第二十話 イザナギグループ

【イザナギグループ】


バルトによると、ソティラを逃がしたあと謎の男と戦闘になり、もう一人の護衛であるカーディと共闘するも敵の増援が来たため一度撤退。

そして、王女様を探しているとこの建物から大きな圧を感じたので来てみたら、見事再会することができたってことらしい。

「琴を外に持ち出すより、ソティラを連れて行く方が楽じゃないか?」

俺はバルトに尋ねる。

俺の能力は二人に既に説明した。

俺さえやられなければ安全に運べると思うが。

「確かにその方がいいかもしれません。私が全力で功善さんをお守りするので、共に最上階まで行きましょう。」

俺は頷きアランとレフィアに確認する。

「せめてどちらか一人は付いて行きたいのですが。」

レフィアが心配そうにそう言ってくれる。

「いや大丈夫だ、信じてくれ。城の構造を知ってるバルトについて行く方が早く辿り着けると思う。二人は敵の注意を引いておいてくれ。」

「分かりました。」

まだ少し心配しているみたいだが、アランの方は特に大丈夫そうだ。

「なぁ、出発する前にバルトの力を教えてくれないか?」

と俺が質問する。

ものによっては俺が使えるものがあるかもしれない。

「残念ですが、私は無能力者なんです。だから、圧をの力を昔からひたすら鍛えてきました。」

そう言い少し残念そうに笑いながら教えてくれる。

能力なしで王女様の護衛を任されるなんて、一体どれほど鍛えてきたのだろう。

「そうか、じゃあ頑張ろう。」

俺はそう言いバルトに握手を求めた。


宿を出て、真っ直ぐ正面から城を目指す。

既にソティラは俺が消しており、正面から入る方が人も多くて良いだろうとのことだ。

「しかし、君から溢れる圧はすごいな。一応抑える特訓はしたんだろうけど、ちゃんと感じるよ。」

とバルトが俺を褒めているのか貶しているのか分からないことを言う。

「それはこの二人にも言われたよ。こんなんじゃすぐ敵に気付かれるかもな。」

「いや、ある程度近づいたら気付く程度だから多分大丈夫。」

バルトはそう言ってくれるが、また迷惑をかけていることに申し訳なく思う。

すると先頭を歩いていたバルトが急に立ち止まる。

「まさかあんなにいるとは。」

やっと城の入り口が見える程度まできたところでバルトがそんなことを言う。

「この距離で見えるのか?すごいな。」

とアランが圧感を使いながらそう言う。

バルトも圧感を使い城の中を見ていたようだ。

「城の一階までは誰でも入れるようになっているんだが、そこに四人も奴等がいる。これじゃ城に入る前に気付かれるな。」

そう言いどうするかを考え始める。

「俺なら入れると思うか?」

俺はバルトに尋ね、右手を出す。

「確かに君なら入れると思うが、万が一攻撃されたとしたら・・・」

と言いにくそうに俺を見る。

まあ、圧の制御すら出来てないやつに自分の命を預けるのは心配するか。

「大丈夫だから安心しろ。」

そう言ってくれたのはアランだった。

「あなたが思っているより、功善様はちゃんと強いですよ。」

レフィアまでもがそう言ってくれる。

「・・・分かった、功善さん頼んだよ。」

そう言い俺の肩に手を乗せる。

アランとレフィアが、そんな風に思ってくれているとは思わなかった。

あの日、全く役に立たなかった俺に失望していると思っていたが。

「あぁ、任せろ。」

俺はそう言い、道をずれて誰にも見られていないことを確認し三人を消す。

「行くか・・・。」


城の入り口が近づき、一般人に紛れ城に入る。

バルトが言っていた四人がどこにいるのか分からないが、俺は城に入り階段の近くに行く。

するとそこには一人の男性が立っていた。

「あの、すみません。お手洗いはどこですか?」

そう言い普通に近づいて行く。

俺は普通の人間だ、疑われることはないだろう。

一瞬俺を睨むが、すぐに笑顔に戻り教えてくれる。

間違いない、こいつは敵だな。

そう思い俺はゆっくりこいつの右手に触れ、消した。

誰かに見られていたかもしれないので、すぐに階段を登り、そこぇでアランとレフィアとバルトを出す。

「すごいな、本当にワープしたみたいだ。」

そう言いバルトは時間を確認する。

「多分敵だと思う奴を消した。容量を埋めたくないから出してもいいか?」

俺は三人に確認を取りさっき消した男性を出す。

「えっ・・・」

さっきの男性がいきなりワープしたことに驚いていると、

ドスッと鈍い音が鳴り男性は崩れ落ちる。

バルトが気絶させたみたいだ。

「こいつはイザナギグループのやつじゃないですね。多分雇われた身でしょう。」

と男性を別の部屋の隅に隠す。

「では行きましょう。」

そう言い俺たちは先頭を走るバルトについて行く。

「何階まであるんだ?」

俺は四階に登ったくらいでバルトに聞く。

「十階だ、そこからはこの国が見渡せるようになっていてな。その階の真ん中に琴は置かれている。」

十階か、それならもう半分のところまで来ていた。

そして六階に登った瞬間、

黄色いレーザーのようなものが横から飛んできた。

それをバルトが圧で防ぎ戦闘態勢に入る。

「やっぱ俺らの誰かが一階にいるべきだったな。」

そう言い立っていたのは、右手に本のようなものを持った男だった。

「お前は、ゼルだな。イザナギグループの。」

アランがそう言い前に出る。

「俺が相手するんで、行ってくれて良いですよ。」

アランがそう言って笑いゼルの方を向く。

「お前はマーダーグループのアランか。何故そんな奴がこんなとこにいるんだか。」

そう言って左手を伸ばし、さっきよりも速くて太いレーザーが飛んでくる。

それをアランは圧と能力を使って受け止める。

「魔法使いか、久しぶりだなー。」

そう言ってアランが突っ込んでいく。

「行こうか。」

俺はアランを信じて上へ向かうが、もう予想はついていた。

「では、ここは私が。」

そう言い七階に待っていた女性とレフィアが対峙する。

レフィアと別れ次に来るであろう敵に備え俺とバルトは圧を纏ったまま八階に登った。

しかし八階は静かで、誰もいる様子はなかった。

そう思い階段を登ろうとした瞬間、目の前にいきなり斬撃が飛んできた。

「っ!・・・はぁ!」

それをバルトが跳ね返し飛んできた方向を見る。

「功善さん、行ってくれ。」

俺は静かに頷き上へ登ろうとする。

しかし、

「行かせねぇよ。」

そう言い大きな剣を持ち、鎧を着た人が階段の前に立ちはだかる。

「・・・カムイッ!」

バルトが悔しそうにそう口にする。

「悪いが功善さん手伝ってくれ。俺一人じゃどうしようもできない。」

そう言って俺に助けを求めてくる。

「あぁ、やろう。」

俺はそう言いカムイの方を見る。

事前に教えてもらったイザナギグループのメンバーのレベルで、二番目に高かったのがカムイの12000だった。




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