第47話 グループ通話
優雅に風呂に入りながら、ぼんやりとユー●ューブを見る。
今ちょうど見ているのはいわゆる癒し系動画で、猫がひたすら飼い主に甘えるという動画を見ていた。
めちゃくちゃ可愛い……。
猫って普段はツンツンしてて飼い主以外の人がいるとそっけない程度になったりするけど、その分二人っきりになった時のデレが本当に最高だ。
加えてあんなにキューティクルな顔をしていたらもうぞっこん。古来より犬より猫の方が身近にいたのなら、きっと猫がペット業界を牛耳っていただろうな。
そんなことを思っていたら、スマホに通知が来た。
表示されたメッセージを見てみると、どうやら海に行くために作ったグループラインから来たもののようだ。
翔 『そろそろいつ行くか予定決めるぞー』
翔からのメッセ。
確かにもう八月だというのに、まだ予定を決めていなかった。
律 『俺はいつでも空いてるからみんなに合わせる』
翔 『暇かよ!』
律 『暇で悪いか! 暇って何気に人生で一番の至高のひと時なんだぞ!』
音羽 『スケジュール管理アプリで確認した方が楽だと思うからリンク載せとくねー』
律 『さりげなく無視された……このカップルめ!』
翔 『おっ助かるわ~』
俺、いない設定になってない?
グループラインなのに気づかぬうちに迷惑メールかスパムメールの類だと判断されて勝手にゴミ箱いってることないよな?
いや、そんな設定あったのならそれを組み込んだこいつら性格悪すぎる。
しかしこの二人は性格は決して悪くはないので、間違いなく俺をからかって遊んでいるだけだろう。
この、からかい上手の神カップルが!
脳内でヘイトを吐きまくりながらも、スケジュール管理アプリを設定してみんなで予定を入れていった。
そのころには遅れて加恋も参加してきて、メールを打つのはめんどくさいということになり、通話をすることになった。
『もしもし~』
『おっ、全員参加したっぽいな』
『ほんとだー。なんか久しぶりな感じるするね』
『そうね。なんだかんだ今の今まで連絡取ってなかったものね』
『加恋はそれで毎日寂しいって枕を濡らしてたそうだ』
『あ?』
『調子乗ってすみませんでした』
『仲いいなお前ら~』
実際仲がいいのかと問われれば仲がいい方だと俺は思っているのだが……加恋はどう思っているのかはわからない。
少なからず嫌われていないとは思うんだけど……願望補正が入っていなくもない。
『じゃあとりあえずスケジュール見て決めよっか』
『『『さんせー』』』
仲いい四人が集まれば話はいくらでも脱線してしまう。
そこで音羽の登場。
俺たち四人の中では、学校で言うところの学級委員みたいなポジションだ。音羽はこの中で一番しっかりしているし、自然とそんな役職についている。
てなわけで共通のスケジュールを見ながら予定を決める。
ってか俺以外の人予定埋まりすぎじゃね? 翔とか空いてる日三日しかないじゃん。
えっ、これがリア充格差?
『うーん……まぁ全員が空いてる日だと十日か十五日ってところか』
『だねー。どっちでもいいから十日でいいんじゃない? 早く行きたいし』
『そうね。水着買いに——んんっ。心の準備をする時間も取れるわね』
おいあからさまに水着買いに行くって言ったなこいつ。
この二人ならだれといくのか完全に察しられちゃうだろうが。
案の定、通話越しでもわかる神カップルの『ははーん?』という雰囲気。
切実にやめていただきたいッ!
『まぁ十日にするか。じゃあそういうことでよろしくな~』
『わかった! 加恋ちゃん、頑張ってね』
『な、何がよ‼ 音羽はそんな子じゃない!』
『じゃあばいばーい』
『さいなら~』
神カップル、突然の離脱。
残されたのは、俺と加恋のみ。
なんか加恋不機嫌っぽいし、しれっと俺もこのビックウェーブに乗って通話を切ろうと思った刹那——
『切るんじゃないわよ』
どうやら逃がしてもらえないようです……。
その後、攻撃されることはなく普通に水着を買いに行く日について話し合った。
そして、水着は二日後、買いに行くこととなった。
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