第13話 結局…

夜間。午後10時半を示した時計が、小さな音を鳴らす

その音によって目を覚ますアイリスと佐久間

「時間だね。ほんとにもう寝てるのかなぁ」

「ちょっとハッキングしてみたらどうだい?」

「やってみるー」

アイリスは夜斗のスマホを、自分のスマホからハッキングして、音声をリアルタイムで再生させた

『…の……あ、そ…れ…』

「感度上がらないのかい?」

「んー…。あ、できたよ」

『お前のガスガンは本来、暗視装置をつけなければあの暗さの中で扱うことはできない。それだけ覚えておいてくれ』

『ああ。まさか、ホルスターまでくれるなんてな。代わりに警備しろ、ってことかね』

『多分な。俺も、スタンロッドを渡されてる。完全に近接なんすけど代わらない?』

『やだよめんどくさい』

「これは…夜斗と、緋月霊斗…?」

「反響的に廊下だね」

だからといって覗いて確認するわけにはいかない

そんなことをすれば夜斗にバレる可能性があるからだ

『…けどなんでこんなに警戒するんだよ?白鷺は抑えたんじゃないのか?』

『冬風をよく思わない人もいるし、黒淵やら天血を恨む者もいる。なんなら澪を好きな男どもは夜暮を恨むしな』

『けど手を出すのとは違うだろ?』

『可能性の段階だ。何もなければ楽でいい』

『…それもそうだな。じゃあ、解散するか』

『ああ。聞き耳立ててるアホ二人を問い詰めてくる』

『いてら』

「バレてるよ!?」

「何故!?」

アイリスと佐久間は慌てて寝たふりをした

スマホの接続を切り、電気を消すのを忘れない

「佐久間、アイリス…って寝てるのか」

(死ぬ気で寝たふりをしなきゃ…!)

(殺される…!)

「仕方ない、アイスは桃香と天音にくれてやるか」

「奢り!?」

アイリスはアイスに負けた

そして

「ああ。佐久間の分はなぁ」

「起きてるよ!」

「バラした!?」

夜斗はアイリスと佐久間にアイスを投げ渡し、部屋備え付けの椅子に座った

「明日のことで話があってな」

「何かあったの?」

カップアイスを食べつつ、アイリスが問いかける

「いや、予定が決まった。明日は…」

夜暮と澪と話したことをそのまま伝える夜斗

「質問はあるか?」

「特にないかな。強いて言うなら席配置?」

「俺アイリス奏音佐久間唯利で一つ、霊斗天音桃香紗奈で一つ、澪友人で一つ、冥賀零冥賀妹二人で一つだ」

「最後いる…?」

「情報としては持っとくべきかもしれないね。いつどの情報が必要になるかわからない」

「流石だな、佐久間。情報屋のようなことを言う」

ビクッと肩が震える佐久間に夜斗が気づくことはなく、そのまま数分間会話したあと、アイリスたちの部屋を後にした

「危うかったね」

「ほんと、危なかった…」

「まぁ、後日何かありそうだね。シフトかわれ、とかさ」

「うー…。友だちいないから予定もないしいいけどさぁ」

「さらっとすごいカミングアウトしたね…」

二人は計画を翌日に持ち越すことにして、眠りについた

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