第7話意外な転勤
そんな時、二人は我慢出来なく男女の関係に進んでしまう、聡子は風俗で半年も働いたその方面ではプロ。
一方の晴之は以外と女性経験が少なくぎこちない、でもここで自分の知識を発揮すると危険だと初心を装う聡子。
その結果二人の初体験は、晴之の心を射止める。
しばらくして「聡子が就職して暫くしたら、結婚しよう」と晴之が三度目のSEXが終わった時に告白してしまった。
聡子がその気に成ってしまい、風俗嬢のテクニックを少し披露した様な大胆な事をした事が、晴之には自分の事が大変好きに成って無理をしていると解釈をしてしまったのだ。
二人の交際が進む中、聡子は一流企業への就職に成功。
家族も驚く企業への就職が内定、恋人晴之は学校も職場も負けたけれど立派だと褒め称えた。
就職が決まって、元の地味な書店でのバイトをしながら、晴之とデートを楽しむ穏やかな日々が半年以上続いた。
父の治も仕事が楽に成り、家族が最高に幸せな日々に平和を感じていた。
勿論聡子の脳裏に(品川ゴールド)での悪夢は完全に消えて、晴之とのデートを楽しむ普通の大学生を満喫していた。
しかし、翌年の二月に成って突然晴之に中国上海支店への転勤が発令されて悩むが、一応は主任への栄転なので渋々受け入れる事にする。
上司の話では二年間で本社に戻す、その時は係長の椅子が待っているかも知れないと煽てられる。
「聡子が就職すると同時に、俺は上海だ!年に一、二度しか会えないが我慢してくれるか?」
「出世の為でしょう?私も二年間位は仕事に戸惑うわ、だから晴之が戻って来る頃までには落ち着いていると思う!だから安心して!」
「戻って来て係長に成ったら、結婚しよう」
「嬉しいわ」
二人は晴之が出発する三月二十日まで、時間が許す限りデートを楽しんだ。
話しが戻って
佐山達のグループは、足立伸子が友人に「ボイスレコーダーって面白いわね、使い方が色々有るのね」と話していたと聞き込みをしてきたので、捜査会議が開かれた。
その話を聞いた友人は最初、伸子が仕事先でボイスレコーダーをセットして、男女の営みを録音して楽しんでいるのだと思ったが、よくよく話しを聞いて違う事が判ったと言う。
それは客が自分で盗み撮りをして、楽しむか?脅迫をしていたのでは?と伸子が話したと言う。
佐山は伸子が拾った物がボイスレコーダーでは無いか?それをネタに強請って百万を手に入れたが二度目の強請で殺害されてしまったと推理した。
「強請った相手が偶然にも桂木常務にも恨みを持っている人物だったのか?」
「青酸性の毒物も偶然昭和三十年代の物が使われた!桂木常務が過去に持っていた物では無いのだよ!偶然が重なったから、混同してしまったのだな」
「この事件は全く異なる人物で桂木常務では無い真犯人を、足立伸子がボイスレコーダーから強請ったのだよ」
「ボイスレコーダーの持ち主は先ず桂木常務を殺害して、強請っていた伸子も殺害した」
「女か?」
「判りませんが、ボイスレコーダーの内容がお金を渡す程の内容だったのでしょう?」
「ボイスレコーダーの持ち主をAとすれば、Aは日頃から桂木常務を付け狙っていたのでは?」
「ラブホテルに忘れたのは桂木常務で、その同伴者が二人を殺害したとは考えられないか?」横溝捜査一課長が尋ねた。
拾った物がボイスレコーダーと判明したが、それを見た友人も同僚も居ない。
内容が男女の営みだとすれば、殺す程の内容って何なのだ?それも相手の男性が桂木常務だと考えると尚更不自然な事だった。
一平は自宅に帰ると会議の内容を美優に伝えて、知恵を借り様としていた。
それ程捜査が行き詰まり、進展が無かったのだ。
「私ね、先日の名刺の事で調べて欲しい事が有るのよ」
「あの古い名刺は役に立たなかったよ!くたびれ儲けの典型だよ」
「それでね、あの名刺は掃除会社以外に見た人が居ると思うのよ!その人が名刺の新しい物を別の場所に持って行ったのではないかと思うのよ」
「えー、それで新しい物が無かったのか?何故?」
「それは支障が有るか?犯人かも知れないわ!」
「何!犯人!社内に犯人が居るのか?」一平の声が大きく成る。
「美加が起きるでしょう」そう言って口に指を持って行く美優。
「最近行くお店は後任が使うからかも知れないわ、でも犯人の可能性も少なく無いわね」
「よし、明日東南物産の本社に乗り込むか!」
そう言った後は、急に事件の解決に目処が付いたと安心したのか、美優の身体を求める一平。
久しぶりにトイプードルのイチの泣き声が変わった夜に成った。
翌日東京に向かう一平と伊藤刑事、東南物産の本社は東京駅の目の前丸の内で、見上げると首が痛くなる程の高層ビルだ。
受付で、亡く成った桂木常務の名刺の事を伝えると、秘書課が管理していると連絡をした。
「三十五階で秘書課長の山口が伺います」と受付に言われてエレベーターに向かう二人。
「場違いを感じますね!」エレベーターに乗り込むと伊藤が小声で言う。
「こんな大きな会社の筆頭常務だ!色々秘密も有るだろう」
少し話していると直ぐに到着して、社内案内の電話から山口課長を呼び出した。
しばらくして、若い女性が応接室に二人を案内した。
「流石ですね、美人が多いですね」伊藤が小声で言うと「お前の奥さんに勝る美人は中々居ないよ」そう言うと頭を掻く伊藤。
ノックの音が聞えて「私が秘書課長の山口です」と四十過ぎのスタイルの良い女性が名刺を差し出した。
一平が清掃会社の話しをして、新しい名刺が在ると思うのですが、見せて貰えませんか?と頼むと「どの名刺が亡く成った桂木常務の物か判りません」と簡単に断られて「接待等で使うお店も多く、どうしても見せろと仰るならしかるべき手続きをお願いします」と毅然とした態度に成った。
「それは令状と言う意味ですか?」と言うと肯きながら微笑む。
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