〇ようこそ、実力至上主義の世界へ
5月最初の学校開始を告げる始業チャイムが鳴った。程なくして、手にポスターの筒を持った
「せんせー、ひょっとして生理でも止まりましたー?」
「これより朝のホームルームを始める。が、その前に何か質問はあるか? 気になることがあるなら今聞いておいた方がいいぞ?」
茶柱先生は池のセクハラに一切構わず、そんなことを言った。生徒たちからの質問があることを確信しているかのような口ぶりだ。実際、数人の生徒がすぐさま挙手した。
「あの、
「
「え、でも……。振り込まれてなかったよな?」
本堂や
「……お前らは本当に愚かな生徒たちだな」
怒り? あるいは
「愚か? っすか?」
間抜けに聞き返す本堂に、茶柱先生は鋭い眼光を向ける。
「座れ、本堂。二度は言わん」
「さ、
聞いたことがない厳しい口調に本堂は腰が引け、そのままズルっと
「ポイントは振り込まれた。これは間違いない。このクラスだけ忘れられた、などという幻想、可能性もない。わかったか?」
「いや、分かったかって言われても、なあ? 実際に振り込まれてないわけだし……」
本堂は戸惑いながらも、不満げな様子を見せる。
もし、茶柱先生の言うように振り込まれたのが事実だとしたら……。
それが矛盾ではないとしたら? 振り込まれた結果が、0ポイントなんだとしたら?
そんな疑問が
「ははは、なるほど、そういうことだねティーチャー。理解出来たよ、この
「簡単なことさ、私たちDクラスには1ポイントも支給されなかった、ということだよ」
「はあ? なんでだよ。毎月10万ポイント振り込まれるって……」
「私はそう聞いた覚えはないね。そうだろう?」
ニヤニヤと笑いながら、高円寺は
「態度には問題ありだが、高円寺の言う通りだ。全く、これだけヒントをやって自分で気がついたのが数人とはな。嘆かわしいことだ」
教室の中は、突然の出来事、報告に騒然としだした。
「……先生、質問いいですか?
「振り込まれなかった理由を教えてください。でなければ僕たちは納得出来ません」
確かに、
「遅刻欠席、合わせて98回。授業中の私語や携帯を触った回数391回。ひと月で随分とやらかしたもんだ。この学校では、クラスの成績がポイントに反映される。その結果お前たちは振り込まれるはずだった10万ポイント
入学式の日に直接説明したはずだ。この学校は実力で生徒を測ると。そして今回、お前たちは0という評価を受けた。それだけに過ぎない」
つまり、スタートダッシュで
カリカリと鉛筆の動く音が聞こえる。
「茶柱先生。僕らはそんな話、説明を受けた覚えはありません……」
「なんだ。お前らは説明されなければ理解出来ないのか」
「当たり前です。振り込まれるポイントが減るなんて話は聞かされてなんていませんでした。説明さえして貰えていたら、皆遅刻や私語なんかしなかったはずです」
「それは不思議な話だな
「それは……」
「身に覚えがあるだろう。そう、義務教育の9年間、嫌と言うほど聞かされてきたはずだ。遅刻や私語は悪だと。そのお前らが、言うにことかいて説明されてなかったから納得できない? 通らないな、その理屈は。当たり前のことを当たり前にこなしていたなら、少なくともポイントが0になることはなかった。全部お前らの自己責任だ」
反論のしようなどない、絶対的な正論だった。誰もが知っている、一番簡単な善悪。
「高校一年に上がったばかりのお前らが、何の制約もなく毎月10万も使わせてもらえると本気で思っていたのか? 日本政府が作った優秀な人材教育を目的とするこの学校で? ありえないだろ、常識で考えて。なぜ疑問を疑問のまま放置しておく?」
その正論に平田は悔しそうな姿を見せるが、すぐに先生の目を見た。
「では、せめてポイント増減の詳細を教えて下さい……。今後の参考にします」
「それはできない相談だな。人事考課、つまり詳細な査定の内容は、この学校の決まりで教えられないことになっている。社会も同じだ。お前が社会に出て、企業に入ったとして詳しい人事の査定内容を教えるか
「遅刻や私語を改め……仮に今月マイナスを0に抑えたとしても、ポイントは減らないが増えることはない。つまり来月も振り込まれるポイントは0ということだ。裏を返せば、どれだけ遅刻や欠席をしても関係ない、という話。どうだ、覚えておいて損はないぞ?」
「っ……」
話の途中だがチャイムが鳴り、ホームルームの時間が
「どうやら無駄話が過ぎたようだ。大体理解出来ただろ。そろそろ本題に移ろう」
手にしていた筒から白い厚手の紙を取り出し、広げた。それを黒板に
「これは……各クラスの成績、ということ?」
半信半疑ながらも、
そこにはAクラスからDクラスの名前とその横に、最大4
オレたちDクラスは0。Cクラスが490。Bクラスが650。そして一番高い数字がAクラスの940。これがポイントのことだとすると、1000ポイントが10万円に値する、というところか。
「ねえ、おかしいと思わない?」
