2《君には、きっとわからないだろうけど》
僕の涙が収まった頃を見計らっていたのか、女の子の名前を知った。
「私、清野芹花。君は?」
「…高橋光」
鼻をグズグズ言わせているのがやや恥ずかしいが、もうどうにでもなれ。
「ふーん。いい名前だね。ヒカルって読んでいい?あ、私のことはセリカって読んでね!」
セリカか。下の名前で呼ぶことに少しドキリとする。正直に言うと、女の子とこうまともに話したのは初めてかもしれない。僕が今まで知っている女の子は皆、いじめられている僕を笑っているだけだった。それか、気の毒そうに目を逸らすだけだった。どうして女の子はあんなに陰湿なのだろうと真剣に悩んでしまうぐらい、正直信用出来ない。
「ねえ、ヒカル。どうして、自殺なんてしようとしたの?」
少なくとも、目の前の彼女は僕のことを笑おうとしているようには見えない。優しげな笑みをもらしているが、目は至って真面目だ。
「……君には、きっとわからないだろうけど」
僕は前置きをして少しずつ話し出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます