第8話 アイノカタチ
俺は平良の働いているカフェに来ている。
「いらっしゃい!早千」カウンターから平良の声がする。俺はあの後、すぐ平良の働いているカフェに来ていた。あの時、平良がくれた俺だけのスペシャルメニューが嬉しくて飲みにきたのだ。
「わぁ〜なんか人増えてるね。」少しの間来ないうちに、カフェが前より人気になっていた。
「そうなんだよ。なんか一気にお客さんが増えて、俺的には嬉しいけどね。」と笑う平良。俺はあのスペシャルメニューを頼んで席に着く。この急な変化を不思議に思ったので、聞くことにした。
「あの、すごい人ですね。なんかあったんですか?」そんな俺の質問にマスターが渋々答えてくれた。「…あー、怒らないで聞いてくれよ。いいか?」俺に何度も確認する自体おかしいなと思いつつ、わかったと言って話を聞く。
「平良が原因だよ。このカフェにイケメンの店員がいるって噂になって、ほら、あいつ少しずつ作れるメニューも増えてきたし、さまになってきたからその噂が広まって見ての通り、女性客が増えてきたんだ。」と俺に耳打ちしてくれた。
「……うーん、複雑だ。」そう、平良がかっこいいと言ってもらえているみたいで嬉しい反面、なんか妬けるような…複雑な心境。
すると頬の部分がひやっとした。
わぁー!と言いながら驚くと、「何だ。そんな変な顔して。はい!おまたせ。熱いから気をつけろよ。」「ありがとう。」と言って受け取る。
「なんか、平良の人気が広まって女性客が増えたってマスターに聞いたよ。すごいね〜」少しだけ嫌みを込めていうと、ふふっと笑われた。「何?」ムカついてむすっとしながら聞いてみると「ヤキモチか?」と言われてハッとした。
「……………………」むすっとしながらひたすらスペシャルメニューを飲んでいると、頭をポンポンとされ「嬉しいよ。愛されてるって感じがしてさ。ありがとう。」と言われて拍子抜けした。平良に、俺の気持ちも見透かされてそうで悔しいけど、そんな平良の優しい言葉が正直嬉しい。
カウンターへ戻る平良の背中は、とてもかっこ良くて本当に彼のことが大好きなんだと思わされる瞬間だった。
turururu turururu……
メールの受信を知らせる音が鳴った。
何だと思いながら携帯を開くと『平良』という文字が表示されていた。『早千、今日7時くらいには仕事終わるからごはんでも食べよ!早千の部屋に行くから待ってて。』そんな短いメールだったけど、愛する人からのメールってこんなに幸せな気持ちになれるんだということを思い知らされた瞬間だった。
たくさんヤキモチを妬いても、女子にモテモテでムカつくことがあっても平良を信じることも『アイノカタチ』なんだと思うことにした。
まだまだ未熟だけど2人の思い出をたっくさん作っていこうと思った。平良と一緒に……。
大好きなんて言えなくて〜恋人編〜 @rainbow-baby
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