〇終わる日常
「ぎゃははははは! ばっか、お前それ面白すぎだって!」
2時間目数学の授業中、
「ねえねえ、カラオケ行かない?」「行く行くー」
その近くでは、女子グループが早くも放課後の約束をして盛り上がっていた。
「悩んでる間は長いのに、打ち解けたら一瞬なんだよなぁ」
「
黒板とノートを交互に見て、書き写しながら話しかけて来た堀北。
「まあぼちぼちとな」
最初は不安だったものの、コンビニでの須藤との一件、部活説明会、プールでのやり取りをキッカケに、池や山内たちともたまにご飯を食べる仲にはなっていた。
親友とは程遠いまでも、気が付けば友人と呼べる関係にまで発展している。
人間関係とはかくも不思議なもので、いつ明確な友達になったのか今やよくわからない。
「うーっす」
授業も後半に差し掛かろうかという頃、教室の入り口が
「おせーよ須藤。あ、昼飯
まぁ、
ポケットが震え携帯に連絡が届いた。男子の一部で作ったグループチャットだ。どうやら昼に食堂で飯を食べようという流れになっているらしい。
「なあ堀北。昼、一緒に食わないか?」
「遠慮しておくわ。あなたたちのグループには品がないから」
「……それは否定しない」
男同士だと話題が女子とか下ネタばかりになってくるし。誰々が
「うへえ……マジか、もう彼女ができたのか。すげぇな」
どうやら池たちの情報によると、
軽井沢の印象を語ると、何というか可愛くないわけじゃない。ただ、ちょっと恋愛ビギナーには近寄りがたい雰囲気があると言うか。つまりギャル系なんだよな、バリバリの。
きっと中学時代も平田みたいなイケメンを食いまくっていたんだろう。勝手な想像だが大きくは間違っていないはずだ。おっと、思わず名誉棄損と言われてもおかしくないほど、毒を吐いてしまった。さすがに軽井沢に失礼だ、心の中で謝る。
「その顔、嫌いね」
堀北が冷たい視線を向けて来た。ゲスい考えを見透かされたらしい。
入学してすぐにカップルになるとか、一体どんな手順を踏んだらそうなるんだよ。こっちは
いっそ「オレたちも付き合っちゃう?」とか堀北に言って──絶対ぶん
それに、オレも彼女を作るならもっとおしとやかで優しい子がいい。
1
3時間目の社会。担任の
「ちょっと静かにしろー。
「どういうことっすかー。
既にそんな愛称で一部からは呼ばれ始めていた。
「月末だからな。小テストを行うことになった。後ろに配ってくれ」
一番前の席の生徒たちにプリントを配っていく。やがてオレの机に1枚のテスト用紙が届く。主要5科目の問題がまとめて載った、それぞれ数問ずつの、まさに小テストだ。
「えぇ~聞いてないよ~。ずる~い」
「そう言うな。今回のテストはあくまでも今後の参考用だ。成績表には反映されることはない。ノーリスクだから安心しろ。ただしカンニングは当然厳禁だぞ」
妙に含みのある言い方が少しだけ引っかかった。普通成績っていうのは成績表にのみ反映されるものだ。でも、
まあ……気にしすぎか。成績表に影響がないのなら警戒する必要はないだろう。
いきなりの小テストが始まり、オレも問題に目を通す。一科目4問、全20問で、各5点配当の100点満点。それにしても拍子抜けするほど、
受験の時に出た問題よりも2段階くらい低い。幾ら何でも簡単すぎだろう。
そう思いながら最後まで問題用紙に目を通すと、ラストの3問くらいは
「いや……この問題はマジで難易度高いぞ……」
高校1年で解けるようなレベルじゃないように見える。明らかに異質で、最後の3問だけはこのテストに載っていることそのものがミスじゃないかと思えるほどだ。
成績に反映するわけでもないのに、このテストで一体何を計ろうと言うのか。
