33《お姉ちゃんの所に連れて行ってあげる》
「……ほんとに、ほんとなんだ。じゃあ、」
ぐいっと僕の方に向き直ったセリカ妹。一つ一つの仕草があまりにもそっくりで……ごめん、やっぱりセリカにしか見えません。
「お姉ちゃんの所に連れて行ってあげる。でも、条件。お姉ちゃんとあんたが会えるはずがないことがあんたにもわかって、後からイタズラでしたなんて抜かしたら、ううん、それでもお姉ちゃんがああであることを認めなかったら、」
「……一生許さない」
僕を睨みつける真っ直ぐで強い瞳。でも、時々不安そうに揺れる。彼女はセリカのことが大好きなのだろう。だから僕という得体の知れない部外者が彼女達の秘密に踏み入れさせていいのか判断がつかないのだろう。
セリカがどう『ああ』なっているのかは僕には想像ができない。だが、どんなセリカでもいい。セリカに会わせてくれるだけでいい。
「……わかったよ。警察でもさっきの先生にでも突き出していいよ」
セリカ妹はほっと息をつき、残っていたスポーツドリンクをぐいっと飲み干した。
冬の冷たい空気が汗ばんだ肌に気持ちが良い。正直理解が追いついていない展開だが、これからセリカに会えると思うと胸が高鳴った。
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