「ああ……ちょっと
オレと堀北は貼り出された点数のある奇妙な点に気づいた。
「お前たちはこの1か月、学校で好き勝手な生活をしてきた。学校側はそれを否定するつもりはない。遅刻も私語も、全て最後は自分たちにツケが回って来るだけのこと。ポイントの使用に関してもそうだ。得たものをどう使おうとそれは所有者の自由。その点に関しても制限をかけていなかっただろう」
「こんなのあんまりっすよ! これじゃ生活できませんって!」
今まで黙って聞いていた
「よく見ろバカ共。Dクラス以外は、全クラスがポイントを振り込まれている。それも一か月生活するには十分すぎるほどのポイントがな」
「な、なんで他のクラスはポイントが残ってんだよ。おかしいよな……」
「言っておくが不正は一切していない。この一か月、全てのクラスが同じルールで採点されている。にもかかわらず、ポイントでこれだけの差がついた。それが現実だ」
「
平田も貼り出された紙の謎に気が付いた。あまりに綺麗にポイント差が開いている。
「段々理解してきたか? お前たちが、何故Dクラスに選ばれたのか」
「俺たちがDクラスに選ばれた理由? そんなの適当なんじゃねえの?」
「え? 普通、クラス分けってそんなもんだよね?」
「この学校では、優秀な生徒たちの順にクラス分けされるようになっている。最も優秀な生徒はAクラスへ。ダメな生徒はDクラスへ、と。ま、大手集団塾でもよくある制度だな。つまりここDクラスは落ちこぼれが集まる最後の
確かに優秀な人材は優秀な箱に、ダメな人材はダメな箱に詰めた方がいい。腐ったミカンが、良いミカンを腐らせることは間々あることだ。優秀な堀北が反感を抱くのは必然。
でもオレはこれで良かったのかもな。これ以上下がることはないわけだし。
「しかし1か月ですべてのポイントを吐き出したのは過去のDクラスでもお前たちが初めてだ。よくここまで盛大にやったもんだと、逆に感心した。立派立派」
「このポイントが0である限り、僕たちはずっと0のままということですね?」
「ああ。このポイントは卒業までずっと継続する。だが安心しろ、寮の
必要最低限の生活は出来るかも知れないが、多くの生徒にとっては慰めにもならない。この一か月生徒たちは
「……これから俺たちは他の連中にバカにされるってことか」
ガン、と机の脚を
「何だ、お前にも気にする体面があったんだな、須藤。だったら頑張って上のクラスに上がれるようにするんだな」
「あ?」
「クラスのポイントは何も毎月振り込まれる金と連動しているだけじゃない。このポイントの数値がそのままクラスのランクに反映されるということだ」
つまり……仮にオレたちが500ポイントを保有していたら、DクラスからCクラスに昇級していた、ということか。本当に企業の査定のようだ。
「さて、もう一つお前たちに伝えなければならない残念な知らせがある」
黒板に、追加するように
「この数字が何か、バカが多いこのクラスの生徒でも理解出来るだろう」
カツカツとヒールで床を踏み鳴らし、生徒たちを一瞥する。
「先日やった小テストの結果だ。
一部の上位を除き、
「良かったな、これが本番だったら7人は入学早々退学になっていたところだ」
「た、退学? どういうことですか?」
「なんだ、説明していなかったか? この学校では中間テスト、期末テストで1科目でも赤点を取ったら退学になることが決まっている。今回のテストで言えば、32点未満の生徒は全員対象と言うことになる。本当に愚かだな、お前たちは」
「は、はあああああああ!?」
真っ先に
「ふっざけんなよ
「私に言われても困る。学校のルールだ、腹をくくれ」
「ティーチャーが言うように、このクラスには愚か者が多いようだねぇ」
「何だと高円寺! どうせお前だって赤点組だろ!」
「フッ。どこに目が付いているのかねボーイ。よく見たまえ」
「あ、あれ? ねえぞ、高円寺の名前が……あれ?」
下位から順に、上位へと向かう視線。そして───たどり着いた、高円寺六助の名前。
それは信じられないことに、上位も上位、同率首位の一人に名を連ねていた。その点数は90点。恐ろしく難度の高い問題を1つは解いていたということだ。
「絶対須藤とおんなじバカキャラだと思ってたのに……!」
そんな驚嘆と
「それからもう一つ付け加えておこう。国の管理下にあるこの学校は高い進学率と就職率を誇っている。それは周知の事実だ。恐らくこのクラスの殆どの者も、目標とする進学先、就職先を持っていることだろう」
それは当然のことだろう。この学校は全国でも屈指の進学、就職率。ここさえ卒業出来れば、通常では難しいとされる希望先にもすんなりと入れると
「が……世の中そんな
「つまり希望の就職、進学先が
「それも違うな
「そ、そんな……聞いてないですよそんな話! 滅茶苦茶だ!」
立ち上がったのは、
「みっともないねぇ。男が慌てふためく姿ほど
そんな幸村の声を
「……Dクラスだったことに不服はないのかよ。高円寺」
「不服?
