初めての相談 1
「はぁ~、大変だった・・・」
これで、分かった。もっと自分の行動には注意しよう。
僕は、寝間着に着替え終え、メイドさん達も部屋を後にしたので、今、僕は一人でベッドの上に腰掛けている。
僕の部屋、前世の時に借りていたアパートがそのまま入りそう。
と、言うのは冗談だとしても、かなり広いのは確かだ。
幼い時からの記憶もはっきり有るから違和感は無いけど、前世の記憶が覚醒した今は、少し落ち着かないと言うか、つい比較してしまう。
再度、神様に感謝を!
コンコン
「ん?」
コンコン
誰だ? もう寝る時間だけど? メイドさん? リーシェンかな?
「はい、まだ起きているから入って来ても大丈夫だよ?」
「ありがとうございます・・・」
あれ? 聞いた事が無い声だ?
カチャっという音共に、扉が開くと、取手を握る手が見えた。
凄く細くて白くて綺麗な手だ。女の子?
扉が開かれ、その姿がはっきりと見える。
僕はその姿を見て、たぶん意識が一瞬飛んだ様な気がした。
それ程に衝撃的だったのかもしれない。その女の子は、薄く透き通るような金色の長い髪に、白磁の様な肌とコバルトブルーの瞳を持つ、絶世と言って過言ではない美少女がそこに立っていたからだ。
それも半透明な布が幾重にも重なり、夜の光の少ない部屋の中でも煌びやかに光っているかの様に見える服装もまた、彼女の美しさを引き立たせていた。
「夜分に申し訳ありません。レンティエンス様でいらっしゃいますね?」
「は、はい・・」
僕は、何も考えずに返事をしてしまった。
よく考えれば、ここは僕の部屋で、尋ねて来たのは彼女の方なのだから、名前を確認するのもおかしな話だ。いや? 盗賊とかならありえるのか? そうだとしたら大問題なのだろうが、そもそも、この屋敷に盗賊に入ろうと考える輩は、まず居ない。
近衛師団長の館で、剣姫である母様が居て、メイドさんの殆どが上位戦闘メイドの上に、通常警護の兵士もいるブロスフォード家に足を踏み入れるのは、悪鬼が棲むと言われる冥界に入り生還するよりも難しいと言われているからだ。
いや、噂の話しだよ?
そんな怖い館じゃないからね?
ま、まあ、それよりも、彼女を見て悪人と思う方が無理があるけど警戒するにこしたことはない・・・
「良かったぁ~、レンティエンス様が、こんな素敵な女性で安心しました」
「いえ、僕は男ですので」
「え?」
「はい、男ですよ?」
「え、え?」
「残念ながら・・」
「・・・・・・も! 申し訳ありません!!」
うお! ベッドに座っている僕の目の前に滑り込む様にして、いきなり土下座してきたぞ!
「あ、あの、別に怒っていませんから。自分でも困惑するぐらい女の子に見えますから、間違っても仕方ないかと・・・ですから頭を上げてください!」
とにかく美少女に土下座をされている光景なんて、傍から見たら変態にしか見えないので、なんとか頭を挙げるように必死に頼み込む。
「ほ、本当に怒っておられません?」
「ほ、本当ですよ!」
顔だけ心持ち上げて恐る恐るといった感じで僕の方をうかがって見る彼女に僕は優しく微笑んでみせた。
「あ、」
なんで、そこで頬を赤くするんですか!
もしかして、下手に微笑みを振り撒くのは自爆行為なのか? 僕の笑顔って・・・気を付けよう・・・
「それで、あなたは一体誰なのですか? 僕としてはそちらの方が気になるのですが?」
「こ、これは申し訳ありません! 私、フォルセと申します。
フォルセ? ん~・・・どこかで聞いた事があるような・・・
「優愛の神と言われております」
ああ、そうだ、そうだ。優愛の女神フォルセ様だ。ファルシア姫様の時に聞いていた・・・?
「? ? ? えっと、フォルセ、さま?」
「はい」
「優愛の女神様?」
「はい、そう呼ばれておりますね」
「・・・・・・うそ、ですよね?」
「いえ、神は嘘を言いませんよ?」
「・・・・・・夢、ですよね?」
「いえ、ちゃんと起きておいでですが?」
まずは、深呼吸。
スーハー、スーハー・・・
もう土下座はしていないが正座をしたまま、僕の方を少し見上げる様にする美少女が僕をニコニコと微笑みながらじいーっと見つめている。
「冗談・・・ではないのでしょうか?」
「はい、冗談ではありませんよ? 地球の管理神様から、我が主様である頂上神オーディン様に託された、神の子レンティエンス様」
色々と突っ込みどころ満載だけど、一番の問題は、地球の事。管理神様の事を知っているという事だ。この事は、父様も母様も知らない。誰にも教えていない僕だけしか知らない事を知っていた。つまり今の話は本当という事だ。
「本当に神様なのですね?」
「はい、本当ですよ?」
不思議そうに小首を傾げ頭の上に? が踊っている。
「そんな風に不思議がらないでください。これが当たりまえの反応なんです」
「そうなんですね。勉強になります」
う~ん、掴みどころのない女神様だな。とまぁ、押し問答続けていてもしょうがない。
「それで、こんな夜に僕の寝室に入って来たのはどういう要件でしょうか?」
あ!? とか言ってそうな口元に、両手でパン、と軽やかに叩いて頷くフォルセ様。
その仕草がとっても可愛らしかった。
「本当に夜分に訪れ申し明けありません。実は、折り入ってご相談したい事がございまして、突然に尋ねさせていただきました」
頭を下げてくる、女神フォルセ様
い、今、相談って言ってなかったか?
「僕が、ですか?」
「はい」
「女神様の?」
「はい!」
「相談を聞くと?」
「はい!」
・・・・・・・・・冗談は良子さん・・・・・い、いつの時代の人間だ!
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