第3話 黒くて重い感情
くそっ!モヤモヤする…!!!
…かといって、聞ける勇気も俺には、ない。
『最近何してるの?』
『何で会えないの?』
『他に好きな人でも出来たの?』
………『俺のこと嫌いになったの?』
考え過ぎはよくないって知ってたはずなのに…。考え過ぎると必ず、マイナスな答えで着地するんだ。「平良に…会いたい…」思わずぼそりと呟いていた。
大学の帰りにカフェに寄ろうとカフェの近くまで来た。そこには、仕事をする平良の姿があって、カウンター誰かと話してるのがわかった。
『平良の笑顔久しぶりに見たな。』でもふと頭を過ったのは、その笑顔が誰に向けられたものかということ。こんな女みたいな思考…ホント嫌になる。いつから俺は、こんな女々しくなってしまったんだ。平良に恋をして、嫌われたくないという思いから告白できずにいた高校時代…。
それから久々に再会して、改めて平良のことが好きだと言うことがわかった。そして、平良も同じ気持ちでいてくれていたことがわかって、本当に嬉しくて…夢なら覚めないでくれと願った。
色々な人と付き合ってきたけど、こんなに強く誰かを思ったことなんて一度もなかったんだ。平良だけ…。そっか。俺の中に芽生えた感情は『欲』だ。平良には、自分だけを見てほしい。誰かと楽しそうに話して欲しくない。笑いかけてほしくない。そんな黒くて重たい感情…。
この感情を口にしたら、平良に嫌われる。だから、高校の時みたいに我慢すれば良い。あの時はできたじゃないか。今でもきっとできる。だから、平良を困らせないように、重い恋人にならないようにしなきゃ。大丈夫。俺ならできる。
…今までもそうしてきたんだから。
そんな感情で胸の奥がいっぱいだったから気づかなかったんだ。平良が俺の存在に気づいてこっちを見ていたことに…。
俺は、そんな気持ちを抱えながら部屋についた。カバンを置いてソファの上に寝そべる。いっぱい頭を使ったから正直疲れた。俺はいつの間にか顔を腕で覆いながら寝ていた。
どれくらい経っただろう…。目を覚ますと、携帯のランプがチカチカと点灯している。俺は飛び起きて携帯をチェックした。そこには、着信ありのメッセージと共に平良の名前があった。『…平良、電話くれたんだ。』いつもならすぐに折り返すのに、そんな気になれなくてメールを打った。
『ごめん。電話くれたんだね。寝てて気づかなかったよ。』すると、返信はすぐに来た。『夕方カフェに来てくれただろ?入ってこればよかったのに、何で帰ったんだ?』だって…誰かと楽しそうに話してたじゃないか。入れるわけないよ。という想いが過ったけど、俺は『急ぎの用事を思い出してさ。』とだけ返す。
すると平良からは『そうか。何かあったと思って心配したよ。あんまり心配かけんなよ!早千★』とあいつらしいメールの返信。
———————————俺は思わず泣きながら両手で携帯を抱きしめていた。
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