「俺たちは学校側から、レベルの低い落ちこぼれだと認定されて、その上進学や就職の保証もないって言われたんだぞ、当たり前だ!」
「ふっ。実にナンセンス。これこそ愚の骨頂と言わざるを得ない」
「学校側は、私のポテンシャルを計れなかっただけのこと。私は誰よりも自分のことを評価し、尊敬し、尊重し、偉大なる人間だと自負している。学校側が勝手にD判定を下そうとも、私にとっては何の意味もなさないと言うことだよ。仮に退学にすると言うのなら、勝手にするがいい。後で泣きついて来るのは、100%学校側なのだからね」
「それに私は学校側に進学、就職を世話してもらおうなどとは
将来を約束されている男にとっては、確かにAクラスである必要性は皆無だ。
幸村も反撃の言葉を失い、そのまま腰を下ろすしかなかった。
「浮かれていた気分は払しょくされたようだな。お前らの置かれた状況の過酷さを理解できたのなら、この長ったるいHRにも意味はあったかもな。中間テストまでは後3週間、まぁじっくりと熟考し、退学を回避してくれ。お前らが赤点を取らずに乗り切れる方法はあると確信している。出来ることなら、実力者に
ちょっと強めに扉を閉めると、
がっくりとうな垂れる赤点組たち。いつも堂々としている
1
「ポイントが入らないって、これからどうするんだよ」
「私
「ポイントよりもクラスの問題だ……ふざけんなよ。なんで俺がDクラスなんだよ……!」
「って言うか、そもそも私たち好きなところに進学できないわけ? じゃあ、何のためにこの学校に入ったの?
他の生徒たちも、一様に混乱の色を隠せない。
「混乱する気持ちは分かるけど、いったん落ち着こう」
教室の不穏な流れに危機感を覚えた
「落ち着くってなんだよ。お前も悔しくないのかよ、落ちこぼれだって言われて!」
「今はそう言われても、力を合わせて見返してやればいいじゃないか」
「見返す? そもそもこっちはクラス分けの時点で納得いってねーんだよ!」
「気持ちは十分分かるよ。でも、今ここで
「なんだと?」
幸村は距離を詰め、今にも平田の胸倉を
「落ち着いてよ二人とも。ね? きっと先生は私たちを奮い立たせるために厳しく言ったんじゃないかな?」
「それにさ、まだ入学して1か月だよ? 平田くんの言うようにこれからみんなで頑張ればいいじゃない。私、間違ってること言ってるかな?」
「い、いや、それは……。確かに、櫛田の言うことも間違いではないが……」
幸村の怒りは、既に半分近く雲散していた。櫛田の目は本気でDクラスの皆が協力し合えば、何とかなると訴えかけてきていた。
「そ、そうだよな。焦ること、ないよな? 幸村も平田も
「……悪い。ちょっと冷静じゃなかった」
「いいんだ。僕の方こそもう少し言葉を選ぶべきだったよ」
櫛田
オレは携帯を引っ張り出し、黒板に張り出されたままの紙、そこに書かれたポイントを打ち込む。その姿を見ていた
「何をしているの?」
「どうにかしてポイントの詳細を割り出せないかと思ってさ。お前も色々メモってたろ」
遅刻が、雑談が何ポイントマイナス、とかが分かれば対策も立てやすくなる。
「現段階で詳細を割り出すのは難しいんじゃない? それに、あなたがそれを調べたところで解決する問題とは思えない。このクラスは単純に遅刻や私語をし過ぎたのよ」
「お前も進学組か?」
「……どうしてそんなことを?」
「いや、AとDの差を聞いた時、ショックそうだったからな」
「そんなの、大なり小なり、このクラスにいる誰だってそうでしょう? 入学する前に説明があったならともかく、この段階で言われても納得なんて出来ない」
ま、そうだな。恐らくDクラスだけじゃなく、CやBクラスの生徒からも不平不満が出ているに違いない。学校からすれば、A以外は落ちこぼれ
「オレとしちゃ、AだのDだの言う前に、ポイントの確保をしたいところだな」
「ポイントなんて副産物でしかないわ。無くても生活に支障は出ない。事実学校には随所に無料で利用できるものがあるでしょう?」
今思えば、それはオレたちのようなポイントを失った者たちへの救済措置なんだろう。
「生活に支障は出ないねえ……」
確かに生きていくだけなら問題はない。けどポイントでしか賄えない部分も多々ある。その代表例が娯楽だろう。その娯楽の欠如が、後々
「先月、
「ん? ああ、ポイントのことか。2万くらいかな、ざっくりとだけど」
悲惨なのはポイントを使い切ってしまった生徒たちだろう。さっきから机の上で
「気の毒だと思う反面、
確かに、計画性なく1月で10万使い切るのには少々問題がある。
