第4話 小説を読みたい(編集済)
「お兄ちゃん」
13時の事だ。
その日、昼飯を食ってから俺は自室で小説を書きながら過ごしていると扉にノックが有り声が有り。
驚きながら、はい、と返事すると星座が入って来た。
その顔はそれなりに柔和な顔をしている。
俺は.....パソコンを閉めながら少しだけ笑みを浮かべて聞いた。
「.....どうしたんだ。星座」
「私をモデルにしたっていう小説。.....読める?」
「え?」
俺は相当にビックリした。
そんなことを言われるとは思って無かったのだ。
驚愕しながらも.....頷いて分かったと返事をしてから。
横に有る小型の印刷機を動かした。
そして印刷していると.....星座がベッドに腰掛けた。
それから、お兄ちゃん、と呟く星座。
俺は?を浮かべながら星座を見る。
「何でエッセイを書こうと思ったの」
「.....それは.....お前が俺を助けたからだ」
「.....そんな単純で良いの。書いて」
「.....ああ。きっかけはいつだって些細な事から、だ。それが小説ってもんだ」
でも正直の所.....エッセイは初めてだな。
思いながら.....眉を顰める。
上手くいけば良いんだが.....と思う。
すると星座が.....笑んだ。
「.....私達の関係のエッセイなら売れるね」
「ああ。でもまぁ.....小説の会社が出すかによって決まるからな。まだ発刊されるとは限らないぞ」
「.....それってつまり.....ボツも有り得るの?」
「.....そうなるな.....うん。言い辛いけど」
え.....、とショックを受ける星座。
俺は.....それが社会の常識なんだ、と溜息を吐いた。
そして.....ボツになった原稿は.....二度と受からないからな、とも言う。
え.....!?とショックを更に受ける星座。
ユアーショックってか。
「じゃあ落ちない様にして」
「.....ああ。だから俺は細心の注意を払ってんだ。.....お前とのこの絆が受かる様にな」
「本にしたいから.....お願い」
何でそこまで望むのか。
思いながら.....星座を見た。
星座は胸に手を当てて.....俺を見る。
その顔は真剣だった。
「今のこの.....世界を.....嬉しく思っているから」
「.....そうか」
折角、お兄ちゃんと出会ったんだから。
この事を.....翻弄されながらも心が温まる事を周りに知って欲しいから。
と胸に手を添えたまま言う星座。
俺は.....その姿を見ながら頷く。
「そうだな.....お前という.....存在が居る事を俺も知ってほしい。お前という.....柱が居る事を、だ」
「.....うん」
そして印刷が終わり。
俺はそのかなり沢山の紙の束を星座に渡した。
すると星座は受け取るなり直ぐに一心不乱に読み始める。
まるで.....食事にがっつく動物の様に、だ。
俺は苦笑いを浮かべる。
「.....凄い.....こんなに繊細に書いて有る」
「.....少なくとも俺自身は面白いとは思っているんだけど.....エッセイってなかなか難しいんだ。受かる確率も少ないからな」
「パパも和子さんも心から表現してる。.....嬉しい」
笑みを浮かべる星座。
俺は.....その姿を見ながら嬉しく思った。
本当に.....書いて良かったと思う。
面白いからスラスラ読める、これ。
と星座は呟きながら、30分経った。
まだ40000文字ぐらいしか書いてないから一応は読み終わった様だ。
俺に小説の束を返してきた。
そして.....頷く。
「面白い。.....何よりも.....凄い嬉しかった」
「.....後はこれを.....もう少し書いたら出版社に出せるけど.....」
「.....そうなんだ。.....でも誤字脱字が少しまだ有る。気を付けて」
星座は真剣な顔でそう言う。
必死に訴える様に、だ。
俺は、大丈夫。訂正するからな、と呟く。
すると堅苦しい顔が解けた。
そうしてから星座は外を見ながら.....良い天気だね、と呟いた。
俺は.....そこで、そうだ、と気が付く。
そうだ、この近所に公園が出来たんだよな。
「星座。公園に行かないか。この前出来たんだ。公園が」
「.....え?」
「.....息抜きだ。気分転換とか、な。お前も文字疲れしているだろうし」
「.....」
顎に手を添える、星座。
それから考え込み.....俺に向いて頷く。
行く、と一言、呟いた。
俺は、.....そうか、と和かに反応してそれから。
公園に行く事になった。
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