ま、こっちは試験の時と同じようにやるだけだけども。
茶柱先生は一応監視だけはするつもりなのか、ゆっくりと教室を
それから授業終了のチャイムが鳴るまで、オレはテスト用紙と
2
「お前さ、正直に言えば許してやるぞ?」
「何だよ正直にって」
昼飯を
そんな中突如、
「……俺たちは
「あ、ああ。そうだけど」
「当然……彼女が出来たら報告するよな?」
「は? 彼女? そりゃ、出来ることがあればな」
「
「……はぁ?」
気が付けば
「バカ、付き合ってないって。全然。いや、マジで」
「だってお前ら
「ないない。そもそも堀北ってそう言うキャラじゃないだろ」
「しらねーよ。俺たち話したこともねぇのに。名前だって
そういやそうか。堀北がオレか櫛田以外と
「だとしても名前も知らないって、それはひどすぎだろ」
「だったら
……ちょっと思い出してみるが、半分も出てきそうになかった。なるほど、納得だ。
「顔だけはすげぇ
うんうんと
「性格がきついけどな。俺はああいう女はダメだ」
須藤がコーヒーを飲みながら言った。
「そうなんだよ、トゲトゲしいというかなんというか。俺は付き合うならもっと明るくて会話が自然と続くような子がいいな。もちろん可愛くて。櫛田ちゃんみたいな」
やはり池のお気に入りは櫛田か。
「あー櫛田ちゃんと付き合いてー。つか、エッチしてー!」
山内が叫ぶ。
「ばっか、お前が櫛田ちゃんと付き合えるかよ! 想像すんのも禁止な!」
「お前こそ付き合えると思ってんのかよ池。俺の中じゃ、もう櫛田ちゃんは俺の横で寝てるっつの!」
「なんだと! こっちはコスプレやらすげぇポーズを取ってんだぞ!」
二人して妄想上の櫛田を奪い合いだ。おいおい。何を想像しても高校生の自由だが、それはさすがに櫛田に失礼だろ。
「須藤は誰
「あ? 俺は別に、まだいねぇよ。新入部員が女の品定めしてる余裕なんてないっつの」
「本当かよ……。とにかく彼女が出来たら隠さず報告すること、いいな! 絶対だぞ!」
「あ、ああ」
気持ち悪いほど念を押されたので
「そういや平田、
「あーそうなんだよ。先日二人で
「ありゃ間違いなく出来てるな。肩寄せ合って歩いて」
「やっぱアレかな。もうエッチしたんかな」
「そりゃしてるだろー。あー
高校一年でエッチとか、もう何だこの現実離れした感じ。でもしてんだろうなぁ。
……ついつい考えてしまうオレもこいつらと同類だな。
「エッチ経験者の話が聞きてぇ……」
「平田に聞けばいいだろ」
「お前な、平田に聞いて素直に内容教えてくれると思うか? おっぱいどんなだったとか、処女だったのか? とか、あれはやっぱり
お前はどんな経験談を聞き出すつもりなんだ……。
ちょっと飲み物を買おうと近くの自販機へ向かう。すると山内から要求が飛ぶ。
「俺ココアー」
「人にたかろうとするなよ。飲み物くらい自分で買ってくれ」
「いや、俺もうポイント
「……お前、3週間で90000ポイント以上も使ったのか?」
「欲しいもの買ってたらつい。ほら、これ見ろよ。すげえだろ!」
そう言って山内が取り出したのは携帯ゲーム機だった。
「
「それ幾らしたんだよ」
「2マンちょいかな。オプションもろもろで25000くらい」
そりゃ、すぐにポイントも無くなるな。
「普段はあんましゲームやんないんだけどよ、寮生活だから仲間がすぐ集まるんだよな。それにクラスに
宮本っていえば、クラスでも体格がふっくらとした男子生徒だ。直接話したことはないが、いつもゲームやアニメの話題で誰かと話している印象があった。
「お前も買って参戦しようぜ。
周囲の連中は既に囲い込んでいるらしい。