「オレたちは一か月間、まんまと甘いエサにつられてたってことだな」
毎月10万。そんなに甘いわけがないと思いつつも、つい浮かれていた。
「皆、授業が始まる前に少し真剣に聞いて欲しい。特に
まだ騒然とする教室で、
「チッ、なんなんだよ」
「今月、僕たちはポイントを
「そんなの絶対嫌!」
一人の女子生徒が悲鳴にも似た叫びをあげる。
「もちろんだよ。だからこそ、来月は必ずポイントを獲得しなければならない。そしてそのためにはクラス全体で協力しなきゃならない。遅刻や授業中の私語はやめるよう互いに注意するんだ。もちろん、携帯を触るのも禁止だね」
「は? なんでそんなことお前に指示されなきゃならねえんだ。ポイントが増えるならともかく、変わらないなら意味ないだろ」
「でも、遅刻や私語を続ける限り僕たちのポイントは増えない。0から下がらないだけで、マイナス要素であることには間違いないんだから」
「納得いかねーな。
「学校側からすれば、遅刻や私語をしないのは当たり前の話ってことなのかな?」
「うん、櫛田さんの言う通りだと思う。出来て当たり前のことなんだよ」
「それはお前らの勝手な解釈だろ。それにポイントの増やし方がわからねーんじゃやるだけ無駄だろ。増やし方を見つけてから言えよ」
「僕は、何も須藤くんが憎くて言ってるわけじゃないんだ。不快にさせたなら謝りたい」
平田は不満を漏らす須藤にも丁寧に頭を下げた。
「だけど須藤くん、いや皆の協力がなければポイントを得ることが出来ないのは事実だ」
「……お前がなにやろうが勝手だけどよ。俺を巻き込むな。わかったな」
この場に居ることに
授業が始まるまでか、それとももう戻って来ないつもりか。
「須藤くんほんっと空気読めないよね。遅刻だって一番多いしさ。須藤くんが居なかったら少しくらいポイント残ってたんじゃない?」
「だよね……もう最悪。なんであんなのと同じクラスに……」
うーむ、
「
「どうしてオレたちなんだ?」
「全員に声をかけるつもりだよ。だけど一度に全員に声をかけても、きっと半数以上は話半分に聞いて真剣に耳を傾けてはくれないと思うんだ」
だから個別にお願いをしていくことを考えたのか。何か良案が出せるとは思えないが、参加くらいはしてもいいかな。そう思っていると───。
「ごめんなさい、他を当たって
「無理に発言しなくてもいいよ。思いつくことがあったらで構わないし、その場に居てくれるだけでも、十分だから」
「申し訳ないけれど、私は意味のないことに付き合うつもりはないから」
「これは、僕たちDクラスにとって、最初の試練だと思う。だから───」
「断ったはずよ。私は参加しない」
強く冷静な一言。
「そ、そうか。ごめん……もし気が変わったら、参加して欲しい」
残念そうに引き下がる平田を、もう堀北は見ていなかった。
「
正直参加しても良かった。クラスの大半は話し合いに参加するだろうし。
だが、そこに堀北だけが不在になったら
「あー……パスで。悪いな」
「……いや、僕こそ急にごめん。でも、気が変わったらいつでも言ってよ」
平田はオレの考えを理解したのかも知れない。強くは誘ってこなかった。
話し合いが
「平田も偉いよな。ああやって行動を起こすんだから。落ち込んでもおかしくないのに」
「それは見方一つね。安易に話し合いを持って解決する問題なら苦労しないわ。頭の悪い生徒が束になって話し合いをしても、むしろ泥沼に
「受け入れる事なんて出来ない? それってどういう意味だ?」
堀北は俺の質問には答えず、それ以降黙り込んでしまった。
2
放課後。朝の告知通り平田は教壇に立ち、黒板を使って対策会議の準備を始めていた。
平田の求心力の
「綾小路ぃ~~~」
机の下から、にゅっと顔を出してきたのは、今にも死にそうな顔をした
「おうっ!? な、なんだよ。どうした?」
「これ、20000ポイントで買ってくれよ~。ポイントなくて何にも買えないんだよ~」
机に置かれたのは、先日山内が購入したばかりのゲーム機。ぶっちゃけ全く欲しくない。
「お前がそれをオレに売ったらオレは誰と遊べばいいんだよ」
「そんなの知るかよ。いいだろ? 破格だからお得だろ?」
「1000ポイントなら買ってやるよ」
「
「何でオレだけなんだよ……。無い
オレからは施しを受けられないと判断したのか、すぐに別のターゲットを
「
今度は博士に売りつけるつもりらしい。しかも
「大変そうだね、ポイントを使い切っちゃった人たち」
「櫛田の方こそ、ポイントは大丈夫なのか? 女の子は色々必要なものがあるだろ」
