第8話 星座という名前の由来(編集済)

世界的有名イラストレーター、飯島餡。

最初、デビューして無い頃は描いた絵をピ○シブとか他のサイトとかでチマチマ投稿していてその作品の綺麗さ、個性などが高く評価されて出版社に直接、拾われた。

簡単に言えば直接の打診と言える。

そしてどんどん才能を発揮していった。


デビューして10日でファンを大勢作り。

そして僅か一ヶ月で鍛え抜かれたその力を有名ラノベ作家、ベックの目に留まり。

そこからますます絵の本領を発揮していき.....ベックが書いた文章に意気投合の拘った作品を載せて2000万部の小説が完結した今に至っている。

正直な話、一ヶ月で超有名ライトノベル作家の絵を描けるなんて奇跡だろう。


そして飯島餡は最後まで仕事をやり切った上で.....ベックに許可をとってから俺の挿絵を是非とも描きたいと申し出たのだと思う。

だけど分かる通り肩書きが半端じゃ無くて恐れ多い。

50万部しか売れてない俺の作品を描きたいとか.....相当なもんだと思う。


その当初はあまり子供っぽいとされていた飯島先生の絵。

それはそうだろう。

苦渋を舐めるのが普通は有名への道だ。

その当時なら.....絵を描いてほしいと頼めたかも知れないけど。


だが今は.....色々な変化が出来る作品に仕上がっており。

今や日本中いや世界中の.....アニメファンを虜にし。

そして.....アニメファン以外も虜にしている様なアーティストに上り詰めている。

その道は険しかったとは思うが俺はあまり思わない。

だって気が付いたら今の状態だったから.....天才すぎるのだ。


インスタグラムだっけか、あれのファンなんて全世界中、日本中で合わせて100万人いっているぐらいだ。

俺のインスタのファンなんてせいぜい1万人。

如何に凄いかがよく分かる。

百倍だ。


そんな飯島先生の作画はまるで四季を彩る様な丁寧かつ迅速な絵の為に展覧会などもよくやっているが.....。

普通はラノベの挿絵のアーティストの展覧会とかやらない。

俺だって飯島先生以外見た事無いのだ。

今も飯島先生はインスタとかにたまに絵は出しているが.....出した瞬間にフォロワーが千人はつく。


そんな飯島先生はもう分かる通りだが顔出しをしている。

本人曰く、まっさらな私を晒したいとしている。

前にそう聞いた。

因みに.....中学生ながらも学業とは完璧に両立している。

学業に専念出来ない仕事はどんなに高額でも断る主義だと聞く。


「.....その彼女が、か.....」


小説とかの手続きが終わった。

今日は星座は忙しかったので来なかったのだが.....有りのままを伝えよう。

と考えながら帰宅して.....駅から出て来た。


いやしかし.....まさかの展開だなマジに。

俺は.....少しだけ顎に手を添えて考えるが.....うん。

凄いと思う。

そうしていると.....目の前から声を掛けられた。

馴染みの声で、だ。


「お兄ちゃん」


薄暗い外なのに何故か.....目の前に星座が立っていた。

俺を見ながら.....柔和な表情を浮かべる。

どうしたのだ。

何故この場所に居るのだ?

