並んでいるのだが周りの人からめちゃくちゃ見られている。理由としてはいくかある。


一つ目は、私たちがかわいいこと。自画自賛であるものの私たちはかわいい。美人であるに越したことはないので隣の元神に感謝しておく。今のところは絡まれてないからいいもののそのうちひと悶着ありそうな気がする。


二つ目は、私たちの格好だろう。ただでさえなかなか見かけない亜人。そのうえ、見たこともないような衣装(巫女服)を着ている姉妹。そりゃ目立つわ。商人に至っては目がすごいギラギラしてる。普通に不審者なのだが。


そんなこんなでようやっと私たちの出番が来た。


「えっと、嬢ちゃんたち。身分証はあるかい?なければ通行料として一人当たり銀貨2枚なんだけど。」


「私たち村から出たばかりで持ってないです。だからはい、どうぞ。」


お母さん・・・もといリアは、黙ったままなので代わりに私が話す。こういったこと旅の醍醐味は自分の手で味合わないともったいないしね。それにリアに何でもやってもらってたらダメ狐になるような気がするし。私は、ポケットから銀貨4枚を取り出し、門番の人に渡す。


「ちょうどだな。街の真ん中にある広場のすぐそばに冒険者ギルドってとこがあるからそこで身分証を作るといいぞ。だがあそこは荒くれものばかりだから気をつけろよ。」


「うん、ありがとうおじさん。」


ご丁寧に身分証の作り方も教えてくれたので感謝のしるし満面の笑みで感謝の念を伝えておいた。顔がちょっと赤かったけどさすがにね・・・。


街に入った瞬間に私は、圧巻された。どこも活気にあふれていて、人々でにぎわっている。街並みは、中世のヨーロッパといった感じできちんと道も整備されていて兵士の人たちも巡回に繰り出している。兵士の動きを見る限りかなり練度も高いようで、しっかりと鍛えられているのが分かった。治安もよさそうだし、領主の優秀さの一端がうかがえた。


それにしても冒険者ギルドかぁ。私は、冒険者ギルドで登録した後もギルドでお仕事をするつもりだがリアは違う。リアは、正直何でも完璧なので私と一緒に冒険しても私のためにならなさそうだと感じたために辞退した。そもそも私は、一緒にいられる人がいるだけでうれしいのでそんなことは全然関係ない。孤独の寂しさというのは身にしみてわかっている。その代わりに商人ギルドに登録するようでそれで商売するみたい。もっとも私たちの生活がある程度安定するようになってからなので早く十分な収入を得られるようにしなきゃいけない。

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