「正直、俺はあんまり興味ねーけどな。これは……あれか? 戦う系のゲームか?」
「お前もしかしてハンター・ウォッチ知らねえの? 世界で累計480万本以上売れてんだぜ! 俺小さい頃からゲームセンス抜群でさ、海外のプロにスカウトされたこともあんだよ。ま、その時は断ったんだけどよ」
世界規模で勝手に語られても、それで
「そもそも、なんでこんな
「……
オレには山内が何を言っているのかさっぱり理解できなかった。
「百聞は一見にしかずって言うだろ? 買って一緒に遊んでみようぜ。な? な? デビューの時は、素材集めで協力してやるから。はちみつ集めるのも苦労するんだぞ? ってことでココア
「ったく……」
はちみつは別にいらないけど、これ以上
「持つべきは友だよな! さんきゅー!」
そんなところで友情を感じて欲しくない。
さて、オレは何を飲むかな。迷いながら指を滑らせていると、ふと気づく。
「ここにもあるんだな」
ミネラルウォーターのところだけは無料で押せるボタンがあった。
「どうした?」
「あ、いや。確か食堂にも無料で食べられる定食があるよな?」
「山菜定食とかいう奴だろ? あーやだやだ、草
山内がココアを飲みながら、ケラケラ笑う。
ポイントが尽きれば、山菜定食や水のような無料のもので過ごすしかなくなる。
だが、ちょっと気を付ければ避けられる事態だ。山内のように見境なく使えば別だが。
「……なあ、結構いるよな。山菜定食食ってる人」
学食を度々利用していて、無料の山菜定食を食べている生徒が多かったのを思い出す。
「好きなんじゃねーの? それか、月末だからだろ」
「そうだといいんだけどな」
オレは一抹の不安を覚えながらも、牛乳を飲もうとボタンを押した。当たり前のようにそれは受け取り口に転がり落ちる。
「あー早く来月になって、また夢のような生活送りてー!」
3
『
午後の授業中、何も考えず黒板の文字を書き写していると携帯にメールが届いた。
おぉ……これが学生ライフ、青春と言う奴だろうか。初めて放課後に
知らない顔ぶれがいっぱいいたら嫌じゃん? なんか、気まずいし。
すぐにメールが返って来る。
『櫛田ちゃんは俺が攻略するから、絶対に邪魔すんなよ! by池様』
『いやいや、櫛田ちゃんは俺が
『はあ? お前ごときで櫛田ちゃん攻略とか、
仲良くしていればいいのに、メールで櫛田の取り合いを始める二人。
オレの方も放課後が楽しみやら、ちょっと
授業が
敷地内はとにかく広く、入学してから
「同じクラスなのに櫛田は一緒じゃなかったんだな」
「別のクラスの友達に、少し話があるとか言ってたな。櫛田ちゃん人気者だから」
「もしかして……お、男友達じゃないよな?」
「安心しろ池、確認済みだ。女の子だよ」
「よしよしっ」
「お前ら本気で櫛田狙ってるのか?」
「当たり前だろ。正直ド本命だし」
山内も同意見なのか、何度も繰り返し
「お前はあの堀北だもんな。ま、美人なのは認めるけどさ」
「いや、何もないから。マジで」
「ほんとかよ。授業中こっそり目と目を合わせたり、さり気なく指先が触れ合ったり、そんな
ぐいぐいと
「遅くなってごめんね。お待たせっ!」
「うおお、待ってたぜ
飛び跳ねた池は、次の瞬間には後ずさり、大げさにすっ転ぶ。忙しい奴だ。
「あ、途中で一緒になってさ。
櫛田は平田と、その彼女(と思われる)の
「おい、何とかして平田を追い返す方法ないかっ!?」
池がオレの首に腕を回し、そう耳打ちしてきた。
「別に追い返す必要はないだろ」
「あんなイケメンがいたら、俺の存在が薄くなるだろ! もし櫛田ちゃんが平田を好きになるアンラッキーイベントが発生したらどうすんだよ! イケメンと