思いながら.....聞いた。


「.....お前.....どうした?」


「.....迎えに来たよ」


「.....それは有難いが.....もう17時だぞ。.....色々怖いから出て来なくても良いのに」


「.....でもね。.....お迎えなら良いかと思って何となく」


柔和な表情のまま.....俺の手を引く。

それから、帰ろう、と言ってくれた。

俺は頷きつつ.....ゆっくり歩き出す。

その途中で.....星座に聞いた。

今日の事を、だ。


「.....良かったのか。.....対決して。勝てないと思うぞ」


「.....私は.....私が満足する事をしたい。だからこれで良いの。負けても勝っても.....笑える様に」


「.....そうか.....なら良いけど.....相手はマジに強いと思うぞ」


「.....だね。でも負けないよ。私」


俺は?を浮かべる。

何故そこまでやってくれるんだ、と聞くと、星座は、うーん、と悩みながら.....控えめの笑みを浮かべた。

そして俺に向いて.....答える。

それは.....予想外の答えだった。


「.....私が.....お兄ちゃんの義妹だからだよ」


「.....!」


「.....そして.....お兄ちゃんを心から支えたいからかな」


「.....成る程な。.....有難うな。星座」


うん、全然。

これってね.....特別な感情だと思う。

絆って感じ。

何だか放って置けないんだ、お兄ちゃんの事。

ポッキーを買ってくれた.....あの日から。


と嬉しそうに胸に手を当てる、星座。

俺はそれを目線だけ動かして穏やかに見る。

そうしていると.....星座が空を見上げた。

そして呟く。


「.....あ.....」


と、だ。

俺は?を浮かべて同じ様に空を見上げる。

そこには.....星が1個2個ぐらいだけ輝いていた。


本当に少しずつだけど、だ。

俺は、へぇ、と思いながら.....口角を上げる。

そうしていると.....星座が.....ゆっくり言葉を発した。


「.....私の名前。星座って言うけど.....これは.....お母さんが付けたんだ」


「.....え?そうなのか?」


「.....うん。(私が遠くなっても寂しく無い様に)って付けてくれたの。(星座の様に何時迄も輝いてね)って、ね」


「.....」


言葉に.....俺は少しだけ複雑な顔をする。

よく見ると.....星座が涙を浮かべていたから。

そして.....星座は目をグシッと擦る。

それから.....笑顔になった。


「.....私、お兄ちゃんに出会えて良かった気がする」


「.....?.....そうか?」


「.....うん。だって知らなかった世界を.....こうして知る事が出来るから。こうして家族になれたのは.....何かの縁だと思うから」


「.....そう言ってくれると.....有難いな。ハハハ」


ね?これからも.....宜しくお願いします。

と頭をゆっくり俺に下げる、星座。

俺は.....その姿に目を丸くしながらも。

此方も宜しく、と頭をゆっくり下げた。

そしてお互いに顔を上げてから見つめ合いクスクスと笑う。


それから少しだけスキップしそうな感じで家に帰って来た。

だが.....さて.....そうなると。

飯島先生が挑んで来るのは土曜日だ。


土曜日までに.....何か色々と.....整えた方が良いだろうとは思うが。

思いながら.....玄関に入った。

テスト有るんだよな.....しかし。



「七島さん」


「.....何かな?耕作くん」


「.....星座からも」


「うん」


その日の夜、夕飯のチャーハンを食べながら。

俺は七島さんと母さんに向いた。

七島さんと母さんは顔を見合わせてから俺達を見る。

俺達も顔を見合わせて頷いた。


「星座がもしかしたらイラストレーターになるかも知れないです」


「.....え?何のかい?」


「.....ラノベのです」


「え?それって本当に?」


七島さんは目を丸くして驚く。

その言葉に俺は頷きながら.....星座を見た。

星座は必死な感じで七島さんを見る。

そしてスプーンを置いた。


「.....お兄ちゃんを支えたいんです。パパ」


「.....!」


「.....という事なんです」


「.....」


七島さんは母さんとまた顔を見合わせて。

そして.....頷いた。

それから俺達に向く。


「良いよ。大丈夫」


「.....え?本当に?パパ」


星座が驚く。

俺も.....そういう答えが返ってくるとは思って無かったから目を丸くした。

渋られると思ったのだ。

だけど.....簡単にOKを出してくれた。

七島さんはスプーンを置く。


「.....でも学業に支障が出ない様にね。兄妹で.....頑張るって事を応援したいから」


「.....有難う。パパ」


「.....」


こうして一応にもイラストレーターへの道の許可を貰った。

そして俺達は顔をもう一回見合わせて笑みを浮かべて。

家族の他愛無い会話に戻った。



翌日になった。

俺は星座と一緒に学校に通ってそして途中で何時もの様に途中で別れてからそのまま歩き出す。

そうしていると.....男子生徒が群がっている場所が有った。


アリが.....獲物に集る様に、だ。

押すな押すなの感じだが。

何だこりゃ。


「.....?」


何事かと思いながら.....遠くを見る。

そこには.....美少女が2名、登校していた。

で、片方は.....見た事が有る。

何と.....野々華さんで有る。


「.....?」


そしてもう片方は.....日本風の淑やかな感じの少女。

ボブヘアーながらもかなり清楚だ。

そして最後に.....顔立ちもかなり可愛い。

清潔感が有るな。


成る程な、こりゃこの馬鹿共が群がる訳だ。

思いながら.....欠伸をしつつ興味無さげに歩き出す。

そして.....学校まで登校した.....時だ。

側から声がしてきた。


「あの」


「.....?」


「.....もしかしてこの前会った方じゃ無いですか?」


下駄箱に行く途中の事。

背後から和かに声を掛けられた。

その女の子は.....野々華さんだ。


俺は驚きながら、ども、と会釈する。

野々華さんも、どうも、と挨拶をする。

それから、そうだけど.....、と返事をした。

野々華さんは手を叩く。


「やっぱり。お久しぶりです。同じ学校だったんですね」


「.....そうみたいだな。君は何年生?」


「私は2年生です。.....山田さん」


「そりゃ奇遇だな。俺も.....2年生だよ。野々華さん。見て分かる通り」


あ、本当ですね。

とニコッとする野々華さん。

可愛らしい笑みだ。

それを見ながら全身を見てみる。


この学校は規則が緩いので校則を守っている奴は半々なんだが.....かなりキッチリ守っている様だ。

先程の少女と同じ様に.....清潔感が有る。

ん.....?このバッジ.....生徒会の。


「.....分かるかも知れませんが私、生徒会副会長なんです」


「.....あ、そうだっけ!?」


「あ。知らなかったんですか?」


もー、と苦笑する、野々華さん。

よく見ると確かに生徒会のバッジだ。

マジすかと思いながら目を丸くする、俺。


俺は.....何にも知らなかったな。

寝てたかも知れない。

そんな感じで考えていると背後から先程のボブヘアーの少女がやって来てから野々華さんに声を掛けてきた。


「早く行かないと。野々華。会議に遅れるよ」


「.....あ、そうだね。美奈子ちゃん。.....それでは.....山田さん。失礼しますね」


「.....あ、ああ.....」


俺は.....手を挙げる。

手を膝下に当てながら礼儀正しいお辞儀をしてそのままタッタッタと野々華さんは去って行った。

とんでも無い偶然も有るもんだな.....と俺は顎に手を添えて考える。

生徒会副会長様、か。


下駄箱を開けながら納得する俺。

そんな俺はまだ知らなかった。

衝撃的な事実はこれで終わりでは無かったという点に。


何がって?

そうだな.....簡単に言うと衝撃的な事が.....起こる。

それは見ていれば分かるのだが.....。

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