いざ、攻撃!

「よし、行くぞ!」


剣を装備した私は、気合いを入れ直しました。


今度こそ決めてやろうじゃありませんか。


いきますよ……抜刀!


私は腰元の鞘から剣を抜き放ちました。


……決まった、完全に決まりましたね。


もう満足ですよ、今日はこれくらいにしてやりたいぐらいですよ。


……というか、刀じゃないですね、抜剣?


まあ、なんでもいいですよ、大事なのはそんな些末ごとではありませんよ、ここからですよ。


剣を抜いたということは、もう後には戻れません。


このスライムと雌雄を決する他に、私の進むべき道はない!


……イタタタ。


ちょっと、イタかったですかね。


しっぺぐらいの痛みがじんわりやって来ましたよ。


だってしょうがないじゃないですか、剣を抜けるんですよ。


現実世界じゃ中々出来ないことですからね。


そりゃテンションも上がって、中学二年生ちっくな妄言のひとつやふたつ吐きたくなるものですよ。


……実際、私が発症したのは小六あたりでしたけどね。


小六病。


一足先に覚醒しておりましたよ。


……漫画の読みすぎですよ。


お外で遊びなさいって話ですよ。


まあ、いいんじゃないですかね。


イタいのは生きてる証ですからね。


……とまあ、その証を私の黒歴史に新たにファイリングしたところで、続きをいきましょうか。


だいぶ待ってくれていますからね、スライムくんも。


ここまで私の独り言に付き合ってくれる奴は中々いませんよ、聖人、否、聖モンスターですよ。


……なんですか聖モンスターって、ソーシャルゲームのスーパーレアかなんかですか?


要お課金ですか、金の力で天下無双ですか?


まあいいですよ、人様の財産の使い道にケチをつけたりはしませんよ。


……じゃあ、攻撃しちゃいましょうか。


この、私の長話に付き合ってくれるお優しいスライムくんを。


ただただいつも通りフィールドを闊歩していただけの、罪も害も全くないスライムくんを。


攻撃しちゃいましょうか。


……やりづらい。


余計なことを口走っちゃいましたよ、そう考えたら倒しにくくなっちゃうじゃないですか。


しかしこの世は弱肉強食。


弱き者から淘汰され、強者の養分へと成り果てる。


……世知辛い。


厳しい世界ですよ、まったく。


……まあ、だから何だって感じですけどね。


私は振りかぶった剣を目の前のスライムに向けて振り下ろしました。


斬撃のエフェクトが発生し、それがスライムに重なりました。


『スライムを倒した』


南無三。


……容赦ないですよ、しませんよ容赦なんて。


なんですか「容赦」って、美味しく頂けるんですか、期間限定のオススメメニューですか?


……まあ、とりあえず初戦闘終了ですね。


……一瞬でしたけど。

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