いざ、キャラメイク!
『まずは、種族を選んでね!!』
電脳空間に語気の強い女性の声が鳴り響きました。
えーと種族、ですか?
なるほど、そっから決めていくんですね。
てっきり人間で決まっているのかと思いましたが、これは意表を突かれましたね。
いや、嬉しい誤算じゃないですか。
よわい十数年にして、既に人間としての自身の存在に嫌気がさしている私みたいな奴にとっては朗報ですよ。
ああ、卑屈すぎましたね。
ゲームは楽しく、ね!
……はい。
で、なんですか?
何の種族があるんですかね、耳のとがったエルフとか、角のとがったオークとかですかね?
なんですかね、楽しみですね。
『次の中から好きなものを選んでね!!』
ほう、了解しましたよ……で?
『人間』
『半魚人』
少ねっ!!
二つだけ!?
少なくないすか?
なんですか、不況の影響ですか?
……ええ、しょうがないですね。
素直にこの二つから選びましょうか……えーと、人間と?
半……魚人……。
……なんでそれをチョイスしてしまったんでしょうかね、その意味を疑いますよ。
なんですかね、水に強いんですかね?
川とか海を渡れるみたいな?
……よく分からないですけど、なんかトリッキーで上級者向けな香りがするんでこっちにしましょうかね。
人間で、お願いします!
私は人間を選択しました。
『了解しました。人間…………ですね!!』
ちょっとなんですか今の間は?
なんか私、悪いことしましたかね?
ラグですかね、やめて下さいよ、そういうの逐一気になるタイプなんですから。
……こいつ面白みのない方を選びやがって、とでも思われたんですかね?
ちょっと早速、ギクシャクしちゃってるじゃないですか。
相手コンピューターですよ、この先大丈夫ですかね?
まあ、続けましょうか。
『次に性別を選んでね!!』
あ、じゃあリアルと同じ女性で。
私は女性を選択しました。
『女性…………ですね!!』
だからなんなんですかその間は!
別にその二択に、面白い面白くないないでしょう!
……えー、険悪。
意図せず、この方との仲が険悪になっていきますよ。
空気が重いですよ、早くキャラクター作成終わらせたいですよ。
で、お次は?
『職業を選んでね!!』
あっ!
来た来た、来ましたね。
一番テンション上がる所なんじゃないんですか、ここは。
職業選択こそ、VRMMOの醍醐味ですよ。
……私、VRMMOやるの初めてですけど。
で、何から選べるんですかね?
また、突拍子もない選択肢が出て来るんじゃないですかね、ワクワク。
『剣使い』
『杖使い』
『拳使い』
『弓使い』
……普通。
さっきまでのユーモアどこいったんでしょうか。
急に真面目にならないで下さいよ、ギャップで落ちちゃうじゃないですかもう。
……まあ、選びましょうかね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます