初めての相談 2

いかん! 気が動転してしまった。

先ずは、落ち着こう。


「ふぅうぅうぅうう・・・良し!」

「大丈夫ですか? レンティエンス様?」

「あ、あのう、仮にも女神フォルセ様ですよね?」

「はい? 何度か肯定しましたけど?」

「いえ、そのですね、僕に様付はどうかと思うのですよ。あなた様は神様ですよ? 一人間の僕に様付は・・・」


あ、またその、どうして? って顔で小首を傾げないでください。


「いえ、ですからね・・」

「レンティエンス様は、神々の相談役、神の対応者という神名を授かっておられます。我々上位神どころか、大神、その上の我らが神々を統べる頂上神オーディン様の相談役でもあられますので、礼を尽くすのは必然であります。もしレンティエンス様に不敬を働くような神が居りますれば、大神、頂上神から重い罰則がございますでしょう」


何、サラッと凄い事を言ってのけるんだ、この女神様は!


「つまり、これから僕の所には神様達が何か悩み事が起こると、相談しに来ると?」

「はい! 地球の管理神様からも伺っております。神対応がとても素晴らしいお方だと」


管理神様~、なんて事言ってくれるんでしょうか!

そう言えば、変なアンケート聞かれたような? それに変に気に入られていた様な・・・


「それでは、私の悩みの相談を・・」

「ま、待って!」

「どうかしました?」

「神様の悩み事ですよね?」

「そうですが?」

「僕程度の人間が相談の対応が出来る訳がありません!」

「そ、そんな、う、うう・・」


わ! わ! いきなり涙目になって僕を睨まないで!!


「いえ、ね? 僕がですよ・・・はぁ、分かりました。ご相談をお受けしましょう。但し、良い回答がなくても補償しかねますよ?」

「大丈夫ですよ。レンティエンス様ならば」


なんでこんなに信頼が厚いんだ?

はぁ~、考えても分からないよね?


「それで、どういったご相談なのでしょう?」

「それは・・・あなたも入って来て下さい」


相談を聞こうとしたら、フォルセ様が扉の方に向かって声を掛けられた。

誰か他にもいるのか? まぁ、神様関係者だからなぁ~。

・・・・・・あれ? 入って来ない?


「大丈夫ですよ。レンティエンス様は男の人でしたけど、とても美しくてお優しい方ですから」

「いや、美しいは流石に、背筋が寒くなりますから・・免疫がありませんので」

「そうですか?」


あ、今、手が見えた? お? 顔が扉に隙間からチラチラ見え隠れしているのが見えた。

かなり小さい子みたいだけど・・・


「エリオン、ちゃんとご挨拶してください。あなたが一番お会いしたいと言っていたのですから」


エリオン? え? まさか、


「まさか、心意の神エリオン様ですか?」

「はい、少々人見知りなところがありまして・・エリオン、大丈夫ですからおいで下さい」


人見知り? 神様には大丈夫で人にはって事ではないよね。

ここは、僕が話しかけた方が良いのかも?


「エリオン様、お初にお目にかかります。レンティエンス・ブロスフォードでございます」


僕はベッドを降りると、片膝を付き胸に手を当て、貴族が淑女に挨拶をする時と同じ様にして見せた。

すると、扉の影から半身程、こちらに出てきて下さり、僕の方を若干俯き加減で見て下さった。


「は、初め、まして。エ、エリ、オンと申します」


綺麗な声だ。

フォルセ様と同じように、金色の髪だけど、ウェーブが少し掛かった肩程の長さで、エメラルド色の瞳は伏せがちだけど、見開いたらたぶんクリッとした大きな瞳なんだろうな。

こう、ギュっと抱きしめたくなりそうだ。


「す、凄く、綺麗。」


そのエリオン様が、僕を見て綺麗と言って下さる。ん~喜んで良いのか悪いのか?


「あ、ありがとうございます」

「エリオン、こちらにおいでください」


フォルセ様が手招きをすると、ゆっくりとだけど、部屋へと入ってきて下さった。


「そうだ、立ち話もどうかと思いますので、こちらの席にお掛け下さい」


神様を立たせっぱなしもどうかと思い、ベッド脇に設けられている4人掛けの丸テーブルの方へと誘う事にした。

神様達も了承してくださり、僕達はそれぞれ椅子に腰かけて話をする事になった。

あ、もちろん僕がちゃんとエスコートしたよ。


「すみません、この時間ですし、それに人をあまり呼ぶのはどうかと思いますので、お茶もお出しできませんが?」

「いえ、お構いなく。突然訪問いたしました私共の方が悪いのですし、あ! お土産も持参しませんで、申し訳ありません」

「いえ、それこそお気遣いなく」


神様のお土産なんて貰ったら大変な事になりそうだもん。


「それでは、改めてご相談の内容をお話させていただきます」

「はい」


ちょっと緊張するな。


「では・・」

「待って! わ、私が、お、お話、い、いたします!」


突然、握り拳を胸に抱き、今までと違って精一杯の声をあげてこられたエリオン様。

か、可愛いい!


「そうですね。エリオンが一番心配しているのですから、お願いしますね」

「う、うん」

「どうぞ、エリオン様、お話をお伺いさせてください」


ジーっと僕の顔を力強い瞳で見ていたエリオン様が、意を決して話し出された。


「じ、実は、ご相談、と、言うのは・・ファルシア王女様の事なの」

「ファルシア様? ですか?」

「はい・・・」


確かに、この2神の加護をファルシア王女様は受けておられるはず。


「もしかして、今のファルシア王女様の状況に関係します?」

「! は、はい! そうです! 私はファルシア王女様を救ってあげたいのです!」

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