「うーん、まぁ、今のところは、かな。半分くらいは使っちゃった。この一か月自由に使い過ぎて来たから、ちょっと我慢するのは大変だね。綾小路くんは大丈夫?」
「交友関係が広いだけに、全く金を使わないって生活も難しいよな。……オレの方は
「
「おい……」
「あはは、ごめんごめん。悪気は全然ないよ?」
クスクスと笑いながら両手を合わせて謝る櫛田。そんな姿も無駄に
「あのさ櫛田さん、ちょっといいかな?」
「
「実はあたしさ、ポイント使い過ぎちゃってマジで金欠なんだよね。今、クラスの女子からも少しずつポイント貸して
頼み込むような態度には見えなかったが、軽井沢はヘラヘラとした様子で櫛田にポイントを貸せと要求してきた。こんなもん、即断られて終了だ。
「うん、いいよっ」
いいのかよ! 心の中で
櫛田は少しも嫌がることなく、軽井沢に援助することを決めたようだった。
「さんきゅ~。やっぱ持つべきものは友達だね。これあたしの番号。そんじゃ、よろしく~。あ、
次のターゲットである生徒を見つけ、軽井沢は風のようにオレたちの前から去った。
「良かったのか? あれは十中八九返って来ないぞ?」
「困ってる友達がいたら
「それでも10万も使い切るのは、個人的に問題あると思うけどな」
「あ、でもポイントってどうやって渡せばいいのかな?」
「
「学校側はちゃんと、生徒たちのことを配慮してるんだね。軽井沢さんみたいに困った人を助けられるようにこんなシステムまで用意してるんだから」
確かに、軽井沢にとっては渡りに船だ。でもわざわざ送金、譲渡できるようにしておく必要はあったのだろうか。むしろトラブルの火種にだってなり兼ねない。
『1年Dクラスの
穏やかな効果音の後、そんな無機質な案内が教室に響いた。
「先生からの呼び出しみたいだね」
「だな……悪い、
入学以来、特に注意を受けるようなことをした覚えは一つもない。何となく重いクラスの視線を背中に受けつつ、オレは教室を抜け出した。
ウサギの心臓を持つ臆病なオレは、そっと職員室の扉を開いた。ぐるっと見回すが茶柱先生の姿は見えない。仕方がないので鏡で自分の顔をチェックしている先生に声をかける。
「あの、茶柱先生居ます?」
「え? サエちゃん? えーっとね、さっきまでいたんだけど」
振り返った先生は、セミロングで軽くウェーブのかかった髪型の今時の大人って感じの人だ。親しそうに茶柱先生の名前を呼ぶ。年齢も近そうだし
「ちょっと席をはずしてるみたい。中に入って待ってたら?」
「いえ。じゃあ廊下で待ってます」
なんか職員室って好きになれないんだよな。注目を浴びるのが嫌だったので、オレは廊下で待つことにした。すると何を思ったか、若い先生がひょっこりと廊下に出て来た。
「私はBクラス担任の
聞いてもいないのに、使い道のなさそうな情報を提供してもらった。
「ねえ、サエちゃんにはどういう理由で呼び出されたの? ねえねえ、どうして?」
「さあ。それはオレにもさっぱり……」
「分かってないんだ。理由も告げずに呼び出したの? ふーん? 君の名前は?」
質問攻め。ジロジロと観察するように、上から下までオレを見回す。
「綾小路、ですけど」
「綾小路くんかぁ。何ていうか、かなり
何なんだこの軽いノリの先生は。うちの茶柱先生と違って教師と言うより学生に近い。
男子校に居たら、たちまち全生徒の心を
「ねえねえ、もう彼女とか出来た?」
「いえ……あの、別にオレ、モテないっすから」
「ふーん? 意外ね、私が同じクラスに居たら絶対
「何やってるんだ、星之宮」
突然、現れた
「いったぁ。何するの!」
「うちの生徒に絡んでるからだろ」
「サエちゃんに会いに来たって言ったから、不在の間相手してただけじゃない」
「放っとけばいいだろ。待たせたな
「いえ、別に大丈夫ですけど。それより指導室って……オレ何かしました? これでも一応目立たないよう学校生活を送って来たつもりなんですが」
「口答えはいい。ついてこい」
何なんだよ、と思いながらも歩き出した茶柱先生についていく。するとオレの横に並び
「お前はついてくるな」
「冷たいこと言わないでよ~。聞いても減るものでもないでしょ? だって、サエちゃんって個別指導とか絶対しないタイプじゃない? なのに、新入生の綾小路くんをいきなり指導室に呼び出すなんて……何か
ニコニコと茶柱先生に答えた後、オレの背後に回り両肩に手を置いた。
背後の星之宮先生の顔は見えないが、ビリビリとした気配がぶつかり合うのが分かった。
「もしかしてサエちゃん、
下剋上? どういう意味だ。
