第2章 星座とイラストと

第5話 感じる違和感(編集済)

「広いね.....この公園」


「だろ。前から有った公園が改築されたんだ。遊びごたえが有ると思う」


「私は子供じゃないよ」


「.....そう言うなよ。ハハハ」


母親と七島さんに許可を取ってやって来た。

もう、と不愉快そうに呟きながらも駆け出して行く、星座。

その姿に転けるなよ!と大声で言って見送った。

それから公園に有る二人掛けのベンチに腰掛ける。


俺はそんな遊びをする様な感じでは無いので、だ。

と同時に横に誰かが腰掛けた。

タイミングが同時だった為に俺は見開きながら謝る。


「あ.....すいません」


「いえいえ。此方こそ」


その人を見ると.....女性で。

美少女だった。

読書をする為だろう、本を持っている。

ベレー帽を被って四角い黒縁メガネ。


それから.....黒髪の長髪。

すげえなと思いながら.....真正面を見た。

こんな清楚かつ.....こんな美少女居るんだな、と思う。

同年代ぐらいだが.....と思っているとその美少女に話し掛けられた。


「.....貴方も誰かを遊ばせにこっちに?」


「.....へ?あ、ああ.....」


「私は.....弟が少し幼いので遊ばせに来たんです」


「.....へえ.....その弟さんは幾つぐらいですか?」


俺がそう聞くと。

丁度.....10歳ですねと言いながら。

そのはしゃぐ弟さんと思える少年を見つつクスクスと笑った。

弟さんは砂場で遊んでいる。

俺は.....少しだけ考え込み、答えた。


「.....奇遇ですね。俺の妹は12歳なんです。歳が近い」


「.....あ。そうなんですね」


「.....ええ」


俺は口角を上げる。

そして再び前を見ていると。

少女が俺の顔を見てから.....目を丸くした。

それから柔和に言葉を発する。


「.....そういえば私、貴方を何処かで拝見した様な気がします」


「.....同じ学校とかですか?」


「.....そうですね。この付近の県立に通っていませんか?私は南県立高校生です」


「.....え?そうなんですか?.....南学校ですよ俺も」


え?それは.....奇遇ですね。

と本を口元に笑み?を浮かべる、少女。

本当におしとやかで可愛いな。

と思っていると.....星座が遊び疲れたのかこっちにやって来た。


「お兄ちゃん。その人は」


「.....ああ。いや、今知り合っただけの女の子だよ」


そんな会話を星座としていると少女が本を閉じる。

ニコッと笑みを浮かべて星座と俺をそれぞれ見て挨拶をした。

それから.....頭を下げつつ言う。


「.....一応、挨拶をしておきますね。私は野々華。葉場野々華です」


「野々華さんですか。名前も可憐ですね。俺は.....山田耕作です」


「宜しくです。山田さん」


パアッとした花が周りに浮かぶ様に笑みを浮かべる、野々華さん。

俺は.....それを頬を掻いて見ながら星座に向く。

何故か胸に手を添えていた。

そして少しだけ.....困惑している。


「うん。綺麗な人だね.....お兄ちゃん」


「.....あ?.....ああ。綺麗だよな」


「.....」


途切れた。

うん?え?ちょっと待って何だ?

