第5章 決戦の日
第15話 決戦当日
「.....個人的には星座はまだ未成年だから.....困るって点も有るけど.....」
「.....ですよね」
夜になった時の事だ。
クリスも飯島先生も帰った後。
俺は.....星座と共に夕食後、七島さんとソファに腰掛けて話していた。
七島さんは.....少しだけ、うーん、と困惑している。
そりゃそうだろうとは思う。
だって自分の愛娘が.....給料も貰いつつ働こうとしているんだから。
有り得ないだろ普通は。
12歳の少女が、だ。
この前の相談とは桁が違いすぎる。
そんな七島さんに胸に手を当てて必死にお願いする、星座。
「.....でも私、頑張りたい」
「.....それは分かるんだけどね.....うーん。どうなんだろう」
「.....パパ。お願い」
必死の願いだった。
顎に手を添えて、そうだね.....、と俯く七島さん。
それから俺を見てくる。
俺は.....その姿に?を浮かべる。
そして七島さんはニコッとした。
「そのクリスさんという方は信頼出来る人なのかな?」
「.....少なくとも嫌な事はしないと思います」
「.....そうか.....」
そうだね.....じゃあ分かった。
と星座の手を優しく握る、七島さん。
それから.....頑張っておいで。
と頷いた。
「.....え?.....良いの?パパ」
「.....でも約束だよ。絶対に.....無茶はしない。良いね」
「有難う!パパ!」
そして七島さんに笑顔で抱き付く星座。
多分、了承してくれたのはクリスが俺の執筆仲間だからだろう。
だから.....認めてくれたのだろうと思う。
じゃ無いと心配で心配で仕方が無いだろう普通は。
思いながら.....笑みを浮かべた。
「良かったな。星座」
「.....うん。本当に。お兄ちゃんのお陰も有る」
「そうだな。俺も頑張ったけど.....一番頑張ったのはお前だ」
「.....そうなのかな?」
そうだ。
俺よりも.....遥かに頑張っている。
それも凄いと思うぐらいに。
思いながら.....星座の頭を撫でて立ち上がる。
そうなると、だ。
「.....全ては明日からだな」
「.....だね。お兄ちゃん」
「.....明日、対決だよな」
「.....うん。頑張る」
今日は早く寝るか。
思いながら.....俺は顎に手を添えた。
七島さんも立ち上がる。
そして俺に.....向いた。
「.....どうしたんすか?」
「.....耕作くん。君に出会ってから.....星座は大きく変わったよ。.....君にも和子さんにも感謝だね」
「.....そんな.....俺は何もして無いっす。全部.....星座が頑張ったお陰ですよ」
「.....いや。君の力も有るよ」
君は本当に魅力の有る子だ。
きっと.....星座と一緒に暮らしたら幸せになるだろう。
と.....言ったのだが。
その言葉に、へ!?パ、パパ!、と赤面した星座。
「.....どうしたんだ?」
「.....い、いや。冗談でもそんな事言わないで」
「.....?」
星座は真っ赤になっていた。
恥ずかしいのだろう。
あの告白の一件を思い出してしまった。
俺も赤面しながら.....気が付かれない様に外を見た。
午後9時を回っている。
これはまずい。
母親が俺達に向いてくる。
「早く寝る事をしてね。二人とも」
「はい」
「はーい」
おやすみなさい、と挨拶してから。
俺達は決戦の日になる為。
その日は.....そのまま寝てから。
そして.....決戦の日を迎えた。
☆
翌日になった。
朝食を食ってから約束の場所まで行くと。
そこには何故か.....アイツが居た。
丁度、飯島先生と。
パーカー姿のアイツと。
スーツ姿の佐藤さんも居るけど.....ってか何でだよ?
「.....何でお前まで居るんだ。クリス」
「.....私は審判として居るのよ。ふふーん」
「暇人」
「.....ハァ!?何か言ったかしら!?」
何も言ってない。
ガミガミ噛み付いてくんなよ。
思いながら.....俺は溜息を吐いた。
星座も苦笑している。
「.....それでは行きましょうか」
「.....でも飯島先生。佐藤さん。絵は何処で勝負するんですか?」
「あ、言って無かったですかね?.....すいません。.....私の家ですよ」
「.....ハァ!?」
1番に反応したのは.....クリスだった。
当たり前だが2番で俺が反応する。
目を丸くする星座。
ってか.....え!?飯島先生の家に行けるのか!?