「バカを言うな。そんなこと無理に決まっているだろ」
「ふふっ、確かに。サエちゃんにはそんなこと無理よね~」
含みのあるセリフを
「どこまで着いてくるつもりだ? これはDクラスの問題だ」
「え? 一緒に指導室だけど? ダメなの? ほら、私もアドバイスするし~」
無理やり
「星之宮先生。少しお時間よろしいでしょうか? 生徒会の件でお話があります」
一瞬オレと目が合ったが、すぐに視線を
「ほら、お前にも客だ。さっさと行け」
パン、とクリップボードで星之宮先生のケツを
「もう~。これ以上からかってると怒られそうだから、またね、
そう言い、ひらりと
星之宮先生を見送り、ポリポリと頭をかいた後、
「で……何なんですか、オレを呼んだ理由って」
「うむ、それなんだが……話をする前にちょっとこっちに来てくれ」
指導室の壁に掛けられた丸時計をチラチラと確認していたかと思うと、指導室の中にあるドアを開く。そこは給湯室になっているようで、コンロの上にはヤカンが置かれていた。
「お茶でも沸かせばいいですかね。ほうじ茶でいいすか?」
オレは粉末のほうじ茶が入った容器を手に取る。
「余計なことはしなくていい。黙ってここに入ってろ。いいか、私が出てきて良いと言うまでここで物音を立てずに静かにしてるんだ。
「は? 言ってる意味が全く───」
説明を受けることもできず、給湯室のドアが閉められた。一体何を
一応言われた通り静かに待っていると、程なくして指導室のドアが開く音がした。
「まあ入ってくれ。それで、私に話とは何だ?
どうやら指導室を訪ねて来たのは堀北のようだ。
「率直にお聞きします。
「本当に率直だな」
「先生は本日、クラスは優秀な人間から順にAクラスに選ばれたと
「私が言ったことは事実だ。どうやらお前は自分が優秀な人間だと思っているようだな」
指摘を受け、堀北はどう返すつもりなのか。オレなら強気に反論する、にベットするな。
「入学試験の問題は
ほら当たった。堀北は自分が優秀な人間だと思っているタイプだ。そしてそれは自意識過剰ではなく、実際に優秀だと思う。先日のテストも、堀北は同率1位に名を連ねていた。
「入試問題は殆ど解けた、か。本来なら入試問題の結果など個人に見せないが、お前には特別に見せてやろう。そう、偶然ここにお前の答案用紙がある」
「随分と用意周到ですね。……まるで私が抗議のために来る、と分かっていたようです」
「これでも教師だ。生徒の性格はある程度理解しているつもりなんでな。
「ありがとうございます。では───
「その前に、お前はどうしてDクラスであることが不服なんだ?」
「正当に評価されていない状況を喜ぶ者などいません。ましてこの学校はクラスの差によって将来が大きく左右されます。当然のことです」
「正当な評価? おいおい、お前は随分と自己評価が高いんだな」
「お前の学力が優れている点は認めよう。確かにお前は頭が良い。だけどな、学力に優れた者が優秀なクラスに入れると誰が決めた? そんなこと我々は一度も言っていない」
「それは───世の中の、常識の話をしているんです」
「常識? その常識とやらが今のダメな日本を作ったんじゃないのか? ただテストの点数だけで人間を評価し、優劣を決めていた。その結果無能な人間が上で幅を
世襲制とは、地位や名誉、職を子孫代々受け継いで行くという意味だ。
オレはその言葉を聞き、思わず
「確かに勉強が出来ることは1つのステータスだ。それを否定するつもりはない。しかし、この学校は本当の意味で優秀な人間を生み出すための学校だ。それだけで上のクラスに配属されると思ったら大間違いだ。この学校に入学した者には、それを一番最初に説明しているはずだがな。それに、冷静になって考えてみろ。仮に学力だけで優劣を決めていたのなら、
「っ……」
この学校は日本屈指の進学校にもかかわらず、勉学以外で入学ができている生徒がいる。
「それに、正当に評価されていない状況を喜ぶ者は居ない、と決めつけた発言をするのも早計だな。Aクラスともなれば、学校から受けるプレッシャーは強く下のクラスからの
「冗談でしょう? そのような人間、私には理解できません」
「そうかな? Dクラスにも居ると思うがな。低いレベルのクラスに割り当てられて喜んでいる変わり者の生徒が」
それは、まるで壁越しにオレへと語り掛けているようだった。
「説明になっていません。私がDクラスに配属されたのが事実かどうか、採点基準が間違っていないかどうか。再度確認をお願いします」
「残念だがDクラスに配属されたことはこちらのミスではない。お前はDクラスになるべくしてなった。それだけの生徒だ」
