27《清野芹花って人知ってますか?》

 また涙がこぼれ落ちそうになるのを必死に堪えた。泣いてる場合じゃない、気持ちを切り替えろ。


 一人で必死に鼓舞し、もう一度校門を見上げる。威圧しているような巨大な門。

負けてたまるか。



「あのっ、すみません、清野芹花って人知ってますか?ここの3年生のはずなんですけど……」


「ええっ!?だあれ、あなた!!ちょっと、いやかなり気味が悪いわよっ!?」


 意を決して校門から出てくる女子達に声をかけて回るが、全員ドン引きだ。


……しかも、酷い言われよう。

まあ、しょうがないと言える。客観的に見て明らかに怪しいのは僕の方だ。それでも、罵る言葉が丁寧なのは育ちの良さか学校教育か。間違っても『きもい』なんて言葉は使わず『気持ち悪い』とおっしゃられている。風間にも一回女装させて授業を受けさせた方が良いに違いない。




「あのっ、僕は怪しい者ではなくて……っ!!」


「あのねえ、ほんとに怪しくないやつはそんなこと言わないのよっ!?あんた、ナンパしに来たんでしょっ!!恥を知りなさい、恥をっ!!」


うわー恥を知れなんて現実で聞いたのは初めてだ。

……なんてのんきに思ってる内に、


「変態じゃないのコイツッ!?不審者よ、不審者!!!!警備員さん呼んでくるわね!!きもっ」


一人の少女があまりよろしくない言葉を吐いて駆け出した。


とうとう変態扱いか。

と、悲しい気持ちになったがちょっと待て、



警備員さんは呼ばれちゃ困るっ!!!

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