「はい。だって.....私の家じゃ無いと.....色々と不便も有るでしょう?そういう事です」
「いや.....恐れ多いです.....」
星座も頷く。
いや、マジかオイ。
伝説の人の家に行けるのかよ。
かなり.....いや、マジに驚愕なんですが。
「こ、これはスクープよ!」
「.....お前だけ置いていこう」
「.....なんでそんな事を何時も言うのかしら?貴方」
「.....煩いからな」
またそんな事を。
と言う俺とクリスの間に、まぁまぁ、と佐藤さんが割って入る。
それから.....喧嘩しないで行きましょう、と宥める。
俺達は、フン、と互いに言いながら。
飯島先生の家に向かった。
電車に乗って.....それから徒歩5分の場所。
飯島先生の家が有った。
☆
「.....マジかこれ.....」
「.....流石は.....有名イラストレーターだわ」
「.....でかい」
少し都会的な街。
高層マンションが目の前に有る。
だがこれは.....セキュリティも頑丈な高級マンションだ。
家賃も相当なもんだとは思うが。
しかも.....このマンションのフロア3階を打ち抜き住んでいるという。
世界的有名な金持ちは違うな.....流石に。
「.....じゃあ入りましょう」
「ですね。飯島先生」
既に色々と知っている佐藤さんと本人は全く気にせずに入る。
俺たちは顔を見合わせてから恐る恐る、入る。
色々な差が有るな、全く。
そして.....フロアが綺麗すぎる。
セキュリティドアを開いてから入ったが.....本当に、だ。
一階には.....誰かスタッフの様な人が居た。
「お帰りなさいませ。飯島様。ご客人の方々でしょうか」
「.....うん。ただいま。下根。私の客人が来たから失礼の無い様にね」
「かしこまりました」
部屋の鍵?の様なカードを受け取り。
そして.....後ろに有るエレベーターで一気に30階まで上がった。
流石はナ○ョナル、むっちゃ速い。
それから開いた階で.....歩き出す。
まるでこれはホテルだな、マジに。
カーペット、シャンデリアが廊下に有るし.....。
一体全体、どんなマンションだよこれ。
思いながら居ると.....足が止まった。
「.....205。ここが私とお姉ちゃんの部屋です」
ニコッと笑みながら目の前の部屋を指し示す。
それから俺達を見てきた。
佐藤さんも俺達をニコッとしながら見てくる。
俺達は顔を見合わせてから.....部屋を見てクリスと俺が返事をした。
「「.....な、なるほど.....」」
「はい。あ。確か.....田中先生は会われましたよね?私のお姉ちゃんに」
「.....はい」
「.....私のお姉ちゃんもイラスト描いてます」
それは初耳だ。
思いながら.....飯島先生を。ってか。
少しだけ疑問に思ったのだが。
ご両親は?
「.....あの、すいません。ご両親は.....飯島先生」
「.....両親は居ないものと思って下さい。あはは」
少しだけ苦笑して複雑そうな顔で.....その様に告げる、飯島先生。
俺は目を丸くしそれ以上は聞かない事にした。
色々有るんだな、と思う。
そして飯島先生はカードキーで部屋を開けた。
「それはさて置き.....どうぞ」
「.....はい。.....うわ.....」
中は窓から海が見渡せる部屋だった。
そして白い壁紙と.....白の机、白い棚、白い置物。
それから.....この前のビデオ通話で写ったぬいぐるみが有りそして.....映画の様なクソでかいテレビなどが有る。
広すぎると思える部屋だが.....天井が更に広く。
感覚を見失いそうだ。
「.....先生の部屋はやっぱり広いですね。何度来ても感覚がおかしくなりそうです」
「.....あはは。ですかね」
「ですよ」
そんなお気楽な会話とは裏腹に俺達は萎縮していた。
すると飯島先生が俺達を見てくる。
柔和な顔で、どうぞ適当な所に座って下さい、と促された。
俺達は直ぐに顔を見合わせる。
「.....は、はい」
「はい.....」
なんつうかマジ卍ってか.....広すぎる。
本当に.....どれだけの家賃が掛かるのだろうか。
思いながら.....総工費とか考えつつ。
白い椅子に腰掛けた。
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