「いや、知らんし……。それに平田は軽井沢と付き合ってるんだろ? 心配ないって」
「お前な、彼女が居るから大丈夫なんて、何の保証もないっつの。軽井沢みたいな中古汚ギャルとプリティー天使の櫛田ちゃんと比べたら、誰だって櫛田ちゃん選ぶだろっっ!」
唾が耳の中に飛んでくる勢いで熱弁を繰り返され、ちょっと気持ち悪い。というか本人の傍でよくまぁそこまでゲスイ言葉が出てくるもんだ。
軽井沢は確かに、ギャル系で肌も焼けてるけど、十分可愛い。
「でもよ池……あんな可愛い櫛田ちゃんが、処女って保証はないよな……?」
不安そうな、消え入りそうな声で
「う、それは……その、そうだけど……い、いや、櫛田ちゃんが中古なわけないっ!」
女性蔑視というか、好き勝手な男の妄想が続いている。出来ればオレ抜きのところで話し合って
「あの、もし僕たちがお邪魔なら別行動するよ?」
平田が遠慮がちに池たちに声をかける。オレたちのコソコソ話が気になったようだ。
「べ、別にいいんじゃね? なあ山内っ?」
「お、おう。一緒に遊ぼうぜ。
二人としては、邪魔だ!と追い出したいところだろうが、安易にそんなことをすれば櫛田の好感度が下がりかねない。下がるだけの好感度があるかどうかは別として。
「つーか、当たり前しょ? なんであたしらがこの三人の顔色
軽井沢の意見はもっともだが、オレも数に入れられていたのはショックだ。
「ここはアレだな。モノは考えようだ。平田と軽井沢を除けば、男女比は同じ。つまり合コンとか、トリプルデートみたいなもんだろ?
「
「おま、ふざけんなよ。櫛田ちゃんは俺が前から
「
「は? 全部本当のことだっての!」
山内春樹という人間を言葉通り信じるなら、幼い頃はゲームの腕前が抜群で、海外のプロにスカウトされたこともあり、小学校の時は卓球で全国、中学では野球でエースと、将来は間違いなくプロになると予言された、とてつもないハイスペックな男になる。
実際のところどれも本当だと言う確証は出ていないが。
グループがどこに向かうのかは知らないが、オレはやや後方からひっそりついていく。
「ぶっちゃけ聞くけどさ、平田。お前、
池は平田が敵かどうか確認するため、単刀直入にそう聞いた。
「え……。それ、どこで聞いた話?」
さすがに少し驚いたのか、慌てた様子を見せる平田。
「ほら、やっぱりバレてたみたいよ? あたしらが付き合ってること」
聞かれた平田が肯定、否定をする前に、軽井沢は平田の腕を取ってぎゅっと挟み込んだ。
平田は参ったな、という様子で
「マジかよー! 軽井沢みたいな
心にもないことを山内は心底羨ましそうに言った。嘘を嘘と思わせず口にするのは、簡単なようで意外と難しい。
「櫛田ちゃんは、彼氏とかいんの?」
この流れで、池は迷わず櫛田シフトに切り替えた。これは
「私? 私は残念ながらいないなぁ」
池、山内が心の中でこっそり歓喜! どころか、二人とも顔がニヤけていた。歓喜が漏れてる漏れてる。彼氏が居ることを内緒にしているという線もあるが、
「やべ、涙がっ……!」
「泣くな山内! 俺たちは今、やっと頂きの目の前に立っただけなんだっ!」
その山は果てしなく高く途方もなく険しい道のりになるだろうな……。
平田は軽井沢と、池と山内は櫛田を露骨に取り囲んで歩き出す。面白くないのは松下と森の二人だろう。その後ろをついてきている。オレは更に後ろを一人で歩いているわけだが。
「なぁ
目的地を聞こうと声をかける。池は
「俺たち、まだ入学してそんなに
明確な目的地が無い。つまりこのちょっと気まずい感じがしばらく続くのか……。
そんな嫌な予想は、思わぬ形で裏切られることになった。