「……そうですか。改めて学校側に聞くことにします」
どうやら
「上に掛け合っても結果は同じだ。それに悲観する必要はない。朝も話したが、出来不出来でクラスは上下する。卒業までにAクラスへと上がれる可能性は残されている」
「簡単な道のりとは思えません。未熟な者が集まるDクラスがどうやってAクラスよりも優れたポイントを取れるというのですか。どう考えても不可能じゃないでしょうか」
「それは私の知ったことじゃない。その無謀な道のりを目指すか目指さないかは個人の自由だ。それとも堀北、Aクラスに上がらなければならない特別な理由でもあるのか?」
「それは……
「分かった、覚えておこう」
ギッと
「あぁそうだった。もう一人指導室に呼んでいたんだった。お前にも関係のある人物だぞ」
「関係のある人物……? まさか……兄さ───」
「出て来い
こんなタイミングで呼んでほしくない。よし、このまま出ないでおこう。
「出てこないと退学にするぞ」
ひ、ひでぇ。聖職者が平然と退学を武器にしやがって。
「いつまで待たせれば気が済むんスかね」
ため息をつきながら、わざとらしく指導室へ戻る。堀北は当然驚き戸惑っている。
「私の話を……聞いていたの?」
「話? 何か話してるのは分かったがよく聞こえなかったな。意外と壁が厚いんだ」
「そんなことはない。給湯室はこの
どうやら、
「……先生、
これが仕組まれた流れだったことに、すぐに気が付く堀北。明らかにご立腹だ。
「必要なことと判断したからだ。さて綾小路、お前を指導室に呼んだワケを話そう」
「私はこれで失礼します……」
「待て堀北。最後まで聞いておいた方がお前のためにもなる。それがAクラスに上がるためのヒントになるかもしれないぞ」
背を向けかけた堀北の動きが止まり、そして
「手短にお願いします」
茶柱先生はクリップボードに視線を落としながら、ニヤニヤと笑った。
「お前は面白い生徒だな、
「茶柱、なんて奇特な
「全国の茶柱さんに土下座してみるか? んん?」
いや、多分全国探しても茶柱なんて苗字はあんた以外居ないと思うんだが……。
「入試の結果を元に、個別の指導方法を思案していたんだが、お前のテスト結果を見て興味深いことに気が付いたんだ。最初は心底驚いたぞ」
クリップボードから見覚えのある入試問題の解答用紙がゆっくりと並べられていく。
「国語50点、数学50点、英語50点、社会50点、理科50点……おまけに今回の小テストの結果も50点。これが意味するものが何か分かるか?」
堀北は驚いた様子でテスト用紙を
「偶然って怖いっスね」
「ほう? あくまでも偶然
「偶然です。証拠はありません。そもそも試験の点数を操作してオレにどんな得があると? 高得点を取れる頭があるなら、全科目満点
わざとおどけてみせると、教師は
「お前は実に憎たらしい生徒のようだな。いいか? この数学の問5、この問題の正解率は学年で3%だった。が、お前は間の複雑な証明式も含め
「世間の普通なんて知りませんよ。偶然です、偶然」
「全く、その割り切った態度には敬服を覚えるが、将来苦労することになるぞ」
「当分先ですし、その時になって考えます」
どうだ? と言わんばかりに、茶柱先生は堀北を見る。
「あなたは……どうしてこんなわけのわからないことをしたの?」
「いや、だから偶然だっての。隠れた天才とか、そんな設定はないぞ」
「どうだかなぁ。ひょっとしたらお前よりも
ピクリと堀北が反応する。先生、その余計な口出しそろそろやめて
「勉強好きじゃないですし、頑張るつもりもないですし。だからこんな点なんですよ」
「この学校を選んだ生徒が言うことじゃないな。もっとも、お前の場合、
この学校だけでなく、この教師もまた普通じゃない。先ほどの
「何ですか。その異なる理由って」
「詳しく聞きたいか?」
担任の
「やめておきます。聞くと突然発狂して、
「そうなれば
「そんなクラスありましたっけ」
「喜べ。Eクラスってのは、イコールExpelled。退学ってことだ。ま、話はこれだけだ。これからの学生生活を満喫してくれ」
実に皮肉の効いたセリフだった。
「私はもう行く。そろそろ職員会議の始まる時間だ。ここは閉めるから二人とも出ろ」
背中を押され、オレたち二人は廊下へと
「とりあえず……帰るか」
堀北の確認を取らず歩き出す。今は、一緒に居ない方がいいと判断した。
「待って」
堀北はそんなオレを呼び止めたが立ち止まらない。寮まで逃げ切ればゴールだからな。
「さっきの点数……本当に偶然なの?」
