35《次はー、清野総合病院前ー》

『次はー、清野総合病院前ー』


能天気そうなアナウンスが入った。

清野総合病院は、僕の街で1番の大病院だ。


「降りるわよ」


……セリカは病院にいるのか?

病気なのか?謎が深まるばかりだ。

でも、セリナはおそらく聞いても教えてくれないだろうから黙って頷く。胸がドキドキしてきた。


……ん?清野?


ガバッとセリナの方を向くと、彼女はつまらなそうに、


「パパの弟、つまりおじさんの病院なの」


 おじさんが医者だなんてすごいな。

僕のような貧乏人とは世界が違うのだろう。確かに、言葉こそは悪いが動きの一つ一つに品の良さを感じる。持っているバックや靴も質が良さそうだ。

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