「ねえねえ松下さん、森さん。二人はどこか見に行ったりしたの?」
池と
「え? あ、えーっと、どうかな。映画館には一回行ったかな。ね?」
「うん。学校が
「そうなんだ! 私も行きたいなって思ってたんだけど、まだなんだよね。
櫛田は3つのグループを
無駄に話題を振られると、それはそれで面倒だと感じている。そんなオレの性格や考え方も配慮しつつ、けして無視しているわけじゃないと目で伝えてくる。もし櫛田が空気の読めない、ただ中心に居たいだけの人間だったらこうはいかないだろう。
例えば、歌わないことを条件に
結局自己中な人間は、カラオケで歌うのは楽しい=全員好きなはず、という短絡的で愚かな思考をしている。世の中には歌うことが心底嫌いな奴もいることを理解していない。
と、オレが一人心の中で毒づいていると、周囲は随分と
どうやら敷地内にある洋服店……
皆は何度か既に来ているらしく、迷わず店内へ向かう。大体平日は制服だし、休日は家の中に籠りきりだから、私服なんて買ってなかったな。
店内は多くの生徒で
それからオレたちは程ほどに洋服をチェックした後、近場のカフェへと足を運んだ。
「皆はもう学校には慣れた?」
「最初は戸惑ったけど、もうばっちりだぜ。つか、夢の国過ぎて、一生卒業したくねー」
「あはは、池くんは学校生活を満喫してるって感じだね」
「あたしとしては、もっとポイントが欲しいって感じ? 20万……30万ポイントくらい? 化粧品とか洋服とか買ってたら、もう
「高校生で毎月30万も小遣い
「それ言うなら、10万でも相当だと思うけど。僕は少し怖いよ。このままの生活を続けてたら、卒業した時困るんじゃないかって」
「金銭感覚が狂うってこと? それは、確かに怖いかもね」
支給された10万というポイントは、受け取った生徒によって感じ方はまるで違うようだった。
「
話に入らず、聞き専だったオレに話題を振ってくれる櫛田。
「どうかな……。まだ実感がないっていうか。良くわからない」
「なんだよそれ」
「僕は何となく、綾小路くんの言うことも分かるよ。ここは正直、普通の学校とはかけ離れ過ぎてるから。どこか足が宙に浮いた感じが抜けきれないんだ」
「んなの、気にするだけ無駄だって。いやぁ、マジ入学できて良かったわ。俺は欲しいものはガンガン買ってくぜ。実際
ほんと、池は前向きと言うかポジティブに生きてるようだ。
「そういや櫛田ちゃんや平田はともかく、池や軽井沢はよく入学できたよな。お前らって絶対頭悪いだろ?」
「お前も頭良さそうには見えないぞ
「は? 俺は昔
「何だよ、APECって」
「そんなことも知らねーのかよ。すげぇ難しいテストのことだよ。英語の」
「えと、それはAPECじゃなくて多分
櫛田の優しいツッコミが入る。ちなみに、APECはアジア太平洋経済協力のことだ。
「し、親戚みたいなもんだろ?」
親類縁者からほど遠い位置関係にあると思うぞ……。
「この学校の方針は、未来ある若者を育成するためだって話だから、学校側は僕たちのことをテストの点数だけで決めてるわけじゃないんじゃないかな? 事実、偏差値だけで判断される学校だったら、受験していなかったかも」
「それそれ。未来ある若者って奴。まさに俺にぴったりの言葉だぜ」
池は腕を組んで、うんうんと
日本屈指の進学、就職率を誇る高校にもかかわらず、合否の基準は点数だけじゃない。
なら、一体この学校は、その人間の何に可能性を見ているのだろう。
ふとそんなことを疑問に思った。
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