「当事者がそう言ってるだろ。それとも意図的だって根拠でもあるのか?」
「根拠はないけれど……。綾小路くん、少し分からないところがあるし。事なかれ主義って言ってるから、Aクラスにも興味なさそうだし」
「お前こそAクラスには並々ならない思いがあるようだな」
「……いけない? 進学や就職を有利にするために頑張ろうとすることが」
「別にいけなくはない。自然なことだ」
「私はこの学校に入学して、ただ卒業すれば、それがゴールだと思っていた。でも、実際は違った。まだスタートラインにも立っていなかったのよ」
堀北は歩く速度を上げたのか、気が付けば隣に並ばれていた。
「じゃあお前は、本気でAクラスを目指すつもりなんだな」
「まずは学校側に真意を確かめる。私が
「相当大変だぞ、それは。問題児たちを更生させなきゃならない。
「……分かってるわよ。出来れば学校側のミスであることを期待するわ」
それにたとえポイントを増やす効率的な手立てが見つかったとしても、それは他のクラスも同じようにポイントを増やすことが可能になるってことでもある。
一度開いてしまった点差を詰めるのは、時間制限のある競争の中では非常に難しい。
「あなたの考えていることは大体わかる。でも、学校側がこのまま静観を続けるとは思えないわ。それじゃあ競争の意味は無いもの」
「なるほどな、そう言う考え方も出来るか」
学校側が入学1か月でAクラスの逃げ切りを許す、なんてことはしないと読んだわけだ。つまり、どこかで大きくポイントが増減する機会が訪れると堀北は確信しているのか。
「自分の手でこの状況をなんとかしてみようとは考えない?」
「考えない」
「誇らしげに即答しないで」
「いつつ……。お前の気持ちは
「違うわね。正しくは、個人ではどうにもならないけど、個々が解決しなければならない、非常に厄介な問題よ。一人一人がやらなければ、スタートラインにも立てないの」
「オレにわかったのは、答えがなんにせよ、すげえ面倒そうってことだけだ」
「すぐに改善しなければならないことは大きく3つ。遅刻と私語。それから中間テストの点数で全員が、赤点を取らないこと」
「前者の二つはある程度何とかなるだろう。けど、中間テストはなぁ」
先日の小テスト、確かに難しい問題もあったけど、大半は難易度の低いものだった。あれで赤点を取る生徒が何人もいるレベルじゃ、正直この先の中間テストはお先真っ暗だ。
「そこで───
「協力ぅ?」
露骨に嫌そうな顔をしたが、肝心のその顔を堀北は
「
「断りたいの?」
「あのな、オレが喜んで協力するとでも?」
「喜んで協力する、とまでは思っていなかったけれど、断られるとは思ってなかったわ。もしも本気で断ると言うのなら、その時は……いえよしましょう。今その先を考えても仕方のないこと。それで、協力して
出来れば黙り込んだその先の言葉を教えてもらいたい……。とはいえ、どうしたものかな。助けを求めているものを
「断る」
「
「言ってねーし! 見事に断っただろ!」
「いいえ、私には心の声が聞こえたもの。協力するって言ってた」
怖っ、何その電波的なもの、怖っ。
「そもそもオレに協力できるようなことがあるとは思えないけどな」
「心配することはないわ。綾小路くんが頭を使う必要は
「は? なんだよ、身体を動かすって」
「綾小路くんとしてもポイントが多い分には困らないでしょう? 私の指示に従っていれば、必ずプラスポイントまで持っていくと約束する。悪い話ではないはずよ」
「どんな策があるのか知らないが、オレ以外に頼れるようになれよ。
「残念だけど、Dクラスにはあなた以上に使いやすそうな人材が思い当たらない」
「いやいや、山ほどいるって。ほら例えば
こちらから手を伸ばせば、すぐにでも仲良しの出来上がりだ。
「彼ではダメね。確かに一定の才能は持っているけれど、私はそれを受け入れられない。そう、例えるならば将棋の
それって、オレが歩って言ってる? 言ってるよね?
「歩も努力すれば金になるんだぜ?」
「面白い回答だけど、綾小路くんは努力しなそうな人間だもの。ずっと歩でいいから前に進みたくない、とか考えていそうじゃない?」
出会って間もないくせに的確なツッコミしやがって。普通の人間なら心が折られてるぞ。
「悪いが、やっぱり協力は出来ない。オレ向きじゃないよ」
「じゃあ、考えがまとまったら連絡するから。その時はよろしく」
こっちの意思はこれっぽっちも
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます