2《君には、きっとわからないだろうけど》

 僕の涙が収まった頃を見計らっていたのか、女の子の名前を知った。


「私、清野芹花。君は?」


「…高橋光」

 

 鼻をグズグズ言わせているのがやや恥ずかしいが、もうどうにでもなれ。


「ふーん。いい名前だね。ヒカルって読んでいい?あ、私のことはセリカって読んでね!」


 セリカか。下の名前で呼ぶことに少しドキリとする。正直に言うと、女の子とこうまともに話したのは初めてかもしれない。僕が今まで知っている女の子は皆、いじめられている僕を笑っているだけだった。それか、気の毒そうに目を逸らすだけだった。どうして女の子はあんなに陰湿なのだろうと真剣に悩んでしまうぐらい、正直信用出来ない。


「ねえ、ヒカル。どうして、自殺なんてしようとしたの?」


 少なくとも、目の前の彼女は僕のことを笑おうとしているようには見えない。優しげな笑みをもらしているが、目は至って真面目だ。


「……君には、きっとわからないだろうけど」


僕は前置きをして少しずつ話し出した。

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