16《どうせ、お前やそいつみたいなやつなんて………》
「…お前ッ…!?」
風間はやっとそう呟くと、すくっと僕の前に立った。なかなか動揺しているらしい。僕が初めて歯向かって驚いたんだろ?僕の事を感情の持たない人形だと思ってたんだろ?ざまあみろだ。
やつの方が背は高いが、僕は構わず睨み続ける。
負けてたまるか。僕はもう十分我慢した。
そしてどのくらい睨み合ったのか。
恐ろしく長く感じたけど、たぶんおそらく短い。
「…………ふぅん、がんばったねぇ?あ、もしかして反抗期かな?で、どしたの、昨日、なんか青春ドラマでもやってたっけ?熱くなっちゃってイタイよ?それに…、」
先に口を開いたのは風間だった。
小馬鹿にしたような口調で僕を煽る。
やっぱり、風間は風間だ。クズは変わらない。
「お前のみたいなやつなんて、誰かのストレスのはけ口になるしか能がねぇんだよ?せいぜい励めよ。それだけ光栄だろ?どうせお前のオンナをそんなもんだろ。あんなクソだっせーもん持たせて気持ちわりぃな。どうせ、お前やそいつみたいなやつなんて………」
バシッ
「痛ってえなぁッ!?何しやがるッ!!」
気が付くと、風間が左の頬を抑えてしゃがみこんでいた。
右手がジンジンする。
…人を殴るのは、初めてだった。
周りが動揺したようにざわめき、風間に駆け寄った。
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