第2話 心の傷(編集済)

俺の名前は山田耕作。

事情により.....と言うか。

訳有って俺の母親が少しだけ年下の人の連れ子の居る男性と再婚した。

俺の親父は膵臓癌で病死した為に、で有る。

母親は俺の幸せを願っていたのだ。


今年の3月の初頭に俺はその連れ子のいる新しく俺の義父になる少し若い男性と連れ子に母親と共に会った。

相手の名前は七島勇五郎さんという。

そして連れ子の小学6年生の女の子の名前は七島星座ちゃんという。

俺は少しだけ眉を顰めながら接していた。


その為に俺はコンビニに逃げてしまった。

だけどそうしてコンビニに居ると星座ちゃんがコンビニに入って来たのだ。

俺はそんな星座ちゃんに声を掛けてしまった。


何故声を掛けたのか.....分からないが、だ。

だけどそれが良かった。

少しだけ会話が出来たから、だ。


そうした事がきっかけで俺達はそれなりに会話出来る様になり。

それから一日経った時。

リビングでパソコンで小説の練習をしていると星座ちゃんがやって来た。

俺は?を浮かべながら.....聞いてみる。


「星座ちゃん。どうした」


「.....お兄ちゃんは小説家って聞いたけど.....本当?」


「.....」


少しだけまだ控えめだ。

七島さんは仕事で母親が居るのだが背後で不安そうに見守っている。

俺はその姿を見つつ星座ちゃんを見た。

そして笑みを浮かべる。


「そうだよ」


「.....そうなんだ。ふーん」


「.....今は小説家じゃ無いんだけどね」


「.....今は?」


そう、今は、だ。

その事を説明すると.....目を丸くした星座ちゃん。

それから.....目を俺に向けた。

どういう事だ?


「.....私のお母さんも膵臓癌だった」


「.....え.....」


「.....亡くなったから。それで」


「.....マジか?」


こくんと頷きソファに腰掛ける星座ちゃん。

俺は.....マジか.....と唖然と思いながらパソコンの画面を見た。

すると.....星座ちゃんは俺を真っ直ぐに見て、母さんを見つめる。

そして俺を見てきた。


「.....そんな事が有ったなんて知らなかった」


「.....お前も苦労しているんだな」


「お兄ちゃんよりかは苦労してない」


「.....」


無愛想にそっぽを向いて返事をする、星座ちゃん。

俺はそれに対して苦笑しながら.....見つめた。

それから.....母親を見る。

母親は安心した様な顔だった。


「お兄ちゃん」


「.....なんだ?」


「ポッキー買ってくれて有難う」


「.....!」


そう言いながら.....去って行った星座ちゃん。

俺は.....少しだけ嬉しい気持ちになった。

それから.....前の画面を見る。

母親がやって来た。


「良かったわね」


「.....まだ付き合い方が分からない。でも.....少しだけでも.....レベルアップして行きたたいな」


「.....そうね。私もまだまだ未熟よ。だから.....耕作。貴方の手も借りるわ」


「.....そうだね。母さん」


そして.....前を見ていると。

何故か画面が歪んだ。

気が付いたが.....泣いていた。

俺は驚愕しながら.....涙を拭う。

母さんもかなり慌てる。


「耕作!どうしたの!?」


「あれ.....あれ?何でかな.....」


何故か涙が止まらなくなった。

星座ちゃんも騒ぎを聞きつけたのかやって来る。

そして駆け寄って来た。

俺を青ざめながら見ている。


「.....ったく.....どういう事だ?あれ.....」


「お、お兄ちゃん.....?」


「.....御免なさい.....皆んな.....!」


親父の5周忌で悲しいとは知っていたが.....何故今、こんなに?

涙が止まらなかった。

ただひたすらに本当に涙が止まらない。

すると.....涙を拭っている母親の代わりに星座ちゃんが俺を抱き締めた。

俺は驚愕して.....星座ちゃんを見る。


「.....歌。歌を.....私.....歌ってあげる。お母さんが死んで悲しかった時に.....聞いていた歌.....!」


そして星座ちゃんが歌を歌い始めた。

目を丸くしている母さんに寄り掛かり星座ちゃんが抱き締める中。

俺は目を閉じる。

その歌はただの子守唄だった。

だけど.....俺の世界が.....安泰していく。


「.....お兄ちゃん。大丈夫。大丈夫だよ」


「.....大丈夫よ。私も居るから。安心しなさい」


「.....」


世界が絶望しか無いと思っていた。

だけど.....二人がそう言い抱き締めてくれて。

俺は.....ただ嗚咽を漏らす事しか.....出来なかった。


感謝の言葉の嗚咽を、だ。

情けない姿だったけど.....俺は.....泣きたかったんだなと。

ふと、思った。

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