会話が全然、続かない。

まるでそれは会った頃の様に、だ。


何故だと思いながら居ると。

星座は、じゃあ、と行ってしまった。

俺は???を浮かべながら星座の背中を見つめる。

すると.....野々華さんが、あらあら、と何かを察した様に少しだけ苦笑して言葉を発した。


「.....お兄ちゃんが取られちゃうって思ったんですね」


「.....え?.....あ、ああ。成る程.....」


ああそうなのか。

子供心は分からないな。

思いながら.....溜息を吐く。

すると野々華さんが笑みを浮かべた。


「.....本当に良いご家族ですね」


「.....あ、はい.....」


俺は少しだけ恥じらいながら.....頬を掻く。

そうしていると野々華さんの弟さんが、疲れた。帰ろ?、とやって来た。

野々華さんは、分かったわ、と話しつつ。

俺にまた頭を下げてきた。


「それでは失礼します。妹さんにも.....宜しくお伝え下さい」


「.....あ、はい」


そのまま可憐に野々華さんと弟さんが去って行くのを見送ってから。

俺は星座を探す様に目の前を見る。

星座は他の小さい子達と遊んでいた。

俺はそれを見ながら.....笑みを浮かべて。

スマホで.....星座の写真を撮った。



ポッキーを食べながら横の俺と同じベンチに腰掛けている星座。

俺はその星座を見ながら、美味しいか?、と聞く。

すると星座は、はい、と返事をした。

俺はその言葉に、そうか、と返事しながら笑みを浮かべる。


「.....さっきの人.....可愛かったね」


「だな.....うん」


「.....お兄ちゃんは.....ああいう人がタイプなの」


「.....だn.....え?!は!?」


返事しようと思ったら。

いや、ちょ。

直球で何を聞いてくるんだ。


思いながら.....星座を見るが星座は.....眉を顰めていた。

今直ぐに答えて?的な感じで、だ。

俺は困惑しながら答える。

何回目かの溜息を吐きつつ、だ。


「.....タイプっちゃタイプだけどな.....。だって俺は.....静かな人が好きだから」


「.....ふーん.....そうなんだ.....」


顎に手を添える、星座。

そして、ふーむ、と悩む。

俺は???を浮かべながら星座をただ困惑して見ていた。


すると星座は、分かった、と心に何かを決めた様にして立ち上がった。

その瞬間に.....何か着ている服のポケットから落ちる。

それは.....どうやら赤いお守りの様だ。

俺は直ぐに拾った。


「.....おい。星座。.....何か落ち.....」


そこまで言い掛けて俺は至近距離からそのお守りを見て.....俺は目を丸くする。

ちょっと待て.....何だかこのお守り見たことが有るぞ。

と思いながらも、どうしたの、と星座が聞いてきたので首を振ってからお守りをそのまま星座に返した。

だがちょっと聞きたい。


「.....星座。そのお守りは.....その.....何処で手に入れたんだ?」


「赤ん坊の頃から持っているみたいだよ。パパが言ってたから。それ以外は知らない」


「.....そうか.....」


俺は顎に手を添える。

星座が持っている赤いお守り。

その赤いお守りは俺が幼い頃に買った.....お守りと形も同じだ。


いや.....全く同じ物か。

今、俺のポケットの中にもさっきのお守りは入っているが.....確かこのお守りは持っている奴はそんなに居ない。

何故かと言えば.....作られた数が限りがあったからだ。

すると星座が不思議そうに聞いてきた。


「.....どうしたの。お兄ちゃん」


「.....星座。七島さんと俺って昔会ったとか話していたか?」


「.....そんな事は知らない。そんな話は聞いた事無いしね」


そうか.....。

いや、まあ偶然だとは思うが.....。

お守りについてはこの近所の神社のお守りだ。


だがカラーがとても人気で5種のカラーのうち.....即刻、売り切れたお守りで有る。

数は50個だけで近所の人だけ限定で販売されたのだ。

製造者が死去して翌年には販売されなくなった。

だから.....そんなに持っている人は居ない筈なのだ。


こんな偶然って有るか?

50個だぞ?

しかも星座は遠くから引っ越して来たのに.....持っているのがおかしい。

七島さんが何かを隠しているのか?


星座が暇を持て余したらいけないと思い敢えてそれ以上は考えず仕舞いだったが.....だけど.....何だこのもどかしさは。

引っかかるのだ。


俺達は.....星座が疲れたという事で家に帰った。

その中でもずっと.....赤いお守りの事を考えてしまい。

ずっとモヤモヤした。

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