世界設定などのメモ

世界設定関連①(ネタバレ無し)

本作の舞台となる世界設定関連のメモです。

ネタバレは含みませんが、1-後半あたりまで読んでから見ると理解が深まるかもしれません。



世界設定・技術について

・おおむね中世末期~近世前半程度の技術水準ですが、【式使】達の行きすぎた技術開発とその制限のせいで、大きく歪んでしまっています。ゲーム的にいえばテクノロジーツリーがバグっています。

 軍事面では中世後期レベルで停滞しつつ(重騎兵や長弓兵が大活躍していて、マスケットが実用されていない。ただし火薬は実用されています)

 民生面では高度な官僚制、銀行制度、限定的な企業、上下水道含む公衆衛生等の近世後期程度まで、

 その一方で学問としては科学理論(科学的手法)が高度に発達して、化学、生物学、数学、物理学、天文学等は行くところまでいっており、遺伝学や化学肥料、顕微鏡と細菌学、電気や内燃機関、初期段階の核分裂等にまで達しています。ただしそれらは規格化も産業化もされていないため、【式使】達の研究室から外に出てきません。


・その一方で宗教系は壊滅状態で、宗教は組織化すらされておらず、国家に対して全く影響力を持っていません。

 ただし、【真王】は過去の偉大な大王として、一定の崇拝対象になっています。


・とある事件により、【式使】達の技術が大規模に散逸し、統制が取れなくなったため、第二部以降にルネサンス的なブレイクスルーが生じています。


・度量衡について、作中では便宜上メートル法で記述していますが、本当はきっと独自の単位系があるはず。


・仮想ファンタジー・戦記ものにありがちな「妙にこぎれいな中世」の理由付けとか言わない。



真王国について

・真王国八藩主は【真王】の子供達(5男3女)に遺産として残されたものが起源となります。

 この8人は敬意を込めて「開闢公」と呼ばれます。

 クォール開闢公アルケイナス(長男)

 アシン開闢公ダインナレス(次男)

 ネイツ開闢公ラシタルーカ(長女)

 ビード開闢公ザトラール(三男)

 タージス開闢公アリシアンザ(次女)

 クロレトゥ開闢公ケインルシアン(四男)

 リーモス開闢公フランカーシャ(三女)

 フレイズ開闢公ウェイラースト(五男)


・八藩主の上位称号として王位が存在しますが、これは史上でも【真王】その人しか名乗っておらず、現在は空位となっています。王冠や玉座、王笏といった儀礼的な物品も残っていません。


・真王国はその成り立ちや、上述の技術のゆがみなどが影響して、地方分権的な封建制が発達せず、かなり早い段階から絶対主義的な中央集権国家として成立しました。いわゆる貴族も存在しますが、都市領主や市長、せいぜいが辺境伯どまりで、藩主に強い影響を与えるほどの大貴族は極めて希な存在です。過去にはそうした大貴族も存在しましたが、後述の継承法によって藩主家に取り込まれました。


・真王国の各藩主は第一部時点で常備軍を中心として3~4万程度の兵力を動員できる程度の勢力がありますが、これは同時代のフランス王やイングランド王よりも多く、オスマン帝国のスルタンより少ない程度です。

 西洋的な称号で言えば、王位の下位称号ですので「公爵」もしくは「大公」ということになりますが、実質的には大国の国王に等しい権威があります。

 作中の人物達は随分気楽に振る舞っていますが、これは大変な権威です。


・真王国八藩主の継承法は徹底的な血統主義です。時代的に見れば少々特殊で、中央集権的な性質を強く持ちます。

 ・「1人の開闢公の子孫であること」を絶対条件とする。

 ・藩家間での婚姻は原則禁止とされる。誕生した子女は継承権を喪失する。

 ・基本的に長子継承とする。(廃嫡などで継承順位が変更されることはある)

 ・男系・女系を区別しない。(「朝」の概念がない)

 ・貴賤結婚や私生児でも継承権を持つ。


・例として、ビードの女藩主ミンネアスルトには弟がいます。

 男子優先とされないため、姉のほうが継承順位が上となり、藩主として即位しました。そもそも開闢公の半数近くが女系だったため、男系優先の概念が発生しなかったのです。


・この継承法のため、真王国八藩主は実は断絶や分裂が非常に生じづらく、また、藩主同士の婚姻同盟や人的同君連合が成立しません。300年の間、断絶も滅亡もしなかったのは、実は当然だったりします。


・ただし藩主の性格や即位時の状況により、いわゆる「血族狩り」が発生することがあり、しばしば大きな危機を招いています。また、兄弟姉妹間での継承権争いも頻発します。


・副作用として、政略結婚が成立しづらいため、藩主やその近親者クラスであっても恋愛結婚は比較的OKだったりします。ちなみにサティンとリィンの両親も恋愛結婚、しかも貴賤結婚でした。


・とある理由により、赤子の取り替えや間男による非嫡出子はどうやってか完全に排除されており、純血性が維持されています。



自由国境域について

・自由国境域は【真王】の建国戦争時のいわば「食べ残し」です。

 当時は海の向こうへの遠征が難しく、また占領、支配しても維持が難しいとされ、放置されました。


・名目上でも実体上でも八藩主の支配下になったことはありませんが、建前上は真王国の一部とされます。「真王国の一部ではあるものの、八藩主が国境を定めていない領域」として、自由国境域と呼ばれています。

 真王国のDe-jure領域ですが、八藩主のいずれのDe-jureでもDe-factでもありません。


・真王国とは対照的に、八藩主のような権威ある血統や称号などが発生せず、さらに権威付けに利用できる国家宗教が存在しないため、自由国境域の都市領主達は常に自らの正統性を疑われる存在となっています。戦敗や失政、後継者の無能・不人気などにより、しばしば政変が発生します。

 さらに自由国境域の安定を望まない八藩主から様々に影響を受けています。

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