第二十四話 チャンピオンタワー

【チャンピオンタワー】


船の中はとても賑やかだった。

盗賊やグループ、個人で来ている者など様々だろうが、俺達はその中で一つの海賊団と仲良くなっていた。

「お前らチャンピオンタワーは初めてなのか、なら良かったな!俺らと勝負することは無いぜ!」

そう言って自身満々に話をしているのは、バーン海賊団の船長ロキだ。

アランとレフィアは名を聞いたことはあるが、レベルまで詳しいことは知らないらしい。

「なんだ?挑戦回数で対戦相手が変わったりするのか?」

俺はロキの言葉に疑問を感じて質問する。

「いや、ステージってのがあるんだ。俺達はシックスステージ!そのステージの中で対戦するんだ。」

まあ確かに当然といったら当然か。

シックスステージっていうのがどれくらいかは分からないが、空手でいったら白帯対黄帯くらい差があるんだろう。

「ちなみに、ステージっていくつまであんの?」

アランも興味有り気に聞いている。

「とりあえずワンステージからテンステージがある。そこからはジャック、クイーン、キング、ファイナルステージって上がって行く感じだ。」

まるでトランプだな。最後のファイナルってのはジョーカーみたいなものだろう。

「ちなみにファイナルステージより上は無いのか?」

「ファイナルで優勝すると、チャンピオンタワーの最高管理者であるハイルと戦うことができるな。ただそいつに勝ったらどうなるかは知らねぇ。

俺がチャンピオンタワーに通ってからは誰も勝っていないからな。」

チャンピオンタワーの最高管理者って、相当やばい奴だろうな。

しかし通ってからって事は、過去に何度かは勝ったやつもいるのかもしれないな。

と、そんな調子で俺達は島に着く一時間の間、他の海賊や世界連盟協会の事などで話し合っていた。

「到着しましたー。」

船内にアナウンスが流れ、乗客がぞろぞろと降りて行く。

俺達もそれに続き島へ上陸した。

「でっっっか!でっっっか!」

アランがあまりの驚きに二度言う。

「でっか!」

しかし俺も同じことを言ってしまう。

島にあったのはたった一つの建物だけだった。

しかし長方形のその建物は、琴の都と同じくらいの大きさだった。

もう国じゃねーか。そんなことを思いながら、前を歩く集団に付いて行く。

建物の中に入ると壁に囲まれた小さな部屋があり、受付のようなものが三つと十四個のドアがあるだけだった。

順番に受付を済ませていく中で俺達の番になる。

「チャンピオンタワーの来場は初めてですか?」

受付の女性がそう聞いてくる。

「はい。」

「では、名前の登録をお願いします。」

そう言われ俺達三人はそれぞれの名前を登録した。

「クゼン様、アラン様、レフィア様ですね。では少々お待ち下さい。」

アランとレフィアといったら連盟からのレベル付きの犯罪者だが、受付の女性は特に驚くこともなく手続きをしていた。

まあ普段から海賊やグループがよく来るのだから、もう慣れたのかもしれないな。

「はい、登録が完了しました。三名様ともワンステージなので一番左のドアからお入り下さい。」

そう言って次の客の対応を始めた。

俺達はドアを開け中に入った。

すると出てきた場所はとても大きな体育館のような場所だった。

入ってきたドアの方を見てみると、その横にドアらしきものは一つもなかった。俺達はあのドアを通して、別の場所にワープをしたようだ。

「これが技術とは思えないですし、ここの関係者の能力なのかもしれないですね。」

レフィアも俺と同じことに疑問を持っていたようだ。

「ウィルイン様と似たようなものでしょ。いいから行こ行こー。」

アランはレフィアにそう言い歩き出す。

するとこの建物にも受付のような人がいた。

「ようこそワンステージへ。ここのご来場は初めてですか?」

「はい。」

「では軽く説明します。今行われているのはワンリーグで、期間ごとに上位三グループ、または三名がツーステージに上がることができます。」

たったの三グループか。

今パッと見ただけでも五十人以上はいる。

そしてここから、今バトル中の人や、ここにいない

人達を含めると百は軽く超えるだろう。

「バトルフィールドは毎回ランダムで、武器や道具は何を持ち込んでも大丈夫です。勿論能力や圧の使用もオッケーです。」

思っていたより全然自由な戦いのようだ。

しかもバトルフィールドって、リングや道場的な場所じゃないのだろうか。

「それと一応医療設備は整えていますが、万が一にでも亡くなられた場合は、こちらは一切責任を取れません。大丈夫ですか?」

「え、こわ。」

アランが少し引き気味にそう言う。

「はい大丈夫です。」

俺も少しは緊張したが、ボクシングや空手でも当たり所によっては命の危機なんて幾らでもあるだろう。

それに、一度死を経験した身からするとそこまで恐くは無かった。

「ありがとうございます。大まかな説明は以上です。何か質問等はありますか?」

俺達も特に無かったので話を続けてもらう。

「はい、では今日はどうされますか?」

そう言われ俺達は顔を見合わせる。

練習程度にリーグ戦に出るのは確定だ。魔王様がかなり早めに出発するよう言ってくれたのもそのためだろう。

問題は個人かグループかだな。

「グループで良いんじゃないですか?」

レフィアがそう言う。

「そうだな、目的の大会も三人一組っていうルールだしな。それに慣れておこう。」

「オッケー。」

アランも頷き、俺達はグループでのリーグ戦に出場することにした。

「分かりました、一試合は今から一時間後の一時からですので、Cフィールドにいる受付の方の指示に従って下さい。」

「分かりました。」

「では頑張って下さいね。」

そうやって見送られ俺達はCフィールドに向かった。

Cフィールドといっても、そこに更に長方形の建物があるだけで、中の様子は分からなかった。

「この中で戦うのかな?」

「多分そうでしょう。」

アランとレフィアもその建物を見てそう言う。

「お、中の様子は分かるみたいだな。」

Cフィールドの正面に来た俺は、大きなモニターを見ながらそう言った。

そのモニターでは、森のような場所で戦っている三人対三人の映像が流れていた。

「なんか緊張しますねー。」

アランがストレッチのようなことをしながらそう言う。

「まあワンステージですし、そんなに身構えることは無いんじゃないですか?」

レフィアはそう言い、椅子に座りながらモニター見る。

俺もレフィアの隣に座りモニターを眺めた。

映像越しじゃはっきりとは分からないが、やはりそんなにレベルは高くないように感じた。

ルールもとても簡単で、先に戦闘不能な人が出た方の負けだ。もし一時間以内に勝負が付かなければ、引き分けという結果になるらしい。

そうやって暫く映像の試合を見ていると、

「一時から試合を行うチームは、すぐにCフィールド受付まで来てください。」

放送が流れ俺達の番になる。

「よし、行くか!」

「行きましょう!」

「ええ。」

俺の言葉に二人が返し、俺達は受付に向かった。





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