いざ、戦闘!

『スライムがこちらに気づいた!』


はい、なんか空中にテキストが出て来ましたよ。


このちょっとレトロな感じが、いかにもゲーム世界にいるって感じですね。


その辺は、この作品の評価点といったところなのでしょうか。


……というか、今、私に気がついたんですか?


注意散漫が過ぎませんかね、スライムくん。


事故を起こしてからじゃ遅いんですよ、免停ですよ免停。


これはお仕置きが必要なんじゃないですか、いいでしょうやりましょう、ぶちのめしてやりますよ!


……で、攻撃の仕方は?


急ブレーキ!


せっかくの勢いに急ブレーキが入った!


これは事故確定ですよ、他人のこと言えませんよ、私も一緒に免停ですよ。


スライムと仲良く免停ですよ。


これはまさに共通の趣味、やっぱり恋が始まるんですかね?


……そんなわけないじゃないですか。


なんですか、趣味:免停って。


免停じゃ済みませんよ、ブタ箱行きですよそんなカップルは。


ブタと一緒にイチャついててくださいよホントに。


……で、ああ攻撃ですよ、攻撃。


えーと、剣使いっていうくらいだから、この腰にある剣を使えばいいんでしょうか?


……それじゃあ、鞘から抜き放ちましょうか、剣を。


抜刀!


……できない……ですね。


恥ずかしっ!


変に掛け声上げたのが裏目に出ましたよ!


えっ、なんで抜けないんですかね、鍔の部分に接着剤でもつけてあるんですかね、誰の嫌がらせですかね。


おっ、頭上に何やらテキストが?


『注意! 武器は装備しないと使えないぞ!』


……え、装備してますけど?


しっかりと腰に装着していますけど?


何か違うんですか、流行に乗れていないとかですかね?


……んー、ステータス画面を確認してみましょうか。


私は手元に表示された透明のパネルの中の、装備部分の項目をタッチしました。


武器:素手


あっ、装備されてない!


嘘でしょ……じゃあこの剣は何?


飾りですか、食品サンプルですか?


……もしかして、実際の装備と外見の装備は分けられるってやつですかね。


だとしたら、私は模造刀ひっさげてイキってたってことじゃないですか。


とんだ裸の王様ですよ。


露出狂の王をお縄につけて革命達成ですよ。


あと、なんですか「素手」って、そこは「なし」でいいじゃないですか、なんでちょっとカッコつけてるんですか。


俺の武器は己の肉体だ、みたいな。


紛らわしいなぁもう、剣ぐらい最初から装備させといてくれてもよくないですかね?


……まあ、他人に頼ってばかりでなく、自分でなんとかしなさいってことなんでしょうかね。


変なテキスト作ってる暇があるなら、そういうところに気を効かせてほしい感じがしますが。


まあ、剣を装備しましょう。


『剣を装備しました』

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