二枚目 アイリスは告りたい
第23話 刼華と夜斗
「こんばんは、夜斗先輩」
「…きたか。すまんな、パーティーで時間を作るといったのに」
「あんなのがいたら、静かに話せないからむしろ楽だよ」
刼華は夜斗の部屋に立ち入り、勝手にベッドに腰を下ろした
今頃紗奈は下の階で、美羽から質問攻めにあっていることだろう
「…で、話ってのは?」
「まぁまぁ、とりあえずお茶にしよう。私紅茶がいい」
「何であると思ってんだよ。まぁあるけど」
「あるんだ…」
夜斗はキャリーバッグから瞬間湯沸かし器を取り出し、ティーパックを紙コップに入れた
「贅沢言うなよ?これでも結構持ち込むの苦労したんだ(主に紗奈が)」
「飲めるだけ嬉しいからいいよ。ありがと」
刼華は出された紅茶を一口飲んで、話を始めた
「…夜斗先輩が卒業してからは、同級生に結構いじめられてた。夜斗先輩と仲良かった、って」
「ごふっ…。そんなことある?」
「あったの。今は、ないけど」
「へぇ…。なにかしたのか?」
「夜斗先輩にチクるよって言ったら何もなくなった」
「んごぱっ…。そんなことある?」
「あったんだってば」
2回吹き出した夜斗だったが、床にこぼすようなことはなかった
ただし、手はすごいことになった
それを見て刼華は、ポケットからハンカチを出して差し出した
「拭いたら手を洗って。匂いが嫌なら石鹸も使えばある程度よくなるから」
「お、おう。すまんな」
夜斗は素直に手を洗いに行って、ふと気づいた
「お前のせいじゃん!」
「バレたか。今誰もいないし、昔の呼び方でいい?」
「むしろなんでその呼び方だったんだよ。別にいいぞ」
夜斗はタオルで手を拭きながら洗面所から出てきた
「ハンカチは洗って返す。で話の続きは?」
「ぶった切ったのはやーくんでしょ。やーくんに相談しなかったのは」
「俺が冬風だから、か?」
「半分正解。確かにやーくんは冬風だから、確実に解決してくれる。けど、紗奈が学校にいるから、最悪そっちに被害がいってたとおもう。あいつらはそれくらい平気でやるからね」
刼華はそう言いつつ、また紅茶を一口飲んだ
「その後は早かったよ。桃香がそれを見つけて、緋月の名前で訴えたから」
「…お前じゃないのか」
「まぁ未成年だし親いないしで保証人もいないからね」
刼華は笑いながら言う
「やーくん、気をつけてね。やーくんの周りには女の子が多い。けど、悪意がないとは限らない。まぁ、浮気されまくったやーくんに言うことでもないけど」
「うぐぅ…。そんなに深く傷を抉るなよ…」
「SNSも気をつけた方がいいよ。私、
「…それは、な。SNSでは恋人を演じてるんだ、変なのに引っかかるなよ?」
「大丈夫、やーくんよりいい人以外ついていかないから」
そう言って刼華は立ち上がり、夜斗の部屋を出た
残された夜斗は、紗奈に戻るようLIMEのメッセージを入れて、就寝の体勢に移行する
「…赤きホワイトハッカー、アイリス…。白き情報屋、佐久間。そんでもって黒の執行者、奏音。3人とも、味方ならいいが敵なら厄介だわな」
夜斗はそう言った直後、部屋に入ってきた紗奈と共にベッドで就寝するのであった
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